国産発泡酒売上が2年4ヶ月ぶりに前年比を上回った理由とは?
ビール系飲料の5月実績が発表されました。
ビール大手5社が12日発表した5月のビール系飲料の課税済み出荷量は、前年同月比3・8%増の3691万ケース(1ケースは大瓶20本換算)だった。前年超えは2カ月連続。好天や景気回復への期待感などから家庭、飲食店向けともにビールが好調だったほか、新商品の発売が全体を押し上げた。(2013年6月12日付 日経新聞夕刊)
5月のビール系飲料の売上は、総じてよかったようです。気温が高く、晴れの日が多かったことが要因のようです。もちろん、アベノミクス効果も効いています。ゴールデンウィークに景気よくビールで乾杯するシーンが、日本中で繰り広げられていた感じでしょうか。
ある程度予想のできた結果なのですが、この記事の中で予想外のデータがありました。それは、発泡酒の売上についてです。発泡酒と言えば、「安いビール」というイメージですが、第三のビールが登場してからは、その代名詞を第三のビールに奪われました。その結果、売上は毎月のように減少していたのです。しかし、この5月はなんと前年比プラス。
第三のビールや発泡酒の新商品発売も全体を押し上げた。(2013年6月14日付 日経MJ)
日経MJによれば、新商品の発売が売上を押し上げたとのこと。発泡酒で何か新商品がありましたでしょうか?スーパーやコンビニに売っている発泡酒といえば、キリンの淡麗ぐらいしかありません。淡麗ブランドの新しい商品が発売されたのかと思いましたが、そういう事実はありません。発泡酒でどんな新商品が発売されたのかを調べるために、データ発信元である発泡酒の税制を考える会のサイトを訪ねました。該当ページを見ると、その新商品が明記されていましたが、その新商品とは驚きの新商品だったのです。
発泡酒の売上を前年比プラスに転じさせた新商品とは、
というアサヒビールの新商品。そう言えば、コンビニでこの2つの商品を見たことがあります。しかし、ビール系飲料の売場というよりも、チューハイやカクテル飲料の売場に近かったような。つまり、発泡酒の売上がプラスに転じたのは、ビールに似た発泡酒が売れたわけではなかったのです。カクテルに似た発泡酒が、寄与したことになります。
ちなみに、国産発泡酒の月次売上が前年比プラスに転じたのは、2011年1月以来で2年4ヶ月ぶり。カクテルに似た発泡酒のおかげで、2年4ヶ月ぶりに前年比プラスになったということは、ビールに似た発泡酒がそれだけ売れていない証拠でもあります。
☆今日のまとめ☆
国産発泡酒の5月売上が2年4ヶ月ぶりに前年比プラスに転じたのは、発泡酒が見直されたわけではない。
さらに言えば、アベノミクスや天候の影響でもない。
カクテルに似た発泡酒が発売されたからに他ならない。
ビールに似た発泡酒の売上減少は、まだ続いているのだろう。
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☆ 今日のこぼれ話☆
ちなみに、輸入発泡酒は、数量は少ないですが、この2年4ヶ月の間でプラスに転じた時もあります。
輸入ビールの中に、日本の表示ルール上発泡酒になるものがあるからでしょう。
店頭の輸入ビールの露出は、最近増えてきたように感じます。