消費増税後にわかった、地方小売業が大都市型小売業を真似しては行けない理由

地方のスーパーeticia

 

お盆明けの日経新聞に、消費増税後に明らかになった消費の地域間格差に関する記事が掲載されていました。

 

 消費増税後の個人消費を巡って、地方の回復力の弱さが鮮明になっている。21日発表の食品スーパーの7月の販売統計では、首都圏を含む関東が堅調だった一方で、中国・四国や近畿などの不振が目立った。百貨店でも地方の販売回復スピードは鈍い。大都市部と比べて賃金上昇が相対的に弱いことに加えて、ガソリン価格の上昇などが消費者心理を冷え込ませ、消費全体の足かせになっている。

(2014年8月22日付 日経新聞朝刊)

 

大都市と地方で消費に大きな差が生まれるのは、購買力に差があるからに他なりません。その要因をまとめると、次のようになります。

 

【大都市と地方で消費に差が生まれる要因】

[賃金上昇率]地方<大都市←大都市の方が大企業・正規雇用者が多いから

[物価上昇率]地方>大都市←地方の方がガソリン価格・電気代の構成比が高いから

⇒地方の方が実質賃金の低下率が大きくなり、購買力・消費金額が低下

 

冷静に考えてみれば、中小企業の多い地方と大企業が比較的多い大都市は、そもそも購買力に差があります。消費増税・ベアによって、この差がさらに大きくなったというのが、実情と言えます。

 

日経の記事には、地方・大都市に店舗を持つスーパー経営者の言葉が掲載されており、その内容には歴然とした差があります。

 

【スーパーの地域間格差】

[大都市]首都圏よりも関西の回復が遅い。関西は中小企業が多く、賃上げの影響が届きにくいから。

[大都市]高単価の牛肉が好調。1本900円の輸入ビールが売れている。

[大都市]小容量かt高品質を求める傾向が強まっている。

[地方]地方の賃金上昇の力は弱い。多くの消費者が増税後の負担増で財布のひもを締めている。

[地方]ガソリン価格の上昇で来店頻度が減った。ディスカウント店が増え、スーパーの食品販売を奪っている。

 

全国展開する西友CEOの言葉が印象的。

 

「西友の消費者は節約志向が強い。低価格を武器にしており、地方でも販売好調だ。」

 

地方では、依然低価格志向が強いのです。よって、割安さが集客にとって重要になります。一方の大都市では、割安さよりも品質の高さ。1本900円もする輸入ビールが売れるのですから。

 

この地域間格差が教えてくれるのは、地方と大都市では商売のやり方が全く違うということです。だから、大都市で売れているからといって、地方で必ずしも売れるわけではありません。特に全国展開する量販店は、注意が必要。地方と大都市で消費者の購買力がこれだけ違うのですから、販売方法を変える必要が出てきます。

 

 

☆今日のまとめ☆

ベアの影響を受けて賃金上昇の恩恵を受ける大都市に比べ、中小企業の多い地方は、賃金以上に物価が上昇。

その結果、地方の購買力は低下し、依然低価格志向の強い消費行動が広がっている。

地方小売業は、大都市で成功した手法を真似しても、うまくいくとは限らない。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

そして、来年10月には消費税が10%になることがほぼ確定的。

地域格差はさらに広がります。

そして、より儲かる東京を目指す企業が増えることでしょう。

 

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