女子高生の消費動向から考えた、回転寿司と鳥貴族・丸亀製麺の共通点
日経MJに興味深い記事がありました。
平日の昼下がり。「くら寿司」の池袋東口店(東京・豊島)のボックス席は制服を着た女子高生で埋まる。彼女たちはレールの上を流れるすしに目をやりながら、プリンやチーズケーキに手を伸ばす。麻賀瑞希(16)と畠山詩絵理(17)は「回転ずしはヘルシー。少しずつ食べられるからちょうどいい」と、恋愛話に花を咲かせる。(2015年1月14日付 日経MJ)
女子高生の外食に変化が起こっているようです。従来ならば、マクドナルドなどのファストフードで外食していたのが、今はなんと回転寿司。その理由は、
ヘルシーだから
量・支払金額を調整できるから
だそうです。女子高生まで健康志向なんて、驚きです。これじゃ、若者の酒離れが進んでも不思議ではありませんね。女子高生が来店するから、回転寿司各社はデザートの開発に力を入れているのです。
注目したいのは、「量・支払金額を調整できるから」という理由。お小遣いの少ない学生にとって、100円から食べられる回転寿司は魅力的なのです。少し余裕があれば、すしやデザートの注文皿数を増やせばいい。自分の予算に合わせて、簡単に注文できる点が、学生にとって魅力的なのです。そして、それは節約志向の強い消費者も同じ。
この「量・支払金額を調整できるから」という機能を持つのが、鳥貴族。鳥貴族も、均一価格の業態。注文数で、自分の予算に合わせた外食を楽しむことができます。お得なメニューを探す楽しみもあるようで、外食版100均ショップと言えるかもしれません。
同様に、「量・支払金額を調整できる」チェーンとして頭に浮かぶのが、丸亀製麺。こちらは、ざるうどんやかけうどんに自分でトッピングを付けて注文するスタイルを採用しています。鳥貴族や回転寿司のように均一価格で提供しているわけではないですが、自分で好きなメニューを取っていくカフェテリアスタイルなので、いちいち店員に説明する必要なく、自分で簡単に調整できます。
回転寿司・鳥貴族・丸亀製麺には、このような共通点があるのですが、それとともに共通しているのが既存店売上高。回転寿司は、上場しているくら寿司で比べてみると、次のような既存店売上高の実績を持ちます。
【くら寿司・鳥貴族・丸亀製麺の既存店売上高】
[くら寿司]2013年10月期・2014年10月期・2015年10月期(1月まで)とも、通期でプラス
[鳥貴族]2014年8月以降6ヶ月連続でプラス
[丸亀製麺]2014年8月以降6ヶ月連続でプラス
※鳥貴族は2014年7月上場のため、8月以降のデータのみ公開
ちなみに、丸亀製麺については、昨年7月まではマイナスだったので、量・支払金額を調整しやすい点が好業績につながっているとは言えません。8月以降既存店売上高がプラスに転じたのは、マクドナルドの鶏肉偽装事件が影響しているとも言われています。ただ、マクドナルドの利用を止めた消費者は、丸亀製麺以外のチェーンにシフトしてもいいはず。丸亀製麺にシフトしたのは、マクドナルドのセットのように、トッピングやサイズによって量と支払金額を調整できるから、と考えることもできます。
この考察を見る限り、学生など節約志向の高い消費者を集客するには、単に美味しいだけではダメであり、支払金額を調整しやすいシステム・メニュー構成が必要なのではないでしょうか。
☆今日のまとめ☆
女子高生は、ヘルシーさや量・支払金額の調整のしやすさから、ファストフードではなく回転寿司を利用している。
後者の要素を持つものとして、回転寿司以外に鳥貴族・丸亀製麺がある。
上場回転寿司チェーンのくら寿司・鳥貴族・丸亀製麺の既存店売上高がプラス基調なのは、量・支払金額を調整しやすいからではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
好きなパンを自分でトレーに取るというベーカリーでの購入方法が普及したのも、興味深いと思います。
パンが裸で陳列されているので、一見不衛生に見えますが、袋で覆えば逆に売れないから不思議ですね。