【505号】米ネット企業・オープンテーブルとリーチローカルが成長鈍化に陥った理由とは?

OpenTableBy Robert Scoble

◎本日のニュース

1)見出し
No Groupon Therapy for Web Stars

【出典】
http://goo.gl/oH9cy
2)要約
米ネット企業のオープンテーブルとリーチローカルは、
水曜日に株価を大幅に下落させた。
その理由は、

成長鈍化により投資家の期待を大きく裏切ったからである。
グルーポン系サービスへの参入も、期待外れとなった。オープンテーブルは、レストランの予約管理サービスの提供を
そのメイン事業に据える。第三四半期の業績は、
売上が0.2%しか上昇せず、成長鈍化を印象付けた。
その理由は、レストラン事業はもともと利益率が低いゆえ、
費用をかけてまでオープンテーブルのサービスを利用できるレストラン数が少なく、
利用企業数が頭打ちしているからである。
また、予約時に割引するサービスを開始したが、
これがグルーポン系サービスと競合することも、
業績を拡大できない要因となっている。

リーチローカルは、歯科医師・弁護士・配管工などの代わりに
グーグルへの広告出稿をする事業をメインに行なっている。
営業収益段階で依然赤字のために、成長への期待はオープンテーブル以上に大きいが、
第三四半期の業績は頭打ちしている。
また、グルーポン系サービスの営業代行は、
投資家の期待が大きかったものの、フェースブックの撤退・
グーグルの中小割引サービス企業との提携など、
大きな収益は見込めないとされている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
OpenTable and ReachLocal became the latest highflying Internet darlings
to spook the stock market with signs of slower growth.

4)キーとなる英文の和訳
オープンテーブルとリーチローカルは、低成長の兆しで株式市場を驚かせた
最新の野心的なインターネットサービスとなった。

5)気になる単語・表現
highflying      形容詞     望みの高い、野心的な
darlings        名詞      最愛の人、お気に入り
spook   他動詞     ~を驚かす;幽霊

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
オープンテーブル(OpenTable)・リーチローカル(ReachLocal)の株価暴落は、
かなり大きい。
◯オープンテーブル:11%下落、52週最高値からは68%下落
◯リーチローカル:28%下落、52週最高値からは74%下落
リーチローカルの株価下落が特に大きいのは、
成長期待がオープンテーブルよりも大きいからである。
営業赤字が続く業績から、その期待の大きさがわかる。

両社への期待の大きさは、
◯オープンテーブル:レストラン事業はすべからく予約が発生するので、
潜在需要はかなり大きく、予約管理サービスを利用する企業は爆発的に増えるだろう。
◯リーチローカル:グーグルの広告はクリック成功報酬型であるので、
広告宣伝費を大きく割けない中小ローカル企業には最適であり、
中小ローカル企業のクライアントは爆発的に増えるだろう。
という推測によって形作られた。しかし、そのビジネスモデルを考えると、
その推測が外れる大きな問題があった。

ビジネスモデルで問題があったのは、
1.どうやって利益を生み出すのか。
2.どうやってその利益を継続させるのか。
の2つ。

オープンテーブルは、1に問題があった。
レストラン事業は、調理・提供などを人が行う必要があるため、
利益率は低い。それゆえ、オープンテーブルに導入費・維持費用・
予約手数料を支払う余裕のあるレストラン事業者はそれほど多くない。
だから、オープンテーブルの取引事業者数は頭打ちしている。

リーチローカルについては、2に問題があった。
グーグルへ広告出稿する目的は、見込み客の集客。
ある程度の見込み客が集まれば、広告を出す必要がなくなる。
見込み客に対し定期的に情報を発信することで、
購入につなげることができるからである。
だから、記事にもあるように、新規契約企業の多くは1年後に解約する。
そのビジネスモデルには、既存顧客から継続して売上・
利益を挙げられる仕組みがなかったのである。

ビジネスモデルに問題を抱えた両社は、成長を継続するために、
グルーポン系サービスに参入する。しかし、ここでも躓くことになる。

オープンテーブルは、予約時に割引を提供することにより、
オープンテーブル利用顧客を増やし、そのサービス価値を引き上げようとした。
しかし、これがグルーポン系サービスと競合。思ったほどの成果を挙げられていない。

リーチローカルは、その営業力を活用して、
グルーポン系サービスの営業代行を行い、新たな収益源にしようとした。
しかし、グルーポン系サービスの競争激化で撤退企業が続出したため、
その計画は頓挫している。

両社とも、急成長するグルーポン系サービス市場に参入することで、
メイン事業の成長鈍化を補い、手っ取り早く成長を維持しようとしたのだろう。
しかし、メイン事業の低迷は業績へのインパクトが大きく、
新規事業だけで補完できるものではない。
さらに、急成長市場は概して競合が激しく、その果実を享受しにくいもの。
メイン事業が好調な間に、そのビジネスモデルを精査し、
新規事業を育てる余裕が必要だろう。

※OpenTable: http://www.opentable.com/
ReachLocal: http://www.reachlocal.com/

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《今回のヒントのまとめ》

1)ネット企業のオープンテーブルとリーチローカルは
、第三四半期の業績が期待に反したため、発表翌日その株価は大きく下落した。

2)成長への期待に添えなかった理由は、
そのビジネスモデルに問題があったからである。
問題があったのは、収益方法とその持続性である。

3)オープンテーブルには、収益方法に問題があった。
低利益率のレストラン事業者で、高い費用を掛けてまで
オープンテーブルのサービスを利用できる企業はそれほど多くない
そのため、利用企業数が頭打ちすることになった。

4)リーチローカルは、収益の持続性に問題があった。
グーグルへの広告出稿代行業をメイン事業とするが、
広告出稿する目的は見込み客の集客にある。
そのため、ある程度の見込み客が集まれば、
広告は不要となる。既存顧客から継続的に売上・利益を挙げられるモデルでないために、
新規顧客獲得数の減少は及ぼす業績のインパクトはかなり大きくなる。

5)両社とも成長鈍化を回避しようと、急成長するグルーポン系サービスに参入するも、
期待したほどの成果は挙げられていない。メイン事業が好調な間に、
そのビジネスモデルを精査し、新規事業を育てる余裕が必要である。

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◎Winecarte 簡単ワインの選び方
一番新しい記事は、

カッシーナ カストレット バルベラ・ダスティ・スペリオーレ
DOC リティナ2007
(Cascina Castlet Barbera d’Asti Superiore “Litina” 2007)
http://goo.gl/xRZ38
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編集後記
先日関西スーパーで買った韓国製の第3のビール。
これが、意外にイケました。
韓国の大手ビールメーカーのハイト製のため、
飲む前からある程度期待はしていました。
見た目は、麦とホップそっくり。
最近気づいたことですが、
どこのチェーンも350ml缶で100円未満の第3のビールを販売していますね。
値段の割にそこそこ美味しいので、
ビール大手4社のシェアが今後減るのではないかと、
予測しています。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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