良品計画松井会長の講演会、2000年頃良品計画が低迷した理由とその脱却方法とは?

無印良品By Lady Madonna

 

昨日は、神戸商工会議所主催の講演会に参加しました。講師は、良品計画会長の松井さん。一部上場の大企業なので、中小企業にはあまり参考にならないかも、とも思いましたが、消費財を開発・販売する企業なので、何か面白い話を得られるかと思い、ポートアイランドまで足を運びました。少し聞きづらく感じましたが、とても興味深いお話をしていただきました。ありがとうございました。

 

良品計画の創業から海外展開まで一通り聞きましたが、メインテーマは2000年頃の業績低迷の話。それまでは、イケイケドンドンで業績を拡大してきましたが、2000年頃に売上上昇率が小さくなり、利益が稼げなくなりました。低迷の原因をまとめると、以下のようになります。

  1. 好業績に胡座をかぎ、努力を怠っていたから。
  2. そのため、問題解決方法が短期的・表層的になったから。
  3. 出店増による売上拡大で根本問題に目をつぶっていたから。
  4. 競合企業の登場と成長のため、競争が激化したから。

 

一番の問題は、1の努力を怠ったことです。官僚化した組織や外部への横柄な態度が、それを物語っていたようです。実は、2000年頃に会社の先輩に連れられて、一度だけ無印本社を訪問したことがあります。商談にも同席したのですが、それほど嫌な感じはしなかったです。無印独特のナチュラルな感じがする男性社員さんが、商談相手でした。その方が、例外だったのかもしれません。松井会長によると、組織のセクショナリズムも相当進んでいたようです。

 

努力を怠った結果、2のような対応を取ってしまい、結局問題は解決しません。出店数が増えていたので、売上の拡大は続きます。そして、3が起こります。危機感の欠如とでも言えるでしょうか。

 

これらの結果、消費者ニーズの変化に対応できなくなり、商品の売れ行きが悪化します。これは、既存店売上高に表れます。出店増で売上は伸びているものの、既存店売上高は伸びません。一般的に、新規出店すると、新規顧客を新たに獲得する必要があるため、既存店よりも利益率が低くなります。そのため、出店増により利益金額は増えても、利益金額は低迷することになります。これが、2000年頃の無印の低迷です。

 

外部環境に目を転じると、4の要因が浮かびます。無印良品は、雑貨から家具・アパレル・文具まで扱っています。これらの各分野に低価格の競合企業が登場し、無印から顧客を奪うことになります。競合企業とは、

  • 雑貨→ダイソーやキャンドゥなどの100均ショップ、ホームセンター
  • 家具→ニトリ
  • アパレル→ユニクロ

など。どれも、シンプル・高機能という無印と似たような特徴の商品を、低価格で販売します。これら低価格の競合企業の影響は、相当大きかったのでしょう。

 

この低迷期に社長になったのが、松井会長。だから、松井会長の話にはとてもリアル感がありました。業績低迷からの脱却方法は、次のようにまとめられるかと思います。

 

  1. 顧客の声・ニーズを真摯に聞き、商品開発に取り入れる。
  2. 損失を生み出す膿を出しきる。
  3. コンセプトを新しくする。
  4. 無駄を無くすことにより、稼げる仕組みを作る。

 

1は、これまでの成功体験を捨てることになります。具体的には、顧客に一番近い場所にいる店長と直接コミュニケーションを取る機会を増やしたようです。また、稟議の印鑑や組織の階層を少なくするなど、組織のフラット化も進めました。

 

また、2の損切りも行いました。つまり、不良在庫の処分や不採算店舗(特に海外)の閉鎖など。いずれ好転するだろうという願望を捨て、現実を直視したとも言えます。

 

3の新コンセプトですが、これは1の結果とも言えます。つまり、これまでの「わけあって安い」から、「ハイクオリティ・ベーシック、創造的省略」というよりポジティブなコンセプトに変わりました。2000年頃と言えば、いろんな分野で価格破壊が起こり、単に安いだけでは消費者が見向きしなくなった時期です。「わけあって安い」だけでは、無印で無くても、もっと安い他のブランドで用を足せたのでしょう。そこで、安いだけでなく、品質を高めつつも、これまでのベーシック路線は踏襲する。さらに、価格を下げるために機能や装飾を省略するのではなく、消費者が感じる価値を高めるためにあえて省略する。ただ、そこにエゴイストはなく、抑制や譲歩という考えを込めたようです。「これがいい」ではなく、「これでいい」商品の開発です。価格ではなく価値観を売ることにより、低価格で成長する競合他社と大きな差別化ができるようになります。

 

4は、一番現実的な収益の改善策です。一言で言えば、無駄を無くすことによって、利益率の改善を目指しました。より詳しく言うと、

  •  共同化・共通化→配送の共同化、取引企業の集約、事務所の店舗内移動など
  • 自前化・自動化→主体的なシステム開発、自動発注システム、返品・日報作成作業の簡素化など

に分けることができます。これを、店舗業務・本部業務で行いました。

 

無印良品の業績低迷とV字回復から、次のようなことが学べるかと思えます。

  1. ユーザー・競合などの外部環境の変化により、好業績が続くとは限らない。
  2. 逆に言えば、好業績企業がいる業界でも、参入余地がある。
  3. 価格による差別化は長続きしない。
  4. 価格よりもコンセプト(価値)を売ることにより、顧客のブランドロイヤリティを育てることができる。

 

実際、無印の主要顧客は30代~40代の団塊ジュニア。だから、毎年顧客平均年齢は上昇しています。つまり、無印のコンセプトを指示する団塊ジュニアが、無印良品のリピーターとして、収益に貢献しています。(平均月3回の来店のようです。)逆に言えば、シルバーMUJIやベイビーMUJIなどは無いということです。(実際、シルバー向けの商品開発は、特別しないとのことでした。)

 

コンセプトを訴えて顧客獲得を目指す企業の強さを、改めて感じました。無印以外で言えば、ユニクロやイケアなどでしょうか。

 

 

☆  今日のまとめ☆

2000年頃に無印良品が低迷した理由は、好業績に胡座をかぎ、努力を怠ったから。その結果、問題の根本が解決されず、利益が大きく落ち込むことになる。また、消費者や競合の変化など、外部環境の変化に対応できなかったことも、低迷を招くことになった。

そして、低迷からV字回復した一番大きな要因は、新しいコンセプトを作り、価格ではなくその価値観を訴えたことである。

ブランドの価値観を支持する顧客は、リピーターとなって長期になって収益に貢献してくれる。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

タイガース、DeNAに負けました。

気が緩んでいたのでしょうか。

ミスも多いように感じました。

3連勝を狙っていただけに、残念。

週末2連勝のプレッシャーは大きいですが、新井さんと金本さんには頑張ってもらいたいです。

 

☆昨日の目標→その結果☆

◎朝6時に起きる→◯

◎毎日情報を発信する→◯

◎毎日仕事以外の人に話掛ける→◯

◎腕立て・腹筋30回→◯

◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→◯

◎部屋や家の掃除をする→☓

◎営業日誌を付ける→☓

 

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