【494号】ハインツの新型使い捨て小袋ケチャップからわかる商品開発に必要なこと

by Jacqueline

◎本日のニュース

1)見出し
Old Ketchup Packet Heads for Trash

【出典】
http://goo.gl/2T8lD

2)要約
HJハインツ社は、新しい使い捨てケチャップの発売を発表した。
このケチャップの特徴は、搾り出してフライ物に付ける使い方と
フライを付ける使い方ができるという点。
また、新型の形は、ケチャップボトルの形をし、
一袋あたりの量は従来型の約3倍。
この開発に、約3年を要したという。

この開発が行われた背景には、
従来の使い捨て小袋タイプに対する消費者の不満があった。
その不満とは、開けにくく、手が汚れ、そして量が少ない点。
そのため、消費者は、ファストフード店でフライ物を買った時に、
大量のケッチャップを取り、さらには車の中が汚れるのを嫌がり、
ドライブスルーでフレンチフライを買わない人が増えている。

この不満を解消するために、

ハインツはこれまで改良を加えてきたが、
結局絞り出すタイプと付けるタイプの二種類を販売していた。新型の使い捨てケチャップの難点はコストが大きい点で、
ハインツにとっては従来型の数倍、飲食店は約3倍かかる。
しかし、ケチャップボトル型が消費者に量の多さを暗に伝え、
これまで使っていた袋数が減り、お店にとってはコストダウンにつながる。
また、使いやすさにより、ドライブスルーでの
フレンチフライの売上が増えることを期待できる。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
As the name promises, “Dip and Squeeze” ketchup can be squeezed out
through one end or the lid can be peeled back for dipping.

4)キーとなる英文の和訳
名前の示す通り、「付けて搾れる」ケッチャップは、
端を開ければ絞り出し、カバーを剥がせば付けることができる。

5)気になる単語・表現
dip     他動詞     ~をちょっと浸す、さっとつける
squeeze 他動詞     ~を圧搾する;~を絞る
lid     名詞      (箱・なべなどの)蓋
peel    他動詞     ~の皮を剥く;~をはがす

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
ハインツが開発した新型使い捨て小袋ケッチャップの特徴をまとめると、
1.端を破ると絞り出せる
2.カバーを剥がすと付けられる
3.ケチャップボトルの形をしている
4.3倍の量がある
になる。

この特徴を備えることにより、
以下のように消費者の不満を解消できる。
1.搾り出せる→開けやすく手が汚れにくい
2.車の中でフレンチフライを食べられる
3.量が多く見える
4.多くのケチャップ袋を取らなくてよい

さらに、この新型ケチャップを導入するお店にとっては、
以下のメリットがある。
1・2 消費者の不満が解消され、フレンチフライの売上が増える
(特にドライブスルー)
3・4 消費者が使うケチャップの袋数を減らすことができ、
コストダウンになる

ハインツも、この新型ケチャップの開発により、
メリットを享受できる。記事に書かれてあるのは、
消費者の不満を解消でき、それが採用する飲食店の売上拡大につながる点。
特に、これまで限定的な取引(ハインツのお膝元ピッツバークと
ミネアポリスの店舗のみ採用)であったマクドナルド社との
取引拡大が期待できる。
現在、マクドナルド社はよりコストの低いPBケチャップを採用しているが、
ハインツの新型のメリットが明確になれば、
切り替えてもらえるかもしれない。

記事に書かれていないが、ハインツにとっては製造上のメリットもある。
これまで、絞り出し用と付け用、二種類の使い捨てケチャップを製造してきた。
これが新型の一種類に集約できれば、
製造ロットが大きくなりコストダウンにつながる。
さらに、二種類が一種類になることで在庫管理がより容易になる。
このように、ハインツにとっては、
製造コスト・在庫管理コストのダウンというメリットがある。

これらを総合すると、新型ケチャップは、
消費者・飲食店・メーカー3者にとって利用・採用・販売するメリットがある。
この事例のように、商品開発において、
最終利用者・再販売者・製造者のメリットにつながる特徴を商品に持たせることは、
とても重要である。この特徴が、販売のしやすさ、
そして数字としての売上に大きな影響を与える。

ちなみに、新型ケチャップは、中小飲食チェーンで採用されているが、
反応は上々のようである。物珍しさのために、
消費者が利用する袋数が増えたお店もあったが、
それは消費者が新型を強く支持した結果である。
実際、別のチェーン・店舗では袋数が減っている。
本格的な販売は、今年中のウェンディーズの採用から。
新型ケチャップが受け入れられたかどうかは、次の四半期決算を見て判断したい。

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《今回のヒントのまとめ》

1)ハインツが開発した新型使い捨て小袋ケチャップの特徴は、
搾り出して利用できる点、付けて利用できる点、量が多い点、
ケチャップボトルの形をしている点である。

2)これらの特徴は、使いにくく手が汚れるという消費者の不満だけでなく、
消費者が取る袋数が多くドライブスルーでの
フレンチフライの売上が悪いという飲食店の不満を解消する。

3)さらに、メーカーであるハインツにとっても、
これまで使い捨てタイプは二種類販売していたが、
これを一種類に集約することで、
製造コスト・在庫管理コストのダウンが期待できる。

4)このように、最終利用者・再販売者・製造者の三者にとって
メリットが提供できる点は、商品開発の際にとても重要である。
この点があるかどうかによって、
販売のしやすさや数字としての売上が大きく影響を受ける。

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7)おすすめ商品・サービス

◎Winecarte 簡単ワインの選び方
一番新しい記事は、

ドメーヌ・シャンドン シラーズ2008(Domaine Chandon Shiraz2008)
http://goo.gl/496sE
です。

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/

編集後記
こんばんは、高尾です。
アメリカのファストフード店では、ケチャップは無料なんですね。
最近のことはわかりませんが、マクドナルドでは、
フライ用のケチャップは有料だと思います。
(大学生の終わりの頃に、カウンターで有料になった
と言われた記憶があります。)
最終的には、アメリカでも数量限定・
有料化になるのではないでしょうか。
ケチャップの量が来店動機にあまり影響を与えないように、
思えます。
それにしても、次回のハインツ四半期決算は気になります。

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