デニーズ運営の大久保社長のインタビュー記事には、値上げを成功させるヒント満載。

上野のデニーズ

 

デニーズは注目しているチェーンなのですが、如何せん店舗が近くにないのが残念。飲食店は、いくら好きでも遠くまで行く動機が生まれにくいので、立地の重要さを再認識します。そのデニーズを運営するセブン&アイ・フードシステムズ社長の大久保さんのインタビュー記事が、日経新聞に掲載されていました。

 

居酒屋やファストフードが苦戦するなか、ファミリーレストランが復調している。原動力のひとつが少し高めメニューの成功だ。「デニーズ」を運営するセブン&アイ・フードシステムズも3月のメニュー刷新で高価格帯を充実して売上高を伸ばした。消費者はどんな仕掛けに財布のひもを緩めたのか。大久保恒夫社長に価格戦略を聞いた。(2015年5月17日付 日経新聞朝刊)

 

大きなテーマは、

 

なぜ大幅値上げしてもデニーズは売上を伸ばしているのか?

 

というもの。同じ大幅値上げした吉野家・すき家が苦戦しているので、その理由は本当に気になります。ちなみに、セブン&アイ・フードシステムズは未上場企業なので、既存店売上高などの月次データを公開していません。

 

記事から気になった部分をピックアップしてみました。

 

【大久保社長の気になる発言】

  1. 最も人気のあるのが野菜を国産に切り替えたサラダ。3割値上げ後990円でも、値上げ前の倍は売れた。→国産サラダのニーズは高い?
  2. 商品やサービスに対する「ここまでお金を出しても良い」という価格帯の水準が上がっている。→逆に、魅力のない飲食店は、安くても売れない
  3. 価格競争の激しいファストフード・コンビニと競争しても、仕方がない。→いい意味での割り切りが必要
  4. ステーキを充実したら、ランチでもしっかり食べる人が増えた・朝食の1000円ほどのセットを注文する人も多い。→価格設定などの勝手な思い込みは意外に多い
  5. ファミレスには、価格よりも安全で美味しいものを食べたい人が集まるようになった。特に、変化に対する反応が良いのは女性客→高付加価値商品を売るには、女性の方がいい?
  6. 身近なファミレスが、高級レストランに近い質のメニューを2~3割安く提供できれば、さらに伸びる。→競合を変えることで、値上げしても割安感を維持

 

 

1について、単にサラダが売れる時代はもう終わったようです。どんなサラダか、どこのサラダかが問われているのでしょう。国産に切り替えて3割値上げしても、倍売れたというのは、驚異的。「国産」は、単価を上げるキーワードなのは確かのようです。

 

2について、消費者の品質重視の姿勢が高まっているのは事実ですが、節約志向も依然根強いのも事実です。要は、どの分野の支出を品質重視にしているかということ。また、品質重視・価格重視は、人に依ります。誰をターゲットにするかも、品質重視ニーズを捉えられるかに大きく影響するのです。その点、利用頻度がそう高くないファミレスだから、品質重視のニーズをうまく捉えられたのかもしれません。また、比較的お金と時間に余裕のあるシニア層を捉えたことも、ファミレス復活の大きな要因です。

 

3について、この割り切り重要です。ファストフード・コンビニの顧客を奪おうとしては、価格競争に陥るだけ。無視まではいかないまでも、主要顧客にしてはいけないということです。また、利用シーンを変えることで、ファストフード・コンビニとの直接対決を避けることができます。ターゲット・利用シーンの差別化ということですね。

 

4について、これはやってみなければわからないですよ。価格がどこまで許容されるかは、理屈だけではわかりません。朝食に1000円も掛けるというのは、私には理解不能ですが、週末だけのごちそうと考えれば、安いもの。さらに、モーニングを食べるとなると、早起きの動機にもなりますので、1日を有効利用できるというおまけまで付いてきます。こういうメリットがあれば、1000円の朝食も安いと感じられるかもしれません。

 

5について、高付加価値商品を売るなら、女性がいいようです。男性の場合、美味しさや見た目などの感性に反応する部分よりも、価格や量など勘定(数字)に反応する部分の方を重視することが多いからでしょうか。そう言えば、大盛りを設定している飲食店は、大抵男性がメインターゲットです。値上げを成功できるかどうかは、女性に理解してもらえるかどうかに掛かっているとも言えます。

 

6について、競合を変えることで値上げに成功して事例は結構多いです。例えば、昔ヒットした高単価カップラーメンは、ラーメン専門店を競合にすることで、100均にされやすいカップラーメンというカテゴリーの中で、高単価でも売れることを実証しました。競合をこれまでと変えることで、値上げしても割安感を出すことは、どの業界でも適応できそうです。

 

まとめれば、「国産への切り替え」「高くても買ってくれるターゲット」「高くても買ってくれる利用シーン」「価格競争の激しい業態を相手にしない」「女性に売る」「競合を変えて割安感を出す」が、値上げを成功させる方法とも言えるでしょうか。

 

☆今日のまとめ☆

省略(すぐ上の段落を見てください)

 

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  • 今日のこぼれ話☆

大阪都構想の結果はまだ知りません(予約投稿のため)が、橋下さんは実は住民投票を今するなて思ってもいなかったんじゃないでしょうか。

というのも、特別区設置に関して、まだ決まっていない部分が多いからです。

まさか、都構想反対の公明党が、住民投票の実施に賛成するなんて思わなかった。

これが、橋下さんの率直な意見ではないでしょうか。

住民投票で反対となれば、橋下さんは任期後に政界引退するでしょうが、橋下再登板の声が高まるのを待って、国政に挑戦すると予想しています。

 

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