アヲハタ四半期決算が教えてくれる、アベノミクスが食品販売に起こした影響とは?
by courtesy of Andee Duncan
※アヲハタのジャムではありません。
アヲハタの第三四半期決算が発表されました。特に、ウォッチしている企業ではないのですが、景気回復基調の中で減収減益という結果に終わっていたので、その内容・要因を詳しく調査してみることにしました。
【アヲハタ第三四半期決算の内容と推測される要因】
[売上]97.6%→全部門売上減、特に普及型ジャムの販売不振
[営業利益]69.0%→販促費上積みによる値引き拡大
※前年同期比
減収減益基調なのは、前の四半期も同じ。しかし、減収率・減益率とも大幅に上昇しているため、そのマイナストレンドはさらに悪化しています。その一番の要因は、普及型ジャムであるアヲハタ55シリーズの販売不振にあるようです。(これは短信にも明記されています。)ジャム以外の部門(パスタソースなどの調理食品類やフルーツなどの産業用加工品類、育児食などのその他)も売上は悪化しているのですが、売上不振でその銘柄まで明記されているのは、55シリーズのみ。よっぽど売れなかったことが推測されます。
販売数量の大きな55シリーズの販売不振は、製造にも大きな悪影響を及ぼすわけです。これは、バランスシートに表れています。
【55シリーズ販売不振が及ぼす製造への影響】
[商品及び製品]101.5%→販売不振による在庫増加
[仕掛品]107.2%→販売不振による稼働率低下
[原材料及び貯蔵品]124.0%→販売不振による稼働率低下
では、なぜ普及品の55シリーズが思ったほど売れなかったのか?単に、消費者の低価格志向の高まりで片付けることはできません。というのは、より単価の高い「まるごと果実」の販売が好調だったからです。では、なぜ単価の高い商品が売上を伸ばす一方で、普及品は販売不振に終わったのか?
【普及品が売れず高単価商品が売れた原因】
[普及品の販売不振]低価格志向の強い消費者がPB商品にシフトしたから、アベノミクスで懐が豊かになった消費者が専門店の高額ジャムにシフトしたから
[高単価商品の販売好調]アベノミクスで懐が豊かになった消費者が普及品から高単価商品にシフトしたから
つまり、アベノミクスにより消費者が二極化して、その影響をモロに受けたことが大きな要因なのではないでしょうか。アベノミクスで得をした人は、より美味しい商品を食べたいと思い、「まるごと果実」やセゾンファクトリーなど専門店の高額ジャムを買った一方で、アベノミクス効果がほとんど無かった人は、物価高に直面して、より安いPBジャムにシフトした可能性があるのです。
物価高はこれから本格化することを考えると、アベノミクスによる消費者(消費)の二極化は、今後ますます強まると思います。となると、高額商品を持たないリスクが企業には出てくるわけです。
☆今日のまとめ☆
アヲハタが減収減益に終わったのは、主力の普及型ジャム・55シリーズの販売が不振に終わったから。
一方で、高単価品の「まるごと果実」シリーズはよく売れたという。
この要因は、アベノミクスにより、消費の二極化がより強かったからではないか。
アベノミクスで得をした人は高単価品にシフトする一方、得をしなかった人は物価高の影響でより単価の低いPB商品にシフトしたのだろう。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
マクドナルドが高額バーガーを導入するのは、このアベノミクスで得をした人を取り込みたいからでしょうか。