セブン-イレブンが収益性の低いドーナツ本格販売に踏み切る理由とは?

imitation of doughnut

 

前回に引き続き、セブンのドーナツ本格販売について取り上げたいと思います。このニュースに関して、「時給の低いコンビニ店員が店内でドーナツを揚げて販売する作業で疲弊するのでは?」との意見がありましたが、日経の記事を読む限り、ドーナツは店外の工場で調理し、店内で温めて提供するようです。ただ、カウンターフードが一種類増えるのは間違いなく、店員の作業が複雑になるのは避けられません。その結果起こることは、

 

労働生産性の低下→営業利益率の低下

 

ではないでしょうか。つまり、セブンのカウンタードーナツは、収益性を損なうリスクがあるのです。

 

しかも、ドーナツの価格は、100円均一。この価格設定にも驚きました。セブンと言えば、総菜の割引セールはするものの、もともとの価格はそう低くありません。飲料などとのセットで割り引くという販促方法で、客数・客単価を引き上げてきました。ドーナツを100円で販売するのは、100円のセブンカフェが大成功を収めたからでしょう。しかし、ドーナツはコーヒーほど粗利益率が高いわけではありません。そのドーナツを低定価100円で売っても、コーヒーほど儲からないのです。

 

さらに、購入頻度の面でも、ドーナツは他のカウンターフードに劣ります。セブンで販売されているカウンターフードは、おでん・揚げ物総菜・おでんぐらい。これらのカウンターフードは、一日3回の食事になりえます。一方のドーナツは、おやつとして食されるものであり、一日3回の食事にはなりえません。この違いにより、ドーナツの購入頻度は低くなり、販売数量もそう大きく伸びないと予想されます。新聞記事によると、

 

店舗あたり一日100個

 

の販売を目指すとのことなので、日販への影響はたったの1万円。この程度の売上増なら、手間のかかるカウンターフードではなく、常温保存のスイーツをレジ近くに陳列することで、達成できるのではないでしょうか。

 

考えれば考えるほど、収益にあまり寄与しないカウンターフードのドーナツですが、それでもセブンが導入するのは、別の理由がありそうです。その理由とは、

 

セットで販売することで、セブンカフェの売上を伸ばしたいから

 

ではないでしょうか。つまり、カウンターフードのドーナツは集客商品であり、本当に売りたい収益商品は淹れたてコーヒーではないかと、思うのです。記事では、

 

コーヒーができるまでの待ち時間に「ついで買い」を促し、新しい収益源に育てる。(2014年11月20日付 日経新聞朝刊)

 

とありますが、会計が終わってからコーヒーマシンを操作するので、ついで買いはそう期待できないと予想します。

 

コーヒー販売を更に増やすために導入したカウンタードーナツだけに、コーヒー売上増への効果がさほどなければ、早めに撤退するかもしれません。

 

☆今日のまとめ☆

手間がかかるカウンターフードであり、コーヒーほど粗利益が高くないドーナツを100円で販売するのは、コーヒーの販売をさらに増やしたいからではないか。

 

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