タイガー・ヒャックリから考えた、クラッセ御影の雑貨店2店が閉店した理由

阪神御影駅前にあるショッピングセンター・クラッセ御影のテナントが、大きく様変わりしようとしています。そう気づいたのは、今年に入って閉める店舗が増えたから。特に、印象的なのが雑貨店2店の閉店です。

その理由を考えた時、次の日経MJの記事がとても参考になりました。

フライング・タイガー・コペンハーゲンをはじめ、「１００円ショップ以上、デザイン雑貨店未満の価格」で出店が相次ぐ新興雑貨店。ユニークなデザインの商品は激安でも生活必需品でもないが、客足は途絶えない。上向き始めた景気の中で変わりつつある消費者心理をとらえ、衝動買いを呼ぶ各社の戦略からは、共通する３つの法則が浮かび上がる。（2014年1月20日付　日経MJ）

雑貨業界では、欧米小売のタイガーやロフトの売場ヒャックリが人気のようです。その人気の法則として、日経MJは3つの共通点を上げています。

【日経MJが見つけた人気雑貨店の法則】

［1］価格を気にせず安心して買える

［2］均一価格ではなく価格を細かく設定

［3］驚き・楽しさで衝動買いをさせる

1について、価格を気にせずというのは、品質で勝負しているという意味ではありません。安いイメージを強く植え付けることで、「ここで買えば後悔することはない」という安心感をもたらしています。よって、価格が低いイメージという前提条件が存在します。

2は、100均ショップとの比較。100均ショップが、ほぼすべての販売商品を税抜き100円で販売するのに対し、人気雑貨店はモノによって価格が異なります。100円未満で販売する商品もある一方で、価格だけ見れば100均ショップよりも高い商品も存在します。それでも人気なのは、価格ありきで値付けするのではなく、モノに対して誠実に価格を設定しているという印象を与えられるからです。例えば、100均ショップでは、スーパーなら98円で販売されている商品でも、税抜き100円で販売されており、地雷商品が所々に存在します。一方の人気雑貨店は、モノに対して価格を設定しているため、そういうことはありません。

3は、単に値札と商品説明が書かれたPOPを付けて商品を整然と並べるのではなく、本来ならありえないような組み合わせで商品を並べているようです。さらに、そのPOPも何やら意味深な内容。この驚き・楽しさが、買い物を楽しくさせるので、人気につながっているようです。

これら3つの法則を考えれば、クラッセ御影の雑貨店閉店がなぜ閉店したのか、よく理解できます。

1に関しては、特に価格が低いわけでもなく、またセレクトショップだったため、店舗で商品を発見しネット通販で購入するショールーミングが起こっていのではないでしょうか。来店客数はそれなりにいたように思えるので、新たな発見はあるものの、安心して買えなかったことが、ショールーミングを引き起こし、閉店につながったのでしょう。

2に関しては、仕入れ商品を販売するセレクトショップだったことが、大きな閉店要因だったように思えます。均一価格でないものの、ネット通販も含めた他の店舗でも販売されており、しかも価格比較で優位に立てないとなると、価格に誠実さを感じられなくなります。

3に関しては、売場は他の雑貨店と似たような作りで、特に驚きや楽しさがあったわけではありません。今思えば、他店でも扱う商品を販売するセレクトショップだけに、売場の工夫がもっと必要だったのでしょう。

閉店が決まってから閉店セールを行っているのですが、全品10％引きにしても、ネット通販やGMSの特売よりも高いようで、なかなか売れていないようでした。さらに、100均商品と比較する来店客がいたのも事実。通常の雑貨店が、100均ショップと比較されると、もう勝ち目はありません。

今回の閉店で学べたことは、仕入れ商品を販売するには、売場に驚きや楽しさがなければならないこと。そして、できれば、割安感のあるオリジナル商品を販売するということです。

☆今日のまとめ☆

御影クラッセの雑貨店が閉店したのは、割安感がなく、価格に誠実さがなかったから。

また、売場に驚きや楽しさがなかったことも、ショールーミングを引き起こす要因になったのではないか。