サントリー系外食企業のダイナックの営業利益が倍増した理由

pronto il bar

 

上場企業の四半期決算が出揃いました。日経新聞朝刊には、昨年と比較した数字が羅列されてあるページがあります。このページに掲載されるのは、上場企業すべて(おそらく)であり、記事にならない企業の数字もわかります。これを読むと、意外な好業績企業・低迷企業がわかります。

 

その中で注目したのは、ダイナック。サントリー子会社の外食企業で、カフェのプロントや居酒屋の燦や響などを運営しています。このダイナックは、消費増税の悪影響が出ることの多い外食企業で、増収増益を記録しています。しかも、営業利益は倍増どころか3倍近い数字になっています。

 

外部環境が悪い中で好業績を収めた理由は、投資家情報を見ると、次のように記されてありました。

 

【ダイナックが増収増益を達成した理由】

  • 倶楽部ダイナック」という会員制度により客数維持・増に成功したから
  • 「だい九」ブランドの食品販売が好調だったから
  • 運営受託などその他事業の売上金額・利益率が向上したから

 

1について、ダイナックのHPでは、倶楽部ダイナックの募集がなされています。その一番の特徴は、還元率の高さ。なんと10%も還元されるのです。例えば、3000円支払えば、300ポイントが付与され、3000ポイントが貯まるごとに3000円のクーポンが進呈されます。これほど高い還元率は、他の外食企業で見たことがありません。一旦会員になってポイントを貯めれば、どうせ行くならダイナックのお店にしようと考える人は相当多いのではないでしょうか。倶楽部ダイナックのお陰で、既存店の客数は維持・増加に成功し、その結果プラスの既存店売上を達成しています。(リンク先はPDF)

 

2について、だい九に関するページはあったものの、あまりよくわからなかったのですが、だい九ブランドのおせちやお中元を販売しているようです。コンセプトは、ダイナックの和食部門が開発したハレの食品。この売上がいいみたいで、ダイナックの好業績に寄与しているようです。通信販売になるので、労働集約型の外食ビジネスとは異なり、販管費はほぼ固定費となり、限界利益はより高くなります。そして、恐らくそのターゲットは、倶楽部ダイナック会員。還元率の高いポイント制度のおかげで、会員数は増加していることでしょう。ならば、だい九商品の売上が増えても不思議ではありません。限界利益の高いビジネスなので、外食事業以上に利益は逓増します。

 

3について、これは投資家情報に明記されていなかったのですが、店舗変動で運営受託が増えていることが確認できます。運営受託タイプの飲食店の特徴は、集客はその施設が行ってくれるということ。もしくは、もともと集客力のある施設が、収益拡大を狙って飲食店を施設内に開いているということです。そのため、集客コストは抑えることができ、収益への寄与は通常店舗よりも大きくなります。(その分家賃が高くなりますが、家賃以上の集客効果が見込めます)

 

ここで注目したいのは、集客です。倶楽部ダイナックで集客に成功したからこそ、他の外食企業が客数減に悩むなか、客数維持・増を成し遂げることができました。値下げによる集客ではないので、客単価は大きく下がりません。それどころか、実際の客単価は引き上がっているので、

 

客数↑X客単価↑=売上↑↑

 

になります。倶楽部ダイナックの高い還元率というコストが気になりますが、販管費が大きく増えていないところを見ると、コスト以上の効果があったと考えられます。(ただし、レストラン・バー事業の利益に関しては、売上総利益しか開示されていないため、厳密に言えば、販管費を差し引いた営業利益を見ないとなんとも言えません。)

 

集客コストの低い運営受託事業が増えたことも、集客コストの低減につながっています。

 

ダイナックは、集客にさほど苦労しなかったからこそ、増収増益を達成したと考えることができるのではないでしょうか。もっと掘り下げれば、倶楽部ダイナックで大盤振る舞いをしても利益を出せる仕組みがあり、また運営受託に成功するノウハウを持っていることが、ダイナックに増収増益をもたらしたとも言えます。

 

☆今日のまとめ☆

ダイナックが増収増益を達成したのは、倶楽部ダイナックにより集客に成功したことと、集客力のある受託運営事業が増えたことが要因ではないか。

さらに、その2つができる仕組み・ノウハウこそが、ダイナックの強みとも言える。

 

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  • 今日のこぼれ話☆

ダイナックのHPでは、宴会専門のページもあります。

倶楽部ダイナック会員に、会社の宴会をダイナックでやって、ポイントを貯めようという気にさせています。

宴会の利益率は高いので、ダイナックの宴会売上比率は相当高いのかもしれませんね。

 

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