ワタミのファミレス・饗の屋が売上不振に陥っている理由
by courtesy of Ian Muttoo
ワタミの四半期説明書によると、ファミレスの饗の屋も売上が低迷しているようです。そう言えば、1年ほど前に、ワタミの桑原社長がファミレスに参入すると発表した記事を読んだことがあります。当時のファミレスはまだ冬の時代。その逆風吹き荒れるファミレス業界に参入するには、ファミレス市場に不備があったからこそでしょう。しかし、皮肉なもので、ファミレスが復活する一方で、ワタミのファミレスは営業不振に陥っているのです。
実際に利用したことがないのですが、メニューを見れば何となくイメージが付きます。昔ワタミが展開していた、和食レストランの和み亭に、洋食をプラスしたファミリー向けレストランです。収益が向上するロイヤルホストと比較すると、次のようになります。
【ワタミのファミレス・饗の屋とロイヤルホストの比較】
[饗の屋]和のイメージ、リーゾナブルな和民のイメージ
[ロイヤルホスト]洋のイメージ、高品質・高単価なイメージ
饗の屋の方がリーゾナブルなので、消費者の支持を受けそうですが、実際はそうではなりません。この原因は、ファミレスのターゲット層を見れば、わかります。今ファミレスが復活したのは、高齢者や主婦の利用が増えたから。両者に共通するのは、
子供連れで利用する機会が多い
ということです。子供を連れて行くなら、子供の好きな料理が豊富なお店がいいのは当然。圧倒的に多くの子供が、和食よりも洋食が好きであることを考えれば、子供を連れて行くお店なのは、饗の屋ではなくロイヤルホストになります。
【饗の屋ではなくロイヤルホストに人気がある理由】
子供の好きな洋食のイメージが強いから
さらに、カフェ需要の増加を考えれば、ロイヤルホストの利用者が増えるのも理解できます。和のイメージが強い饗の屋に、わざわざコーヒーを飲みに行くのは、なかなか考えにくいものです。
これらをまとめると、ファミレスが復活した理由が理解できます。
子供が好きな洋食のイメージが強く、カフェとしても利用できるから
なのです。決して、総合型飲食店が復活したわけではないのです。
☆今日のまとめ☆
ワタミのファミレス・饗の屋の売上が伸びないのは、和のイメージが強いために、子供の支持を受けないからである。
また、カフェ利用としてイメージしにくいという理由もある。
逆に、ロイヤルホストは、子供の好きな洋食のイメージが強く、カフェ利用もできるので、復活した。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
ファミレスに昔の喫茶店のイメージを重ねる高齢者もいるのでしょう。
ファミレス復活は、高齢化の影響も大きいと考えています。
大変いまさらではありますが、響の屋が健在だった当時はコンスタントに通っていたユーザーとして、実際と明らかに異なってるところだけ記録としてお伝えしておきます。
>>[饗の屋]和のイメージ、リーゾナブルな和民のイメージ
和のイメージがどういうものを指すのかは主観的なのでそれは置いておきますが、メニューはほぼ和食でした。焼き魚とかしゃぶしゃぶとかあとは御膳形式だったり。
あと「リーゾナブル」というのが単に安価ということだけを言うのであれば、それはおそらく誤りです。夕食時間帯にドリンク1杯付けて2000円強はしました。その点では比較対象に挙げられているロイヤルホストよりも高客単価かと。ただし、原義通りのreasonableという意味であれば外れてないと思います。値段相応においしかったですよ。