【483号】景気後退の賜物か、中小商業向け現金貸付という新しい融資方法

cash advance

(from Flickr)

◎本日のニュース

1)見出し
Businesses Fill Financial Gap With Cash Advances

【出典】
http://goo.gl/DCwpc

2)要約
アメリカで、中小企業向けの商業現金貸付が増えている。
この融資は、小売店やレストランなどの消費者向け店舗企業で、
デビットカードやクレジットカードの売上が多い企業を対象として

いる。

商業現金貸付を行う企業は、カード会社と提携し、
貸付先企業の日々のカード売上を監視し、
カード売上の一部をカード会社から直接振り込んでもらい、
返済とする。返済とは別に手数料も請求する。

店舗を運営する中小企業にとってのメリットは、
銀行から融資を断られた運転資金を確保できることである。
景気後退後は銀行の融資姿勢は大変厳しく、
さらに売上も悪化しているため、
運転資金に困る中小企業は増えている。

商業現金貸付を行う企業にとってのメリットは、
貸付は将来の資産売上と捉えることできるので、
高利貸しを取り締まる規制から外れることである。

ただ、景気後退により多くの企業がこのビジネスに参入したため、
高い手数料や厳しい取り立てなどを行う悪徳業者も生まれている。
そこに対して、業界団体を設立し、
道徳的基準や融資ガイドラインを決めている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Facing weak sales and tight credit, some store and restaurant owners
are turning to high-cost merchant cash advances for working capital,
driving growth in a lightly regulated sector.

4)キーとなる英文の和訳
売上悪化と金融引き締めにより、一部の小売店やレストランオーナーは、
高コストの商業現金貸付に運転資金を頼っている。
貸付業者は、規制が緩い業界であるために、成長を加速している。

5)気になる単語・表現
advance 名詞      前払い
tight credit    名詞句     金融引き締め
working capital 名詞句     運転資金

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
記事で取り上げられた商業向け現金貸付の特徴は、
◯無担保
◯デビットカードやクレジットカード売上の多い小売店・レストラン向け
◯貸付の返済とは別に高い手数料を請求する。
◯日々のカード売上を監視し、
その売上に応じて返済額がカード会社から直接振り込まれる。
返済期間は決まっておらず、カード売上に応じて変動する。
手数料は相当高く、一部の業者では貸付金額の半額を請求するところもある。
これだけ高い手数料のかかる融資に頼らざるを得ないのは、
中小企業が銀行からの融資をなかなか獲得できない現実がある。
記事には、
銀行は、中小企業からの融資依頼のうち60%を断っている
と記されている。そして、少なくとも10%の中小企業が、
商業向け現金融資を含む無担保ノンバンクローンに頼っているらしい。
残りの50%は融資がなくともなんとか企業活動を行えているが、
景気の停滞がこのまま続くと、
無担保向けローンの利用が今後増えるだろう。
商業向け現金融資も増えることが予測できる。

中小企業にとっての一番のメリットは、
売上に応じて返済金額・返済期間を変えられることに尽きる。
一方、逆に考えると、返済期間が定まらないことは、
融資する企業にとっては大きなリスク。
どの程度の期間で返済できるかなど、
融資先企業の経営力を見抜く力が必要とされる。
特に、カード売上の大きな小売店や飲食店がそのターゲットになるので、
小売店・飲食店経営の知識・経験が必要とされるだろう。

融資する企業にとっての一番のメリットは、
日々のカード売上を監視できること。
これにより、融資先の売上状況を丸裸にでき、
他の支払いよりも優先して返済を受けることができる。
一方、カード売上は融資を受けた企業にとっては顧客名簿とも言えるもの
今後商売を継続する上で、一番大切なものと言っても過言ではないだろう。
このカード売上データの機密性をどの程度保つのかは、
気になるところ。カード会社と融資企業との取り決めかもしれないが、
融資を受ける企業もどの程度公開されるのか確認する必要がある。
また、この売上データが外部に漏れたとなると、
融資を受けた企業にも責任が発生するかもしれない。

このように課題はあるものの、
銀行による中小企業向け融資が停滞している以上、
中小企業にとってはありがたいファイナンス方法と言えるだろう。
商業向け現金貸付市場が広がると、
貸し倒れリスクの保険でもある手数料が下がるかもしれない。
また、この融資方法がメジャーとなれば、
貸付企業が元手となる資金を集める時に、
個人投資家から調達できるようになるかもしれない。
その時、貸付先企業を個人投資家が選べるようになれば、
それはまるで中小企業による社債となるだろう。

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《今回のヒントのまとめ》

1)景気停滞による売上悪化と信用引き締めにより、
商業向け現金貸付が増えている。

2)融資ターゲットは、カード売上の大きな小売店や飲食店。
将来の売上の一部を貸し付けたことと解されるので、
ノンバンク融資の規制対象外となる。

3)融資を受ける企業のメリットは、
売上に応じて返済金額や返済期間を変動できることである。
一方で、融資企業は、融資先、特に小売店や飲食店の収益力を
見抜く目利きが必要とされる。

4)融資企業のメリットは、
カード売上の一部をカード会社から直接支払われ、
返済とされることである。
一方で、融資を受ける企業は、
顧客名簿とも言えるカード売上データの機密性を保つ必要がある。

5)このように課題はあるが、
銀行の中小企業融資が停滞している以上、
中小企業にとっては頼もしいファイナンス方法と言えるだろう。
この融資方法が増えると、手数料の低下、
個人投資家の参加などがつながり、
それはまるで中小企業の社債になるかもしれない。

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編集後記
こんばんは、高尾です。
関電の電略逼迫問題は、何とか解決しそうですね。
とは言っても、まだまだ節電は必要。
冬にも節電が求められます。
となると、エアコンよりも石油・
ガスストーブに人気が出るのでしょうか。
その結果は、原油価格の家計への影響が高くなるということ。
これまでは、ガソリンへの影響がほとんどでした。
これに石油・ガスストーブが加わります。
原油価格の消費への影響が、さらに大きくなることでしょう。

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