Tポイントがもらえるキリン自販機からわかる販促費の変化とは?

 

先日、神戸を歩いていたら、とある自販機を見つけました。その自販機には、

 

商品を購入すれば、Tポイントがもらえる

 

という特徴があります。ネットで調べてみると、キリンの自販機のようです。

 

キリンビバレッジ株式会社(社長 前田仁)は、日本最大級の共通ポイントサービス「Tポイント」(※1) を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(取締役社長兼CEO:増田宗昭)と「Tポイントサービス」導入に関して業務提携し、「Tポイン ト」が貯まる「Tポイント自動販売機」を2012年度から首都圏エリア(※2)より順次展開します。自動販売機における「Tポイントサービス」の導入は、 当社が初めてとなります。(キリンのニュースリリースより

 

この自販機の周りには、コカ・コーラなど他社の自販機が複数あったので、Tポイントを付与することにより、

 

Tカードユーザーの購入を後押しできる

 

という効果が期待できます。そして、それはキリンの売上増加につながります。

もちろん、消費者にとっては、他の自販機ではもらえないTポイントがもらえるという大きなメリットがあります。

 

そこで、自販機の販促について考えてみました。従来の自販機では、商品力やブランド力で差別化していました。価格はどれも同じだからです。例えば、150円のキリンレモンではなく150円のコカ・コーラを買う人は、コカ・コーラを飲みたいと思ったからです。そこにあるのはブランド競争。価格競争はありません。ただ、飲みたいと思ってもらうために、企業は広告費を掛ける必要があります。CMやら雑誌広告やらで、そのブランドに親しみを抱いてもらい、好きになってもらうのです。この場合、

 

【従来の自販機】

企業が負担する販促コスト=広告代理店に支払う広告費

 

という構図が成り立ちます。

 

いつからでしょうか、飲料を100円で販売する自販機が登場してきました。先日も、少し離れたタバコ屋さんの店頭に、複数の自販機があるなか一つだけ100円自販機がありました。100円で売ることにより、他の自販機に価格競争を仕掛けたことになります。他の自販機が似た商品を150円で販売していたら、差額の50円が販促コストになります。この場合、

 

【100円自販機】

企業が負担する販促コスト=購入者に支払う値下げ額

 

となります。

 

そして、Tポイントを付与する自販機が、今回登場しました。この場合、Tポイントが付与されることが、この自販機で購入する動機となりえます。企業から見れば、Tポイントが販促費となるのです。つまり、

 

【Tポイント自販機】

企業が負担する販促コスト=購入者に付与するTポイント

 

となります。

 

Tポイント1ポイント分が1円として使えるサービスが多い事を考えると、Tポイント自販機と100円自販機は、販促費に関してとても良く似ています。しかし、長い目で見た売上を考えた場合、次のような大きな違いがあります。

 

◯100円自販機→一回の取引(購入)が起こるだけで、その後の売上への影響はほとんどなし。

◯Tポイント自販機→購入後に購入者にコミュニケーションが行えるので、次回の売上につなげることができる。購入者の属性を収集することで、商品開発の成功確率を上げることができる。

 

一言で言えば、一回の売上で終わるか、次の売上に繋げられるかの違い。販促費が、継続的な売上増加につなげるために使われたことになります。これは、従来の自販機に使われた広告費と似ていますが、

 

費用を購入者に支払った点(従来の自販機では、費用を広告代理店に支払っている)

 

で大きく異なります。継続的な売上につながる販促をしつつも、その恩恵をできるだけ購入者に還元している、と読み解くことができます。

 

今後この流れが、さらに進むようになるかもしれません。ショッピの来店ポイントなどを考えると、購入者への還元にとどまらず、来店者への還元に拡大されるかもしれません。

 

☆  今日のまとめ☆

Tポイント自販機で面白いのは、企業が負担する販促費を、購入者にポイント付与と言う形で還元している点である。

従来の自販機では、販促費は広告代理店に支払われ、100円自販機では、購入者に値引きという形で還元されていた。

100円自販機よりTポイント自販機の方が優れているのは、一回の取引を継続的な取引につなげられる点である。

 

 

 

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☆  今日のこぼれ話☆

自販機で飲料を購入することが、めっきり減りました。

できるだけ低コスト運営(生活)を心がけているので、お茶を持参するようにしています。

 

 

☆昨日の目標→その結果☆

◎朝6時に起きる→◯

◎毎日情報を発信する→◯

◎毎日仕事以外の人に話掛ける→◯

◎腕立て・腹筋30回→◯

◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→◯

◎部屋や家の掃除をする→☓

◎営業日誌を付ける→☓

Tポイントがもらえるキリン自販機からわかる販促費の変化とは?” に対して2件のコメントがあります。

  1. なこじた より:

    自動販売機でポイントが付くのは他の例でダイドーが独自のポイントサービスをしており最初の1本で1ポイント加算されたカードが自動販売機から出てきて必要なポイントをためて応募すると景品がもらえるのがあります。コカコーラは電子マネー対応自動販売機でEdyならANAのEdyでマイルがたまったりnanacoでnanacoポイントがたまるなどあります。ただすべての自動販売機でこれらを実施しているわけではありません。コカコーラは電子マネー対応でも自動販売機によって使える電子マネーの種類もさまざまです。

    1. ryotarotakao より:

      なこじたさん

      コメントありがとうございます。
      普段自販機を利用しないので、とても勉強になりました。
      電子マネーを使い出したのも最近ですが、本当に便利ですね。
      ポイントが溜まるので、小銭を使うのがもったいなく感じるほど。
      クレジットカードと電子マネーの連携がもっと向上すれば、電子マネーの利用はもっと増えると思います。
      これからも、いろいろ教えてくださいね。

      高尾亮太朗

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