立地別価格導入でマクドナルドが狙う目的とは?
by courtesy of Jan
マクドナルドが立地別に異なった価格を導入するようです。
日本マクドナルドホールディングス(HD)は13日から価格を立地の特性に応じて9段階に分ける。従 来は都道府県別の6段階だった。同じ自治体内でも観光名所や空港など需要が旺盛な場所を最も高くし、商圏人口が少ない地方の郊外店まで立地ごとの購買力や 営業コストなどに応じてきめ細かく設定する。全国一律を基本としてきた日本の外食企業の価格戦略に影響しそうだ。 (2013年9月10日付 日経新聞朝刊)
要は、人が集まる場所では価格を上げようということです。その理由は、家賃など固定費が高いから。簡単な理屈で、特に難しいことはありません。ただ、本当の狙いが他にあるように思うのです。
そう感じるのは、次のような価格設定を行うからです。
【マクドナルドが導入する立地別価格の一例】
[ビックマック]290円~340円→310円~390円
[ハッピーセット]全店の約一割の店舗で値下げ
立地別価格の導入と言いながら、ビックマックはちゃっかり値上げされています。一方で、ハッピーセットは値下げされているのです。つまり、立地別価格の導入という名目で、価格改定を行っているように感じるのです。
記事ではビックマックしか取り上げられていませんでしたが、売上構成比で約4割にあたる商品が、価格見直しの対象に当たるとのこと。この中には、100円マックなどの低価格商品は含まれていません。この価格改定からわかることは、
客単価引き上げが目的
ということではないでしょうか。低価格商品を値上げすれば、客数が大きく減るリスクがあります。しかし、高価格商品なら、ロイヤルユーザーの注文が多いので、少々値上げしても、客数や注文数にはさほど影響しません。だから、高価格商品を狙いうちして、値上げを行ったのではないでしょうか。
【ビックマックなど高価格商品の値上げ目的】
客単価の引き上げ
客単価の引き上げは、マクドナルドの既定路線そのもの。月見バーガーの価格を引き上げたのも、高級バーガーを発売したのも、客単価引き上げを狙ったものです。
一方で、子供向けのハッピーセットは値上げしています。この狙いは、
子供連れの家族の来店頻度を高めるため
でしょう。子供がマクドナルドを訪れる機会が増えれば、マクドナルドへの親近感が沸き、中高生になっても利用してくれる確率は飛躍的に上がります。さらに、ハッピーセットの注文は子供連れの家族が行うことを考えれば、団体の来店を促すことができ、客単価の向上につながります。さらに、子供連れの家族は、喫茶利用よりも食事利用が多いことを考えると、これも客単価向上に寄与することになります。
つまり、立地別価格を導入する一方で、高価格商品の値上げとハッピーセットの値下げにより、客単価の引き上げを狙っているのではないでしょうか。
☆今日のまとめ☆
マクドナルドが立地別価格を導入するのは、高価格商品の値上げとハッピーセットの値下げを通じて、客単価を引き上げるためではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
マクドナルドの立地別価格については、いろいろ考えることがあるので、さらに分析したいと思います。
それにしても、マクドナルドの価格がどんどんわかりにくくなりますね。