ロックフィールドを減収減益に陥れた真犯人とは?

RF1のロゴBy shok

惣菜大手のロックフィールドの業績が芳しくないようです。

 

ロック・フィールドが7日発表した2012年5~10月期の単独決算は、税引き利益が前年同期比38%減の3億6500万円だった。主力の総菜店「RF1」は出店先の百貨店への来客減に加え、コンビニなどとの競争激化で不振だった。人件費負担の上昇も採算を圧迫した。(2012年12月8日日経新聞朝刊より)

 

ロックフィールドの2013年4月期の中間決算(2012年5月~10月)が発表されました。内容は、減収減益。具体的な数字は以下の通り。

 

【2013年4月期のロックフィールド中間決算数字】

売上高 235億円(2%減)

営業利益 6億1600万円(40%減)

経常利益 6億4500万円(39%減)

税引き後純利益 3億6500万円(38%減)

 

今回の記事とは直接関係ないですが、営業利益率の低さには驚きました。上記数字から計算すると、たったの2.6%しかありません。製造小売にしては、極めて低い数字です。詳しく調べたわけではないですが、この低さは、

 

【ロックフィールドの営業利益率が低い理由】

[1]    デパ地下立地による家賃の高さ

[2]    対面販売による人件費の高さ

 

が影響しているのかと思います。惣菜ビジネスは興味があるので、今度詳しく調べて報告したいと思います。

 

減収減益の理由として、記事には次の要因が挙げられています。

 

【ロックフィールドが減収減益に陥った要因】

[3]    閉店間際の商品を意図的に減らしたため→減収・減益

[4]    百貨店自体の集客数が減少したため→客数減→減収

[5]    コンビニとの競合が激化したため→客単価減→減収

[6]    人件費の上昇→減益

 

3に関して、以前読んだロックフィールドの決算説明資料に、廃棄率の低減を推し進める旨が記載されていました。廃棄率を減らすことは、増益効果をもたらします。しかし、閉店間際のデパ地下が“一番盛り上げる”時間帯に商品がないことは、販売機会の喪失につながります。これは、減収につながる恐れがあります。今回は、後者が起こり、実際に減収になりました。

 

実際、梅田界隈のRF1を覗いたところ、柿安など周りの店舗に比べて、閉店時の商品数が少なかったことを、覚えています。当時は、「ロックフィールドは、処分販売を減らすことで、競合店とは違い、利益率の高いビジネスをしている。」と考えていましたが、実際は異なったようです。ということは、閉店間際の売上は相当大きいということでしょうか。ならば、デパ地下の各お店が、基礎って値引き販売する理由も納得できます。

 

閉店間際の売上が減ったとしても、失った利益分の人件費を削減することはできません。少ないとは言え、来店したお客さんに対応しなければならず、また閉店の清掃作業(所謂締め作業)をしなければならないからです。実際に閉店間際のRF1の店舗を見た限り、特にアルバイトを早く帰らせたようには見えませんでした。ということは、閉店間際の売上が減っても、人件費は従来と同じ額かかっていることになります。この結果、減益になります。

 

4は特に説明はいらないでしょう。百貨店売上は概してマイナス傾向です。ユニクロや無印など専門店の普及により、客数も減少傾向であると容易に想像がつきます。10月に阪急うめだ本店がリニューアルオープンしましたが、その凄まじき集客数も焼け石に水であったということになります。

 

5に関して、コンビニが女性やシニア層の集客を図るために、惣菜に力を入れていることを考えると、同じ惣菜を販売するロックフィールドも少なからず影響があるかと思います。ただ、コンビニの惣菜が普段食であるのに対し、デパ地下で営業するロックフィールドの惣菜は、どちらかというと特別な日の食事。大きくバッティングしていないので、コンビニとの競合は、減収減益のさほど大きな要因ではないかと思います。

 

6に関して、アルバイトのフリーペーパーを見れば、サービス業の人材獲得競争の激しさが理解できるかと思います。飲食店のアルバイト募集件数を見る限り、日本に雇用問題があるとは考えられないほど。それぐらい、飲食店のアルバイト募集は多いのです。飲食店のアルバイトと競合するデパ地下の販売員もそれなりに多いですが、私が特に感じたのは、惣菜工場のアルバイト募集の多さ。ロックフィールドもほぼ毎週のように、惣菜工場のアルバイト募集を行なっています。販売員のみならず、惣菜工場の人件費も相当上がっているのではないでしょうか。

 

これ以外にも、私が考える要因があります。

 

【ロックフィールドが減収減益陥った要因】

[7]    駅近の高級スーパーとの競合が始まったから→減収

 

あくまで私が感じたことですが、デパートがひしめく大阪・梅田界隈には、JR線と阪急線の駅ビルに、いかりスーパー成城石井が入っています。さらに、ルクア地下には、高級スーパーのパントリーが入っています。「デパ地下があるのに、高級スーパーでわざわざ買い物をする人がいるのか?」と考えていたのですが、これが意外に流行っているのです。生鮮品を多く扱っているわけでもなく、どちらかというと加工食品や惣菜・酒類が主体。どれも、デパ地下の方が品ぞろえでは優っているカテゴリー。なのに、駅近という立地が功を奏しているのか、多くの人がお店に足を運んでいます。そして、店内を見渡すと、多くの人が、惣菜に手を伸ばしています。この高級スーパーの惣菜が、ロックフィールドの売上を奪っているのではないでしょうか。

 

梅田のいかりスーパーや成城石井・パントリーが、実際にどの程度売り上げているかは知りません。ただし、JR大阪駅地下にオープンしたばかりのエキマルシェに、いかりスーパーの小型店・Deli Festa(デリフェスタ)ができたことを考えれば、梅田駅近くの高級スーパーは、それなりに収益を上げていることが想像できます。梅田にあるロックフィールド各店の売上を奪っても、不思議ではありません。

 

買いまわりのしやすさ・営業時間の長さなど、利便性の高さを考えれば、美味しい惣菜を買う場所が、デパ地下から高級スーパーにシフトすることは十分考えられます。ロックフィールドの業績を悪化させた厄介な犯人は、駅近の高級スーパーかもしれません。

 

☆  今日のまとめ☆

中間決算が減収減益に終わったロックフィールド。

その要因として、駅近の高級スーパーとの競合が始まったことを挙げられないか。

閉店間際の売上減・人件費上昇など、その他の要因もあるが、高級スーパーの存在が一番厄介なように思える。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

デパ地下のあの人の多さを考えると、駅ビルにあるいかりスーパーで買えばいいか、と考えても不思議ではありません。

いかりの惣菜は、さらに美味しそうですし。

 

☆サイゼリア創業者 正垣泰彦の言葉☆

「最後に、議論をもとに自店が取り組むべき事柄を決める。コツは、やるべきことを3段階に分けて考えることだ。具体的には、「実現に長期間かかる理想の案」「少し時間のかかる案」「すぐにできる案」だ。」

『おいしいから売れるのではない 売れているから美味しい料理だ』より)

※創業者・経営者・商売人の心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。

 

 

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