マクドナルドがハンバーガーを100円に大幅値下げする理由

日本マクドナルドのハンバーガー

消費増税を控えて、外食チェーンは価格改定を進めています。ほとんどの企業は、増税分をトータルで転嫁。「トータル」というは、個々のメニューの価格を3%の増税分値上げするのではなく、商品毎に値上げ幅を変えて、売上総額で増税分をオンしようという意味です。食品業界でも同じですね。例えばコカ・コーラは、商品毎に10円または20円値上げします。

そういう意味では、マクドナルドもトータルで転嫁したとも言えますが、マクドナルドの価格改定には増税対策と別の意味もあります。それは、客数のテコ入れを目的としたものです。だから、集客の目玉として、ハンバーガーを100円マックとして復活させました。復活させたというよりも、100円マックにするのに値上げしたと言う方が正確ですね。

日本マクドナルドホールディングスは19日、消費税率の上がる4月1日から「ハンバーガー」の価格 を今より20円下げて100円(税込み)にすると発表した。100円均一商品をそろえた「100円マック」シリーズも続ける。価格競争の激しい外食産業で は増税後も割安感を打ち出して消費者を呼び込もうと、人気商品の値下げや据え置きの動きが広がってきた。(2014年3月20日付 日経新聞朝刊)

さらに、100円マックを集客商品として徹底するために、税抜きではなく税込み100円として提供します。つまり、既存の100円マックは実質値下げになるのです。

【マクドナルドが集客テコ入れ策】

[1]100円マックを税込み100円で提供

[2]ハンバーガーを100円マックに値下げ

ただ、ここでふと疑問が生じます。

ハンバーガーを100円マックに加えることで、客数は増加するのか

という点です。増加すると考えたからこそ、ハンバーガーを100円に大幅値下げするのでしょう。そこで、100円のハンバーガーが客数増に寄与すると考える根拠を考えてみました。

【100円のハンバーガーが客数を増やすと考える理由】

[1]パティを使うハンバーガーは、他のメニューの元となるベーシックな商品だから(チキンクリスプはサイドメニューのチキンを利用)

[2]100円のバーガー類を複数提供することで、来店機会が増えそうだから

1について、マクドナルドと言えば、ハンバーガーショップです。ハンバーガーは、バンズ(パン)の間にパティ(ハンバーグ)を挟んだもの。この最も基本的な商品が、ハンバーガーです。ビックマックはハンバーガーを二重にしたものであり、ダブルバーガーは、ハンバーガーのパティを二枚にしたものです。(その他レタスなど野菜も入ります)一方、既存の100円マックであるチキンクリスプは、バンズにチキンを挟んだものであり、パティはありません。よって、厳密に言えば、パティをバンズで挟むハンバーガー類ではないのです。だから、ハンバーガー類目当ての人にとっては、チキンクリスプが100円で提供されても、あまり魅力がないのです。マクドナルドは、この点に集客が振るわない原因を見出したのでしょう。王道のハンバーガーを100円で提供すれば、ハンバーガー類目当ての人を集客でき、その結果客数の増加が期待できることになります。

2について、現在100円マックのバーガー類は、チキンクリスプしかありません。よって、割安でマクドナルドを利用したい人は、毎回チキンクリスプを注文しなければならなくなります。これでは、すぐに飽きが来てしまいます。そこで、ハンバーガーを100円マックに加えれば、毎日食事に100円マックを利用したとしても、交互に注文すればいいのです。毎日同じメニューを注文しなければならない今と比べると、飽きが来る確率は相当下がることになります。その結果、来店機会が増え、客数は増加します。ちなみに、アメリカのダラーメニュー(dollar menu)は、バーガー類を複数提供。アメリカのやり方を取り入れたことになります。

値上げしたのだから、客数が増えるのは間違いありません。問題は、

期待した客数増が実現できるのか

客単価がどこまで減少するのか

営業利益額は増えるのか

になります。また、

客数増加後、どうやって客単価を引き上げるのか

という問題も浮上します。恐らく、単価の高い期間限定商品を投入することと思われますが。

消費増税の影響を楽観視する向きが強いですが、実際に支出額の増加を目の当たりにすれば、節約志向が想定以上に進んでも不思議ではありません。ならば、ハンバーガーの大幅値下げに踏み切ったマクドナルドの勝算は、かなり高まるのではないでしょうか。

☆今日のまとめ☆

マクドナルドがハンバーガーを100円マックに復活させたのは、バンズとパティというベーシックなハンバーガーを100円で提供することで、チキンクリスプでは来店しなかった消費者を集客できると考えたからである。

また、複数のバーガー類を100円で提供することで、マクドナルドで割安に食事をした人の飽きを減らし、来店機会の増加を期待できる。

客数増を目的とした価格改定である。

 

アメリカビジネスの最新事情メルマガはこちら

ワインを知れば、おもしろい

WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません

日々気づいた雑感はTwitterで発信中

すいません、Facebookはほぼ引退しました

年5%で資産運用する方法はこちら

 

☆    今日のこぼれ話☆

実際、チキンクリスプを食べてみると、少し物足りなく感じます。

ソースが、ケチャップベースではなく、マヨネーズ風味なので、それほど食欲が沸きません。

この点、ハンバーガーはかなり強力な集客商品になると思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です