高島屋のおせち販売実績からわかる、百貨店の販売戦略

 おせち料理

 by courtesy of Masayoshi Sekimura

先日の日経新聞に、早くも今年のおせち販売途中経過が掲載されていました。

 

高島屋では全店の受注高が受け付けを始めた10月2日からの6日間で前年に比べて11・6%増。高島屋東京店(東京・中央)では同期間の1人当たりの購入額が前年比で10%上昇している。京都の老舗料亭が作る5万円以上の「和の二段重」などの売れ行きが好調だ。(2013年10月9日付 日経新聞朝刊)

 

何気ない記事ですが、この記事に掲載されている数字から、とても興味深いことがわかりました。注目したのは、受注高(≒売上高)と客単価。

 

【高島屋東京店のおせち売上高と客単価】

[売上高]11.6%増

[客単価]10%以上増

 

売上高は高島屋全体であり、客単価は高島屋東京店のみなので、ちょっと無理がありますが、東京店の売上高が全店平均と同じとして考えてみます。東京店は高島屋の都心型店舗であり、アベノミクス効果がモロに出ている店舗と言えます。つまり、売上が好調に推移する百貨店のモデル店とも言えます。

 

上記数字からわかることは、売上高の増加率と客単価の増加率がほぼ同じということ。さらに言えば、売上高以上に客単価が上昇しているとも捉えることができます。つまり、売上増の要因は、客単価増にあり、客数はほとんど変化していないのです。

 

これを百貨店全体の売上に当てはめれば、百貨店の売上好調は、客単価の増加によるものと捉えることができます。客単価の引き上げに成功したからこそ、売上が好調に推移しているのです。そして、単に売上が伸びたにとどまらず、利益の増加にも結びついています。

 

10日に決算発表した高島屋も経常利益が134億円と15%増えた。同時に通期の業績予想も上方修正。やはり高額品の伸びが顕著で、上期の腕時計販売額が前年同期比4割増加。70万~100万円が売れ筋の「ロレックス」は約7割伸びた。(2013年10月11日付 日経新聞朝刊)

 

一方、客数増で売上を稼いだユニクロ(国内)は、減益を余儀なくされています。

 

ファーストリテイリングが10日発表した2013年8月期の連結決算は、純利益が903億円と前の期 比26%増え、2期連続で過去最高を更新した。国内ユニクロ事業は値下げ販売が増えて営業減益となったが、アジアを中心に海外の成長がけん引した。期末配 当を前の期より20円増の150円とし、年間配は同30円増の290円とする。(2013年10月11日付 日経新聞朝刊)

 

客単価引き上げに成功したかどうかこそが、アベノミクス効果を上手く引き寄せて利益を伸ばせたかどうかを決めているのではないでしょうか。

 

☆今日のまとめ☆

高島屋東京店のおせち販売実績からわかるのは、客単価の引き上げが売上増に結びついているということ。

客単価引き上げに成功したからこそ、利益拡大にもつながったのだろう。

一方、客数増で売上を拡大した国内ユニクロは、減益を余儀なくされた。

客単価引き上げに成功したかどうかこそが、アベノミクス下の利益増減を決めるのではないか。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

国内ユニクロ事業の既存店売上高は毎月チェックしていただけに、減益は意外でした。

値引きによる収益拡大がかなり難しいことを、物語っています。

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