宅配サービス参入のために、ポンタ陣営のローソンがTポイント陣営のヤフーと提携した理由とは?
By LHOON
ローソン・ヤフーによる宅配サービスへの参入の記事を、日経新聞で読みました。
ローソンはヤフーと提携し、来年1月からインターネットを使った食品や日用品の宅配を始める。国内最大のポータル(玄関)サイトの集客力を生かし、ネットを「第2の店舗」に位置付ける。ファミリーマートも今月から傘下の弁当宅配会社を通じコンビニエンスストアの商品を配達する。頻繁な来店が難しいシニアや共働き世帯が増えるなか、店舗の利便性を武器にしてきたビジネスモデルを変革し、消費者との接点を増やす。(2012年12月4日日経新聞朝刊より)
価格はスーパー並みにするというので、ネットスーパーに対抗したサービスであることがわかります。既存のネットスーパーとの差別化として、以下のような商品を提供するとのことです。
【ローソン・ヤフーによる宅配サービスの特徴】
[1] 簡単調理セットの販売
[2] 定期購入形式
1に関して、3~4人前のメニューが簡単に作れるセットを販売するそうです。ヨシケイなどの、切り分けた食材と調味料のセットを販売するのでしょうか。ならば、ヨシケイなどの食材販売企業とも競合します。準備済の食材と加工食品・生鮮品がワンストップで購入できるとなれば、忙しい人にはうれしいサービスになるかと思います。
2に関して、記事では次のように説明されています。
顧客はスマートフォン(スマホ)などで注文すると週1回、指定時間帯に定期的に商品が届く。
つまり、毎回注文する必要がないとのこと。クックパッドの野菜販売と似ています。定期購入にするメリットは、以下の通り。
【企業・ユーザーの定期購入のメリット】
[企業]売上が安定する
[ユーザー]購入行動が1回で済む
企業にとっては、一度購入してもらえれば、休止するまで継続した売上を上げることができます。携帯電話と似たビジネスモデルです。また、定期購入にすることで、ユーザーは毎回買うかどうかを決める必要がなくなり、購入のハードルが下がります。通常のネット通販のように、毎回クリックが必要なサービスの場合、その都度「買うべきかどうか」を決めなければならず、それがリピート購入を妨げます。もし、携帯電話キャリアが、契約を更新するのに毎月クリックを要求ならば、契約解除をする人が増大することでしょう。毎回クリックすることが無いことは、ユーザーにとって選択の決断が一回で済むというメリットがあります。
ローソンが宅配サービスに参入したのは、この売上の安定が目的ではないでしょうか。そして、定期購入サービスを販売するためには、ヤフープレミアムという定期購入サービスを既に実施している、ヤフーと組むのが近道です。ローソンにはない、定期購入サービス販売のノウハウをヤフーが持っているからです。
考えてみれば、ローソンはポンタ陣営なのに対し、ヤフーはTポイント陣営。さらに、ヤフーは、ヤフーポイントを廃止してTポイントに統合する計画です。今後、Tポイントのメインプレイヤーにヤフーが成り上がるかもしれません。ローソンが、ポイントサービスで敵対するヤフーを提携先に選んだのは、その会員数の多さ・アクセス数の多さだけでなく、定期購入サービス販売のノウハウを持っているからではないでしょうか。
☆ 今日のまとめ☆
ローソンは、宅配サービスを定期購入型にすることにより、売上を安定させることができる。
ヤフーをパートナーに選んだのは、定期購入サービスの販売ノウハウを持っているからではないか。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
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☆ 今日のこぼれ話☆
ちなみに、私はTポイント陣営です。
というのも、自宅近くのコンビニが、ほとんどファミマだから。
ファミマTカードの使い勝手の良さも、いいですね。
なんせ、バスの回数券を買ったら、Tポイントが付くんですから。
☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆
「安易に流行を追うのはダメだが、売れているものには、必ず何らかのヒントがあるのも事実だ。」
(『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』より)
※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。