【500号】機内でwifiサービスを強化する米航空会社、その本当の理由とは?

エアカナダのビジネスクラス座席By caribb

 

◎本日のニュース

1)見出し
Playing the Wireless Card: Airlines Rush to Add Wi-Fi

【出典】
http://goo.gl/UF1KW

2)要約
米航空会社は、機内でのWiFi(無線LAN)

サービスを強化している。
WiFiサービスによって、これまでモニターで放映していた映画やテレビ番組を、
乗客の持つスマートフォンやタブレット・ノートパソコンに提供できるからである。
WiFiサービスは有料サービスであるため、航空会社にとっては新たな収益源になる。現在、乗客用飛行機の1/3以上の約1260機で、
WiFiサービスが提供されている。2013年までには、
半分以上の飛行機がネットにつながる予定である。

ただし、機内でWiFiサービスを提供することは、
店舗での提供よりもコストがかかり、また一筋縄ではいかない。
その理由は、電波を飛行機につなげるためには、
機内にアンテナなどを導入する必要があるからである。
さらに、いつWiFiを始めるかというタイミングの問題も生じる。
技術革新が早いため、最新のWiFiサービスがすぐに廃れるからである。

また、WiFiサービスが普及しても、
座席裏のスクリーンは無くならないとされている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The shift has led to a thriving market at 30,000 feet to provide Wi-Fi,
movies and TV shows on travelers’ smartphones, tablets and laptops.

4)キーとなる英文の和訳
その動きによって、WiFiや映画・テレビ番組を乗客のスマートフォンや
タブレット・ノートパソコンに提供することが可能となり、
高度3万フィートの市場がさら膨らもうとしている。

5)気になる単語・表現
thriving        形容詞     繁盛する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
機内では電子機器の使用が制限されるために、
WiFiサービスが利用できることに少し違和感を覚えるが、
記事によると高度1万フィート以上であれば、利用できるという。
つまり、1万フィート以上の高度を飛行機が飛んでいれば、
WiFiを利用することは可能となる。

スターバックスなど地上の店舗で、
WiFiサービスを提供するお店が増えている。
その理由は、集客のためである。WiFiが利用できないお店よりも、
WiFiを利用できるお店の方が使い勝手がいい。
特に、スマートフォンやタブレットを使用する人口が増えると、
WiFiがあるかないかで、お店を決める人も増えるだろう。
これを、飛行機にも当てはめれば、
航空会社がWiFiの拡充を急ぐ方針も理解できる。
ただし、地上とは異なり、機内のでWiFi環境はそう簡単に整えることはできない、
という。

その大きな要因は、コストと品質。
現在、機内でのWiFiサービスで90%以上のシェアを握るのが、
ゴゴ社(Gogo LCC、以下ゴゴ)。ただ、ゴゴは、
地上の携帯電波を機内アンテナに取り込む仕組みを使用するため、
WiFi使用可能地域が合衆国の大陸部分とアラスカに限られる。
だから、テレビの生放送は提供できない。

一方、ゴゴ以外の企業は、衛生を使うので利用可能地域が広くなり、
さらに提供できるコンテンツも増えるが、
まだサービスは提供されていない。その大きな要因は、
機内に取り付ける受信機がゴゴのアンテナよりも重く、
さらに取り付け時間が長いからである。

また、機内でのWiFi技術においては、技術革新が凄まじい。
そのため、顧客ニーズがあるからといって導入したものの、
その後競合他社がより新しい技術を導入したら、
WiFiサービスでの優位性は無くなる。技術を見極めて、
どのタイミングで導入するかが、WiFiサービス提供の成否を分ける。
ちなみに、現在一番注目されているのは、
ヴィアサット社(ViaSat Inc.)のカーバンド(Ka band)という技術。
カーバンドは、最新の衛生技術を使っているので、
WiFi利用可能帯域が高く、速度も速い。
そのため、速度を下げずに少なくとも10倍のユーザーがWiFiを利用できるという。

このように、たとえ飛行機内でもネットを使いたいという
乗客のニーズを答えるために、航空会社各社は、
機内でのWiFiサービスを競っている。
一方、WiFiサービスは単に集客に役立つだけでなく、
航空会社にとっては新たな収益源になる。
具体的には、WiFi経由で配信するコンテンツに課金する。
例えば、デルタ航空では、映画に4ドル、テレビ番組に1ドル課金する。
(1本・1番組ごとに課金するのか、1搭乗ごとに課金するのかは、不明。)
LCC(コーコストキャリア)との競争で航空券価格は下落圧力がかかるが、
WiFiというLCCにはないサービスを提供することで、
差別化・収益を増やすことができる。

スマートフォンやタブレットが普及すると、
WiFiはその認知度が高まるだけでなく、
その必要性がさらに増すことだろう。
また、ネットの利便性に慣れた消費者が増えれば、
常時ネット接続へのニーズはさらに高まる。
その結果、今後サービス業にとって、
WiFi環境があるかないかは大きな差別化になるだろう。
そして、航空会社のWiFi導入のように、
WiFi環境を設置することで、収益拡大につながる仕組みが生まれるように思える。
スーパーで実験的に行われている、
スマートフォンを使ったスマートショッピングが、
その一例だろう。
※スマートフォンを使ったスマートショッピングの記事はこちら
http://archive.mag2.com/0000261802/20111015180000000.html
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《今回のヒントのまとめ》

1)米航空会社は、機内でWiFiを利用できる機体を増やそうとしている。
WiFiサービスによって、乗客は自分のスマートフォンや
タブレット・ノートパソコンで映画やテレビ番組を見ることができる。

2)WiFiサービスを強化するのは、常時接続に慣れた消費者に、
機内でネットを使いたいというニーズがあるからである。
ニーズを満たせば、集客につながる。
また、WiFi経由でコンテンツを提供することが、
航空会社の新たな収益源にもなりえる。
LCCとの価格競争を回避することにもなるだろう。

3)しかし、機内でWiFiを提供するには、大きなリスクがある。
そのリスクとは、導入コストが高いことと、
導入タイミングを間違えば競争力を失いかねないということ、である。

4)スマートフォンやタブレットが普及すれば、
WiFiへのニーズが高まるだろう。
その結果、集客のためにWiFi環境を整えるサービス企業が増えるだろう。
さらに、航空会社のWiFi導入のように、
WiFiを収益拡大のために活用する企業も今後出てくるように思える。

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7)おすすめ商品・サービス

◎Winecarte 簡単ワインの選び方
一番新しい記事は、

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編集後記
10/15、最後の甲子園に行きました。
本当は行く予定でなかったのですが、
ヤフオクで比較的安く販売されていたので落札。
2回ぐらいから雨が降り出しました。
雨の中で野球観戦するのは初めて。
外野席も初めて。
そして、7回コールド負け。
今日こそは六甲おろしを三番まで歌おうと思っていのに、
とても残念。
ノーアウト二塁で点が入らないのだから、仕方ない。
今年の甲子園応援戦歴は、2勝3敗。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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