接客サービス・内装がしょぼくても生き残れる飲食店の理由(わけ)
最近の飲食店を見ていると、本当にレベルが上がったと思います。まず、内装。大抵のお店は、清潔感がありオシャレ。220円(増税前は200円)でコーヒーが飲めるドトールでさえ、ポップで今風な雰囲気を提供しています。決して、「安かろう」な店構えじゃないのです。大部分の飲食店は、料理もそこそこ美味しい。流行る業態があると、メニューが似てくるという傾向が強いですが、「まずい」料理に出会う確率は相当減ったのではないでしょうか。
そんな中、最近行った飲食店は、結構衝撃的でした。というのも、接客サービス・内装とも、業界標準より低いからです。受験生で言えば、偏差値50未満ということになるでしょうか。(代ゼミのニュースがあったので)詳しく言うと、接客サービスが良い悪いという前に、店に活気がない。店員にキビキビとした動きなく、まるで作業をしているかのうような感じさえ受けるほど。一度悪い所が見つかると、欠点がどんどん見えてくるものですが、決して混んでいたわけでもなく、店員が少なかったわけでもないのに、バッシング(食べ終わった皿・グラスなどを下げること)が遅い。来店客が座る寸前に下げるのはいいものの、座ってからテーブルを拭き、灰皿を下げていました。食べるまでにこれなら、私なら店を出るかもしれません。
少し言い過ぎました。次は内装なのですが、これもシンプルと言えばシンプルですが、シンプル過ぎる。まるで、テイクアウトのたこ焼き店に備えるような丸い椅子が、テーブル席に使われていました。もう一つの椅子のタイプは、公民館にあるような少し上棟のタイプ椅子。客単価2000円近い店でこれですから、驚きしかありません。
衝撃なのは、この接客サービスと内装ではありません。接客サービスと内装のレベルが低いにも関わらず、来店客がそれなりに多いことが、衝撃的なのです。ランチ時に行ったのですが、4人席3テーブルとカウンター約8席がほぼ満席。客単価2000円ほどのお店ですよ。軽い気持ちで行けるようなお店ではないにもかかわらず、土曜のランチ時、つまりビジネス客が見込めない日に、ほぼ満席なのです。
その理由について、少し考えると、答えが出てきました。それは、
自宅で調理ができないメニューだから
総菜と味の差が歴然としているメニューだから
ではないでしょうか。つまり、メニューに秘密があるのです。そのメニューとは、ひつまぶし。ひつまぶし専門店で、来店客のほとんどがひつまぶしを注文します。ひつまぶしといえば、小さく刻んだうなぎを使ったうな丼であり、最後はだしで食べるといううなぎメニュー。そのお店では、うなぎは産地限定の国産、恐らく炭火で焼いていました。国産のうなぎはスーパーでも買えますが、自宅でうなぎを炭火焼きすることは難しいことであり、大抵の人はできないはず。さらに、ひつまぶしの総菜はありません。自宅で作ることもできますが、比較的高価なうなぎにだしを掛けることは、なかなかできるものではありません。ひつまぶしというのは、専門店のメニューなのです。
つまり、このお店が流行っているのは、
内食では不可能なメニューを選んだから
ということになります。商品戦略ですね。飲食店で、内食と競合しないメニューに特化すれば、接客サービスや内装の質がそう高くなくても、うまくいくということがわかります。
☆今日のまとめ☆
接客サービス・内装の質が低くても、内食と競合しないメニューに特化すれば、それなりに流行る飲食店を作ることはできる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
ひつまぶしとうな丼を食べたのですが、料理は美味しかったです。
だからこそ、特に接客は残念に思いました。