株高はデパ地下売上に波及したのか?
日経新聞を読んでいると、株に関する記事が多くなったことを日々実感しています。さらに、日経に掲載される雑誌広告でも、株式投資に関する特集が多いこと、多いこと。株に関することを書くと、部数が伸びるのでしょうか。そう言えば、四季報が在庫切れを起こしたことも、以前に聞きました。こんなこと、私の記憶では初めてです。
そんな株高で一番恩恵を被っているのが、高額商品。そして、高額商品と言えば、百貨店です。株高は百貨店にも好影響を及ぼしているようです。
大手百貨店5社が1日発表した2月の売上高(既存店ベース、速報値)は全社が前年同月の実績を上回った。「アベノミクス」による株価上昇などを背景に消費者心理が好転し、海外高級ブランドや宝飾品など高額品の販売が好調だった。5社そろってのプラスは急な気温の低下で冬物が売れた2012年11月以来3カ月ぶり。(2013年3月2日付 日経新聞朝刊)
2月はなんと全社が既存店プラス。1月の実績は、以下の通り。
日本百貨店協会(東京・中央)が19日発表した1月の全国百貨店売上高は5472億円だった。既存店は前年同月比0・2%増と2カ月ぶりに前年実績を上回った。株高などで消費マインドがやや改善し、海外ブランドの雑貨や高級時計など高額品が売れた。一方、冬物衣料のバーゲンセールは一部百貨店が開始時期を例年より遅らせた影響で盛り上がりを欠き、主力の衣料品は苦戦した。(2013年2月20日付 日経新聞朝刊)
1月から既存店がプラスに転じたようです。では、株高が、デパ地下売上にどのように影響しているのでしょうか。そこで、多くのデパ地下に出店するロック・フィールドと柿安の既存店売上について、調べてみました。
【ロック・フィールド・柿安の2012年11月~2013年1月の既存店売上高】
[ロック・フィールド]
2013年1月 99.9%(99.8%)
2012年12月 99.3%(99.7%)
2012年11月 98.8%(98,8%)
[柿安]
2013年1月 99.74%(97.23%)
2012年12月 100.55%(97.77%)
2012年11月 101.82%(100.39%)
※ カッコ内は、ロック・フィールドがRF1,柿安が惣菜部門
2013年1月と言えば、百貨店が2ヶ月ぶりに既存店プラスになった月。しかし、ロック・フィールドと柿安は、既存店が前年割れしています。ロック・フィールドこそ、11月から1月に掛けて既存店売上が回復していますが、柿安は逆に悪くなっています。デパ地下内での競争激化により、柿安惣菜部門が売れていないとも捉えることができますが、柿安惣菜部門のライバルであるRF1が売上を大きく伸ばしているわけではありません。どちらかと言うと、柿安惣菜部門・RF1とも、百貨店売上好調の影響をあまり受けていません。
このようなことが起こるのは、百貨店の既存店売上がプラスになった要因を考えてみれば、一目瞭然。百貨店の既存店売上高がプラスことには、高額商品の売上増が大きく寄与しています。つまり、客数はさほど増えずに、客単価が上昇したということ。一方、食料品を扱うデパ地下の売上は、客数に大きく影響されます。いくらお金持ちでも、食べる量には限りがあるからです。普段百貨店で5万円の買い物をしない人が、50万円使ったとしても、デパ地下での消費金額は10倍にはならないのです。よって、客数が増えなければ、デパ地下の売上もそれほど増えません。
株高が継続することで、消費者心理が改善すれば、デパ地下も恩恵を受けるようになるかもしれません。ただ、それにはまだ時間が掛かるように思えます。
☆ 今日のまとめ☆
株高で恩恵を受ける百貨店。
しかし、その要因は高額品消費であり、客数はさほど増えていない模様。
よって、デパ地下は、売上がまだ改善していない。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
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☆ 今日のこぼれ話☆
オリバーソースさんのフェースブックページを発見しました。
しょース、話題になっているようですね。
今度、近くのグルメシティで探してみます。
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「利益が上がるようにするにはどうするかというと、2つあります。扱うものの単価が高いこと、もう一つはリピート性があるということ。」
(『気絶するほど儲かる絶対法則 売れるしかけと勝てるしくみの作り方』より)
※ポッドキャストでいつもお世話になっています。この番組は本当に勉強になります。
※創業者・経営者・コンサルタントの心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。