5月梅田百貨店売上、グランフロントの影響を一番受けたのはどこ?
5月の百貨店売上が発表されました。大手5社の全社ベースの売上は、どこも前年比プラス。アベノミクスの効果が色濃く出ました。しかし、梅田の百貨店に関しては、アベノミクスよりもグランフロント大阪の影響が大きかったようです。
JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」の複合施設「グランフロント大阪」の開業を受け、大阪・梅田地区の商業施設の間で、顧客獲得の競争が激化している。3日出そろった関西の主要商業施設の5月の売上高によると、梅田地区で大丸、JR大阪三越伊勢丹など主要施設で軒並み売り上げを減らした。百貨店全般では、衣料品や外国人客を含めた高額消費で好調だったが、梅田地区はグランフロントに売り上げを奪われた格好だ。(2013年6月4日付 日経新聞朝刊)
梅田の百貨店・SC(ショッピングセンター)は、グランフロント大阪のオープンの割を食ったようですが、店舗ごとの数字を見れば、どこが特に割りを食ったのかが一目瞭然です。
【梅田の百貨店・SC5月売上高前年比】
阪急うめだ本店 +63.0%
阪神梅田本店 -16.1%
大丸梅田店 -7.1%
ルクア -7.0%
JR大阪三越伊勢丹 -7.4%
※日経新聞より
阪急うめだ本店は、リニューアルの影響がまだ残っているのかと思いましたが、プラスの要因は別のところにあるようです。それは、グランフロント大阪との客層の違い。富裕層をターゲットにしたために、グランフロント大阪とバッティングせずに、影響をほとんど受けずに済んだとのこと。アベノミクス効果が、グランフロント大阪のマイナス影響以上にあったということでしょうか。
私の感想では、阪急うめだ本店のデパ地下の集客は、リニューアル当初よりもかなり下落。なんせ、モンジュのバケットが、行列なしで買えるぐらいですから。そして、前回取り上げましたが、上階のファッションフロアも、以前ほど混んでいないように感じます。一部の富裕層による高額消費が、集客減による売上減以上にデカかったのでしょう、きっと。
JR大阪三越伊勢丹の売上が大きく減っていることは、意外です。最近よく行くのですが、以前よりは明らかに来店客数は増えています。昔感じた、悲しいほどの閑散さは、全くないと言ってもいいぐらいです。ただ、それはデパ地下でのこと。ファッションフロアは、グランフロント大阪の新鮮さに負けたのだと思います。だからこそ、7%も売上を落としたのでしょう。また、デパ地下の集客増は、野菜や鮮魚の低価格販売によるものだと思います。客数が増えても、客単価がそれ以上に減れば、売上は減少するもの。今後、増やした来店客に、いかにしてもう一品買ってもらうかが、問われるのだと思います。
グランフロント大阪の悪影響を一番受けたのは、阪神梅田本店。これは、地理上の遠さが一番の要因でしょう。JRや阪急を使う人なら、グランフロント大阪のある北方面にそのまま行ってしまう人が多かったのではないでしょうか。以前なら食品は阪神で買っていた人が、グランフロント大阪のウメキタセラー(食料品やレストランが集積した場所)で思わず買ってしまったのかもしれません。それとも、JR大阪三越伊勢丹の生鮮品の安さに気づき、総菜類も三越伊勢丹で買ったことも考えられます。阪神電車を利用するならともかく、わざわざ遠い阪神百貨店まで足を運ぶのは、面倒くさい。そういう利便性ニーズが逆に働いたからこそ、阪神梅田本店が一番割を食ったのではないでしょうか。
実際、阪神梅田本店のデパ地下に足を踏み入れたところ、その集客減は実感しました。特に、ワインの試飲売場やその前にあるセゾンファクトリーの試飲売場に人が少ないのです。普段ならば、もっと混み合っていてもいいはず。それが、本当に少なく、たまに店員さん(試飲を勧める販売員)の方が多い時もあるぐらい。だから、最近毎週末のように(あくまで私の来店時にはいつも)、ワイン福袋を実施しているのかもしれません。一方、JR大阪三越伊勢丹のワイン売り場は、以前よりも若干お客さんが増えていました。ワインの関しても、阪神梅田本店からよりグランフロントに近いJR大阪三越伊勢丹に、集客がシフトしているのかもしれません。
マイナス16%超という数字は、私の実感とほぼ同じでしょうか。地理的に一番不便で、ターゲットでもバッティングしうる阪神梅田本店が、グランフロント大阪オープンの悪影響を一番受けているようです。
☆今日のまとめ☆
グランフロント大阪オープンの悪影響を一番受けているのは、数字・実感から阪神梅田本店だろう。
その要因は、地理的な遠さとターゲットのバッティングではないか。
特にデパ地下の集客では、阪神梅田本店からJR大阪三越伊勢丹へのシフトが起こっているのではないか。
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☆ 今日のこぼれ話☆
大丸は意外に健闘していますね。
この百貨店は、カード会員をがっちり掴んでいるという感じ。
それに、ポケモンセンター・ハンズ・ユニクロという集客力のあるテナントの存在が、大きいですよ。