本当に2012年はビール出荷量が過去最低なのか?

大好きな箕面ビール

 

昨日、2012年のビール系飲料出荷量のデータが発表されました。

 

ビール大手5社が16日発表した2012年のビール系飲料の出荷量は8年連続で過去最低を更新した。新ブランドが育ちにくいなか、定番品の販売競争は激化。サントリー酒類の「ザ・プレミアム・モルツ」がキリンビールの「ラガー」を販売量で抜くなどブランド間の優勝劣敗が鮮明になりつつある。(2013年1月17日日経MJより

 

ビール系飲料なので、このデータにはビール・発泡酒・第三のビールが含まれています。そこで、これらの各カテゴリーの出荷数量の増減を調べようとしたのですが、データ提供元のビール酒造組合のサイトには掲載されていません。ちなみに、日経には次のような説明があります。

 

10年まで2ケタ前後の成長が続いていた「第三のビール」で伸び率が1・1%に鈍化。ビールや発泡酒の落ち込みを補えなかったことが響いた。

 

つまり、

 

ビール 減少

発泡酒 減少

第三のビール 増加

 

ということになります。

 

この結果には、少し違和感があります。というのも、コンビニのビール売場を見る限り、ビールの販売スペースが広がっているように思えるからです。2011年ごろでは、3段程度でしたが、今ではたいてい4段の売場がビール(発泡酒でもなく第三のビールでもない、本当のビール!)で占められています。さらに、市場全体を見ても、ビールの新商品の方が、2012年は話題になったように感じます。例えば、

 

セブン-イレブン専売の大手3社製造の高級ビール

セブン-イレブンとサッポロビールコラボのセブン&アイグループ専売のビール(The MALT)

 

など。売場効率にうるさいセブン-イレブンがビールの新商品を立て続けに出すということは、それだけビールが売れているということではないでしょうか。もっとも、セブン専売の高級ビールはどれも売れたみたいです。

 

この違和感の要因はすぐわかりました。その要因とは、

 

ビール酒造組合のデータは、ビール5社のデータしか含まないから

 

です。ビール酒造組合のサイトでは、「以下の諸表は、当組合加盟5社から報告されたデータを基に作成。」と、明記されています。つまり、今回のデータは、ビール5社の出荷数量が過去最低を記録したことに、他なりません。

 

そこで、国税庁の課税数量を調べてみました。10月までのデータしかないのですが、2011年・2012年を比較すると、以下のようになります。

 

【課税ビール出荷数量の2011年・2012年比較(国税庁より)】

[2011年]2,251,201KL

[2012年]2,270,677KL→前年同期比+0.87%

 

ちなみに、ビール5社による1~10月の出荷量は、以下のようになります。

 

【ビール5社のビール出荷数量の2011年・2012年比較(ビール酒造組合より)】

[2011年]2,227,635KL

[2012年]2,239,446KL→前年同期比+0.53%

 

そこで、ビール5社以外のビール出荷数量を計算(課税―ビール5社)してみました。

 

【ビール5社以外のビール出荷数量の2011年。2012年比較(計算)】

[2011年]23,566KL

[2012年]31,231KL→前年同期比+32.5%

 

この結果、ビール5社以外のビールが大幅に伸びていることがわかります。これらのビールとは、主に地ビールや専門インポーターによる輸入ビール。比較的高単価のビールです。大手メーカーのビールも微増していますが、それ以上に地ビール・輸入ビールが伸びているのです。

 

実は、最近ローソンの店頭で、この地ビール・輸入ビール人気を実感しました。それは、輸入ビールが2種類も販売されていたからです。それは、白濁268円(10ポイント還元)レーベンブロイ217円。白濁は日本ビール株式会社、レーベンブロイはアサヒによる輸入品です。このお店だけの販売かもしれないですが、コンビニで白濁やレーベンブロイという比較的マイナーなビールがあるということは、売れているまたは売れる見込みがある証拠。マイナーなビール人気が高まっているということでしょうか。

 

11月・12月の国税庁データがないので、何とも言えませんが、2012年がビールの最も売れなかった年なのは、大手5社に限ったことではないでしょうか。大手5社以外の地ビールや輸入ビールは、売れに売れた年なのかもしれません。

 

☆  今日のまとめ☆

2012年の大手5社以外のビール出荷数量は、10月までのデータを見る限り、大きく増加している。

年間ビール出荷数量が過去最低を記録したのは、大手ビール5社に限ったことではないか。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

先日、電気代の請求が来たのですが、1万3千円ほど掛かっており、ぶったまげました。

こんなに高いのは、初めてです。

電気ストーブのせいかと踏んでいます。

エアコンの方が、省エネなんでしょう、きっと。

 

☆サムシンググッド創業者 坂本桂一さんの言葉☆

「人間の場合、ビジネスのメカニズムを理解し、なおかつそれを徹底して追求できる者だけが生き残るのである。「徹底して追求する」とはどういうことか。非常に単純化していうと、人が一努力するところを、自分はニ努力するということだ。たとえば、戦略を考えるのに十の仮説を出したら、そこでやめず、さらにもう十捻り出す粘りがあるなら、その人のサバイバル能力はかなり高いと言えよう。」

『頭の良い人が儲からない理由』より)

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