【383号】ソーシャルクーポンでリピーターを増やす方法とは?
◎本日のニュース
1)見出し
2)要約
グルーポンなどのソーシャルクーポンを集客に活用する店舗が
増えているが、一方で問題も浮上している。
その問題とは、
お店の収容人数以上の人が一気に来店する可能性があることである。
これらの問題に対して、グルーポンなどのクーポン発行企業は、
性別や購入履歴などの属性に応じてクーポン情報を流す会員を決めたり、
クーポン発行によってお店への問合せが通常以上に増えた場合は人を
派遣したりしている。
3)キーとなる英文
People redeemed roughly 900 of the coupons over six months at
her small Xoom NYC Inc. shop, including a crush in June, but
she was disappointed that few became regular customers.
4)キーとなる英文の和訳
彼女が所有するズームNYC社の小さな店舗で、
6ヶ月間に渡って約900枚のクーポンが利用され、
そのうち6月には多くの消費者が殺到した。
しかし、ほとんどの購入客が再来店しなかったことに彼女はがっかりした。
5)気になる単語・表現
redeem 他動詞 ~を買い戻す、~を商品(現金)に換える
crush 名詞 大群衆
6)今日のヒント
ソーシャルクーポンのお金の流れを、ここで簡単に説明しておく。
このサービスを利用する店舗などの企業は、
売上をあらかじめ確保でき、新しい顧客を多く獲得することができる。
消費者は、クーポンを利用すれば通常の1/3~1/2の価格で購入することができる。
ソーシャルクーポン発行企業は、クーポン売上の50%を
手数料として獲得することができる。
フリーペーパーなどのクーポンと異なる点は、
クーポンが売れなければ企業に費用負担が発生しないこと。
つまり、固定費ゼロの成功報酬ということになり、
新規顧客が獲得できないというリスクはゼロになる。
その分、手数料が高く付き、またクーポンの割引率も相当高くなる。
一般消費者からすると、1/3~1/2の価格で購入できるので大変お得な取引となり、
一方でお店は損をしているのではないかと考えてしまう。
しかし、お店が提供する商品の原価構造を考えてみると、
あながち損をしているとは言いがたい。その理由は、
レストランなどの原価率はだいたい30%程度だからである。
そのため、売上高が損益分岐点を上回っていれば、
1/3の価格でクーポンを販売しても損はしないことになる。
ただし、グルーポンなどのクーポン発行に手数料を
支払わなければならないので、その分は広告掲載費用となる。
記事で問題とされているのは、ソーシャルクーポンを
利用する目的が達成できないということになるだろう。
ソーシャルクーポンのみならず、店舗がフリーペーパーで
クーポンを発行したり、チラシを街角で配ったりするのは、
新規顧客を獲得し常連客に育てるため。しかし、記事で
紹介されているお店の例では、ソーシャルクーポンを利用した消費者は、
ほとんど再来店していないという。問題の本質は、
新規顧客をリピーターに育てる戦略がないということではないだろうか。
クーポンを利用してそこでクーポン利用者との関係は終わってしまえば、
また新規顧客を獲得しなければならなくなり、
またクーポンを発行することになる。その結果、
割引でしか来店しない顧客ばかりになり、お店の損益は悪化する。
この戦略がなければ、今話題のソーシャルクーポンを利用しても、
お店にプラスはないだろう。
さらに、ソーシャルクーポンの場合、
「損益分岐点を越えるほどの売上はあらかじめ確保している」
「競合が少ないユニークな商売である」などの条件に合致せず、
また「一人のユーザーが購入できる枚数に制約を付ける」などの工夫が無ければ、
バーゲンハンターを集客することに終わり、結果損失だけが残る。
大きな差別化のないお店で、損益分岐点をまだ越えていないならば、
店舗前で半額チケットを配った方が得策だろう。
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《今回のヒントのまとめ》
▼グルーポンなどのソーシャルクーポンの利用企業は増えているものの、
クーポン利用客が再来店してくれないなどの問題も起こっている。
▼ソーシャルクーポンは新規顧客を獲得する手段に過ぎないので、
新規顧客をどうやって常連客にするかという戦略が必要になる。
▼また、「損益分岐点を越えるほどの売上を確保している」
「競合が少ないユニークな商売である」などの条件に合致し、
「一人が購入できるクーポン枚数に制約をつける」などの工夫があって初めて、
ソーシャルクーポンが常連になりうる顧客獲得に役立つだろう。
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