既存店売上増を諦めたサイゼリアの凄さとは？

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10月11日の日経新聞朝刊に、サイゼリアの業績予測記事が掲載されていました。（日経電子版申し込みはこちら）

サイゼリヤは１０日、２０１３年８月期の連結純利益が前期比１９％増の６５億円になる見通しだと発表した。増益は３期ぶり。総菜や弁当を強化しているコンビニエンスストアとの競争激化で既存店売り上げの苦戦が続くが、作業効率の改善など、店舗の運営コストの削減で増益を見込む。（2012年10月11日日経新聞朝刊より）

この記事で驚いたのは、サイゼリアが既存店売上を前期比2％減で見込んでいるところ。成長企業として頼りなく感じないわけではないですが、この経済状況では仕方ないことかもしれません。それどころか、株価の下落を恐れず、現実的な数字を目標にしている点は、見習うべきかもしれません。恐らく、「2％減に食い止める」というのが、本当の目標なのでしょう。

サイゼリアの既存店が苦戦を強いられるのは、

手頃な価格で味を工場させた弁当を提供するコンビニに客が流れている（日経新聞より）

から。ただし、これはサイゼリアだけのことではなく、外食産業すべてがコンビニとの競争に晒されています。コンビニを普段利用しないので、コンビニのお弁当が夕食時にどの程度売れているかは知りません。ただ、コンビニの業績を見る限り、大手3社は好調を維持しています。（最近になって成長速度が減速してきましたが。）コンビニとの競争は、スーパーも晒されています。コンビニが、スーパーと飲食店から市場を奪っているのが、実情でしょうか。

既存店売上増を諦めたサイゼリアですが、増収増益を目指して、次のような手を打っています。

【サイゼリアが行う増収増益のための施策】

［1］増収策＝新規出店

［2］増益策＝オペレーションの改善などコストダウンによる利益率の向上

1については、約80店舗出店するようです。この中には、コンビニにように効率的に出店できる小型店も含まれることでしょう。小型店は、大型店よりも面積あたりの人件費がかかるので、一般的に効率は悪いと言われています。効率重視のサイゼリアにとって、本当は小型店を出店したくないのかもしれません。ただ、出店場所を確保する上で、小型店は出店しやすいというメリットがあります。ここに注目したのでしょう。

2については、以前のブログでも紹介した、iPod touchの活用も含まれます。従来のハンディターミナルの代わりにiPod touchを利用することにより、修理費用など削減できるようです。また、店舗に似せた模擬施設を設置して、従業員の作業時間の見直しも進めているようです。このオペレーションの改善は、サイゼリアが一番得意とする部分であり、他社にはない強み。掃除用のモップの幅を広げることにより、掃除時間を大きく短縮できた事例は、有名です。

サイゼリアの記事の下を見ると、次のような見出しがありました。

食用油メーカー、穀物高で営業益下振れ

パスタを扱うサイゼリアも、穀物高の影響は大きいことでしょう。穀物価格の高騰という外部環境の変化によって、サイゼリアに限らず外食企業は、収益を圧迫されることになります。

コンビニなどとの競争激化により既存店売上は伸びず、一方原材料価格の高騰で利益は圧迫。外食産業にとっては、逆風そのもの。その中でも、小型店という新業態を開発でき、さらにオペレーションの改善によりコストダウンを図れるという点で、サイゼリアの強さは際立っています。外部環境がマイナスに働く時は、下手に拡大路線に走るのではなく、新商品・新業態の開発やコストダウンの徹底という、経営の基本が重要になると思います。

☆今日のまとめ☆

サイゼリアの凄さは、外部環境の変化により既存店売上増を見込めない中でも、新業態の開発・コストダウンの徹底ができる点。

逆風時には、拡大路線よりも商品開発・コストダウンという、経営の基本がモノを言うのではないか。

☆What to EAT Yesterday☆

昨日飲んだワインには驚きました。