雇用形態から考えた、セブン-イレブン売上好調の要因

神戸・三宮にできたセブン-イレブン

 

雇用形態から企業業績の要因を考えていますが、今回はセブン-イレブンについて考えてみたいと思います。セブン-イレブンは、売上が本当に好調のようです。

 

セブン&アイ・ホールディングスが3日発表し た2013年3~8月期の連結決算は、純利益が833億円と前年同期に比べ25%増え、同期間として過去最高を更新した。主力のコンビニエンスストアで品 質を高めたプライベートブランド(PB=自主企画)商品が好調だったうえ、苦戦していた総合スーパーのイトーヨーカ堂も合理化効果で収益が改善した。(2013年10月4日付 日経新聞朝刊)

 

セブン-イレブンは、正規と非正規どちらをメインターゲットしているかは、正直わかりません。コンビニは、もともと利便性をウリにしているので、時間価値の高い正規雇用者の方が、メインターゲットとも言えるかもしれません。その正規の給与が増加していると考えるならば、セブン-イレブンには高額商品が売れるチャンスがあることになります。

 

ここでピンと来たのが、売上好調な金の食パンです。NB商品の食パンよりも20~30円高い金の食パンが売れているのは、メインターゲットの正規雇用者の給与が増加したからではないでしょうか。さらに、労働市場から引退したものの、比較的高い年金をもらっているシニア層の来店が増えたことも、金の食パンが売れた要因でしょう。

 

では、非正規はセブン-イレブンの業績に全く寄与していないのでしょうか。そうとは思えません。非正規もかなり貢献していると考えます。そう思うのは、次の理由からです。

 

【非正規がセブン-イレブン業績に大きく貢献していると考える理由】

[1]残業増加により、利便性の高いコンビニ利用が増えたと考えられるから

[2]PB商品の増加やNB商品の値下げにより、コンビニの単価が下がったから

 

1について、厚生労働省発表の所定外労働時間統計を見ると、今年4月から5ヶ月連続前年比プラスで推移しています。特に、直近の6・7・8月は、2%以上の増加。つまり、残業がかなり増加しているのです。正規・非正規とも残業が増加していると考えれば、非正規の自由時間が減少したことになります。買い物に費やせる時間も減ったことであり、利便性の高い立地にあるコンビニ利用が増えても不思議ではありません。この恩恵を一番受けるのが、コンビニシェア1位のセブン-イレブンになるわけです。

 

さらに、2のように、コンビニの販売価格は、かつてのように高くありません。割安なPB商品が増えたからであり、またNB商品も値下げされています。今では、加工食品や総菜だけでなく、卵や牛乳・納豆・豆腐まで、手頃な価格で購入できます。この結果、わざわざ営業時間を気にして遠くのスーパーに行く必要性が薄れるのです。特に、セブン-イレブンは、PB商品の開発に力をいれており、割安に感じる人は多いのではないでしょうか。

 

実際、セブン-イレブンの店舗を覗くと、比較的単価の高いスイーツもありますが、105円のシュークリームも販売されています。おにぎり100円セールを多発するのも、非正規の集客増を目指したものではないでしょうか。

 

正規の所得増で客単価を引き上げつつ、非正規の集客で客数を伸ばすと考えれば、セブン-イレブンの好業績の要因が理解できます。

 

☆今日のまとめ☆

セブン-イレブンは、所得増の正規がメインターゲットだが、非正規の利用増も好業績に大きく寄与しているのではないか。

非正規雇用者は、残業増加で利便性を優先するとともに、PB商品の増加やNB商品の値下げによってセブン-イレブンで割安な買い物ができることにより、セブン-イレブンの利用を増やしているものと思われる。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

経済統計は、日経新聞の月曜日に掲載されています。

一つ一つの数字は、発表時に記事として取り上げられますが、時系列で見ると新たな発表がありますね。

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