高級珍味の伍魚福、百貨店出店を再開した理由とは?

自家製おつまみのようです

 By 101LAB

スーパーのチルド売場で珍味を販売する伍魚福。デパ地下に進出するようです。

 

 高級珍味を製造する伍魚福(神戸市)は15日、阪神百貨店梅田本店(大阪市)内に直営店を出す。定番商品のほか、百貨店限定品も取り扱う。百貨店内の店舗は35年ぶり。消費者の嗜好を把握するアンテナショップとしても活用し、今後の商品開発に役立てる。(2013年3月5日付 日経新聞朝刊)

 

伍魚福と言えば、スーパーの練り製品売場近くに、独自売場を展開しています。特徴は、高級感。恐らく、他社品と一緒に並べられると割高感が目立つので、独自売場をスーパー内に設置しているのだと思います。その伍魚福が、百貨店に進出されるようです。面白いのは、百貨店へは再進出になるということ。35年前にも百貨店に店舗を構えていたそうです。35年前と言えば、1978年。1978年は、第二次オイルショックの前兆となるOPECによる原油値上げが発表された年です。35年ぶりになぜデパ地下再進出を決めたのか。その理由について、考えてみました。

 

【伍魚福がデパ地下再進出を決めた理由】

[1]      スーパーでの売上が頭打ちしているから

[2]      デパ地下で獲得した顧客にスーパーで買ってもらうため

 

1について。実際はわからないのですが、スーパーを主要ルートとしている(楽天にも出店されているようです)伍魚福ですが、そのスーパーでの売上が頭打ちしているのではないか、と推測します。というのも、単価の高さを群を抜いており、割高感は否めないからです。セルフサービスをその特徴とするスーパーは、どの小売店よりも割安感が求められます。そのようなルートで、あのような高単価珍味を販売するのは、かなり無理があるように感じます。

 

そこで、デパ地下に出店したのではないでしょうか。日経記事によると、35年前はデパ地下で惣菜を販売していたとのこと。その採算性が向上しなかったために、撤退したそうです。では、今再進出すれば、採算は合うのでしょうか。私は、難しいのではないか、と読んでいます。というのも、2012年こそ百貨店売上は前年をクリアしましたが、減少トレンドが転換したというほどではありません。逆に、百貨店同士・異業態との競争は激化しています。例えば、百貨店が集積し競争が激しい大阪・梅田地区では、4月にグランフロント大阪の商業施設がオープンします。さらに競争は激しくなるのです。東京なんて、さらに凄まじく、東京スカイツリーに始まり、渋谷・六本木など新しい商業施設が目白押しにオープンしています。このような競争激化の中で、百貨店に再進出を決めた伍魚福。収益以外の目的があるように思えます。

 

それが、2になります。デパ地下は、スーパーとは異なり、その来店客が割安感を求める度合が薄いのは間違いありません。だからこそ、スーパー価格の二倍ほどする惣菜が売れるのです。そのような環境で高級珍味を販売すれば、その注目度合はスーパーとは比になりません。試食も積極的に行うようなので、店舗への集客はかなり進むと思われます。ただ、問題なのは、その採算。百貨店の集客力が弱まっているので、採算が合うほどの売上を獲得できるかは、かなり疑問です。それでも、出店するのは、デパ地下店舗で知名度を上げて、スーパーの売場に誘導するのが目的だからではないでしょうか。

 

デパ地下に出店すれば、スーパーではなかなかリーチできない品質志向の消費者を集客することができます。そのような消費者は、伍魚福の商品を気にいれば、スーパーでも購入してもらえる可能性はかなり高いでしょう。また、対面販売のデパ地下店舗だからこそ、消費者に商品の良さや会社の姿勢を伝えることも可能になります。これは、セルフサービスのスーパーでは到底無理なことです。

 

もしかしたら、スーパーで独自売場を展開する時から、デパ地下での集客・スーパー売場への送客が計画されていたのかもしれません。だからこそ、高い家賃を払ってまで、スーパーに独自売場を設置したとも捉えることができます。ならば、その販売計画は、高度な戦略と言えるのではないでしょうか。

 

☆    今日のまとめ☆

スーパーを主要販売ルートとする伍魚福がデパ地下出店を再開したのは、スーパーでの売上が頭打ちしているからではない。

採算が合いにくいデパ地下に出店することで、スーパーではリーチできなかった品質重視の消費者を獲得できる。

その消費者を、スーパーに誘導できれば、スーパーでの売上を拡大できるだろう。

 

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☆    今日のこぼれ話☆

伍魚福の珍味、本当に美味しそうなのですが、なかなか手が出ません。

やはり、価格がネックですね。

高いだけに、失敗は避けたいと思いますし。

そういう意味では、デパ地下で試食を行うのは、かなり意味のあることではないでしょうか。

 

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「ものはどうして売れるかというと、よさそうに見えたら売れるのです。」

『気絶するほど儲かる絶対法則 売れるしかけと勝てるしくみの作り方』より)

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