仮に賃金が増加するとしても、その売上増効果にあまり期待してはいけない。
by courtesy of Bashar Al-Ba’noon
安倍政権は、民間企業に対して賃金引き上げの圧力をかなり掛けているように感じます。そこまでしないと賃金が上昇しないと考えている証拠であり、それだけ企業の競争環境は過酷ということでもあります。
個人的には、全体での賃金上昇はあまり期待できないと予想しています。その理由は、それだけ海外企業との競争が激化しており、日本国内の人件費だけ全体で引き上げる理由がないからです。海外展開する企業ならば、人口減少が避けられない国内市場よりも、成長余地の大きな海外市場(特に新興国市場)への投資を増やすはず。その投資には、人材も含まれています。好業績の企業は引き上げるかもしれないですが、それでも個人の働き次第で上昇幅、さらには上昇するかどうか変わるのではないでしょうか。
国内市場だけを対象にするドメスティックな企業ならば、さらに投資には慎重なはず。また、異業種からの新規参入も度々起こるので、財務体質アップに利益を投じても全く不思議ではありません。
それでも民間企業に賃金アップして欲しければ、政府がその手本になれば、とも思います。例えば、公務員の給与を引き上げて、それでも財政赤字を削減したならば、民間企業は政府の本気度を理解するはずです。
私の予想はともかく、仮に賃金が上昇したと考えましょう。それでも、消費が伸びて、小売業が潤うとは考えにくいのです。なぜかというと、賃金上昇により消費を増やす人と増やさない人がいるから。つまり、正規雇用者の給与が増えれば、それなりに消費を増やすかもしれないですが、非正規の場合は、増えても生活に余裕がないため、なかなか支出増には向かないのではないでしょうか。
このように考えると、アベノミクスが仮に成功して賃金が上昇したとしても、正規雇用者をメインターゲットにする業態は売上を伸ばすかもしれませんが、非正規がメインターゲットならば、なかなか難しいと言わざるを得ません。
もちろん、ユニクロのように、非正規をメインとしつつも、既存店売上高を伸ばす企業もありますが、それは大幅値引きが可能だから。値下げをしても利益を出せる大企業だからできる技なのです。どの雇用形態をメインターゲットにするかは、売上変動に大きな影響を及ぼすように思えます。
☆今日のまとめ☆
仮にアベノミクスが成功して賃金が上昇しても、消費を増やすのは正規雇用者だけではないか。
ならば、正規雇用者をメインターゲットにする業態しか、売上増加の恩恵を受けないことになる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
非正規がメインターゲットならば、知らないうちに使ってしまう仕掛けが必要かもしれませんね。
例えば、ソーシャルゲームのように。
個人的には、良かれとは思いませんが。