スープストックトーキョーが成功したのは、スープを売らなかったからではないか?
8月11・18日合併号の日経ビジネスに、スープストックトーキョーを運営するスマイルズの遠山社長の記事が掲載されていました。記事のテーマは、どうやったら新規事業がうまくいくかということで、以下の四行詩にまとめられています。
【スマイルズ社長・の説く起業のための四行詩】
[1]やりたいこと
[2]必然性(なぜしたいのか?)
[3]意義(共感)
[4]なかったという価値(独自性)
4つのポイントの中には、収益性やニーズは含まれていません。遠山社長は、1のやりたいことをかなり重視しています。そこから出発して、共感を得られるかどうかが次のステップです。共感は、ニーズに近いかもしれませんが、どちらかというと潜在的なものに近いのでしょうか。顕在化していないニーズを商品として示し、これに共感してもらえることで、顧客・リピーターが増えるのです。その結果、企業は収益を伸ばし、成長します。
遠山社長が訴えたのは、女性が一人でも入れるヘルシーなファストフード。これを具現化するために、スープという商材が選ばれたに過ぎません。もちろん、美味しくてヘルシーなスープが飲めるからスープストックトーキョーを利用している人がほとんどでしょう。しかし、その裏には、マックを利用する時の何とも言えない罪悪感があるのです。これを解消してくれるのが、スープストックトーキョー。マックの客数減の背景には、スープストックトーキョーの店舗増により顧客流出があるのかもしれません。
スープストックトーキョーの「ヘルシーで一人でも入れるファストフード」という思想が共感されたからこそ、ここまで店舗を増やせたのでしょう。店舗の思想・考えを共感してもらえるかどうかが重要なのです。逆に、単に美味しい料理を提供するだけの飲食店は、早晩価格競争に巻き込まれることになりかねません。
☆今日のまとめ☆
スープストックトーキョーが人気を博しているのは、「ヘルシーで一人でも入れるファストフード」という思想が共感されたから。
スープはその思想を具現化するモノにすぎない。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
スープストックトーキョーの成功を受けて、スープがメインのファストフードが増えてもいいものですが、ほとんどありません。
スープの外食市場は、そう大きくないことも影響しているでしょう。
そう言えば、味噌汁以外に最近ほとんどスープを飲んだことがありません。