アサヒ・キリンの共同配送、必要とされるサードパーティーの役割とは?

Recycle

 

今日の日経新聞一面に、アサヒビールとキリンビールの共同配送の記事が掲載されていました。

 

アサヒビールとキリンビールが、今秋以降、ビールなどの共同配送を行うことが30日、分かった。首都圏の一部で、トラックに両社の製品を積んで納品した り、配送拠点を融通しあうなど配送の効率化を目指す。首都圏での効果を精査し、西日本にも広げる考え。両社が物流網の共同活用で提携するのは初めて。(ヤフーニュースより

 

内容は、見出しの通りですが、

アサヒビールとキリンビールが、ビールなど商品のトラック輸送を一緒に行う。

ということ。もちろん、両社にメリットがあるからこのような提携が行われます。そのメリットとは、

  1. トラックの積載効率が高まるため、商品一個あたりの運賃が下がる。(コスト削減)
  2. 利用するトラックの台数が減るため、二酸化炭素の排出量を削減できる。(環境保全)

が記事の中で述べられています。

 

1について、このメリットがあるからこそ、共同配送に踏み切ったと言えるでしょう。ビールに使われる麦などの原材料価格が上昇する一方で、デフレ経済の日本ではコスト上昇分を簡単に価格に転嫁できません。(もちろん、強行にやろうと思えばできますが、取引先を失うことになってしまいます。)だから、企業努力が必要になるのですが、その企業努力の一貫として、輸送費が削減できる共同配送にたどり着いたのでしょう。スーパーで販売する商品が届け先は、卸の倉庫やスーパーの配送センターなどある程度限られているので、複数のメーカーの商品を一つのトラックで運ぶことは、荷受する側にとっても手間が省けることになります。メーカー・卸・スーパーどれもが、メリットが享受できるのです。

 

2について、共同配送をアピールすれば、環境にやさしい企業活動をしているとして消費者にアピールすることができます。環境保全に努める企業ということが、どの程度商品選択に影響を与えるかは不明ですが、プラスに働くのは明らか。また、今後政府によって二酸化炭素排出規制が行われれば、二酸化炭素削減がコストメリットとして跳ね返ってきます。

 

このように、共同配送は、メリットがとても大きいバラ色の選択のように見えるのですが、実際の作業を考えるとそうとは言えません。共同配送を行う上で、

どの商品を、いくら、どこに、いつ納品するのか?(例えば、アサヒスーパードライ350ml缶24本入りを100ケース、イトーヨーカドー神戸倉庫に、7月3日納品など。このデータはすべてフィクションです。)

を把握しなければなりません。

 

この情報は、企業にとってあまり外部に公開したくないのではないでしょうか。ましてや、キリン(アサヒにとって)などのライバル企業には、知られたくない。その理由は、この出荷情報によって、

どの商品が、どこのお店(店舗名まではわかりませんが)で、どの程度売れているか?

がわかるからです。例えば、イトーヨーカドーの配送センターに、アサヒスーパードライが大量に出荷されていれば、キリンは、「アサヒは、セブン&ワイへの営業を強化している。」と判断します。この情報をもとに、キリンはセブン&ワイへの営業を厚くすることでしょう。

 

このように、出荷情報により営業状況がわかるので、共同配送をやるとメリットが大きいのは頭ではわかるものの、なかなか実現しないのが現実なのです。大きなデメリットがこれです。だからこそ、アサヒ・キリンというビール業界のライバル企業が共同配送するというの大きなニュースであり、日経新聞朝刊の一面に載るのだと思います。

 

ただし、メーカー以外のサードパーティーを介することにより、共同配送の大きなデメリットを解消することができます。サードパーティーが出荷情報を管理すれば、共同配送を行うメーカーに他方の出荷情報が知られることがなくなるからです。このサードパーティーとしての最右翼は、もちろん運送会社。今回のアサヒ・キリンの共同配送も、両社の子会社がその役割を担うかもしれません。その場合、親会社のメーカーには出荷情報を開示しない、という契約をしていることでしょう。

 

共同配送は、メーカー同士のマッチングビジネスとも捉えることもできます。サードパーティーが、このビジネスモデルを確立できれば、共同配送というサービスで差別化できるので、運賃の価格競争から抜け出せるかもしれません。

 

☆今日のまとめ☆

メーカーの共同配送は、コスト削減・環境保全などメリットは大きい。

しかし、出荷情報がライバル企業に漏れ、営業状況が知られるというデメリットもある。

このデメリットを無くす方法として、受注・発送を担うサードパーティーの利用が考えられる。

共同配送というビジネスモデルが確立できれば、サードパーティーの運送会社は運賃の価格競争から抜け出せるかもしれない。

 

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☆今日のこぼれ話☆

先日、姫路の友人が仕事で神戸に来たので、神戸で飲みに行きました。

その友人は、小学生の頃からの付き合い。

昔話に浸るというよりも、仕事の話が中心でしたが、大変楽しい一晩でした。

それにしても、商売のタネはいろんな所にあるものですねぇ。

 

 

☆昨日の目標→その結果☆

◎朝6時に起きる→☓

◎毎日情報を発信する→☓

◎毎日仕事以外の人に話掛ける→◯

◎腕立て・腹筋30回→◯

◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→☓

◎部屋や家の掃除をする→☓

 

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