ギャップの特売ポスターby courtesy of Tantek Çelik

先週末、神戸・三宮のGAP(ギャップ)にふらっと寄ったのですが、その来店客数の多さにびっくりしました。アパレルにも増税前の駆け込み需要が起こっているようなのですが、それ以上に集客を大幅に増やす仕掛けがあったのです。それは、

全品50%オフ

という週末限定セール。GAPが半額で販売するのは、特別珍しいわけではありません。売れ残った商品は、50%以上値引きされることもザラで、さらに来店者全員が引けるくじ引きで運良ければ全品50%引きの券を引き当てることも可能です。(このくじ引きでは最悪でも全品20%だったような)ただし、何かしら条件があったのは事実。今回のような、半額対象が全品なのは、これまで見たことがありません。三宮店だけの販促かもしれませんが、増税前の駆け込み需要をもぎ取ろうという意欲が感じ取れました。

駆け込み需要の取り込みは、GAPだけに限ったことではありません。阪急沿線の岡本に行けば、文具店の堀萬松堂が全品20%~60%オフのセールをするなど、地場の小売店も思い切ったセールを行っています。全国チェーンのスーパーは、箱売りの商品を投入するなど、数カ月分の需要を先取りするのに躍起です。

このように駆け込み需要獲得競争が激しくなるのは、増税後の消費急減を恐れてのことでしょう。特に耐久消費財や日持ちする日用品・食品の場合、数ヶ月間消費が消滅する可能性があります。例えば、ビールを数ケース買えば、1・2ヶ月は買う必要がなくなり、スーパーやリカーショップに行く必要が無くなります。来店機会が減少すれば、その他商品の販売にも少なからず影響が出てきます。このような事態になる危険があるなら、思い切って増税前に売り切ってしまおう。日本の小売店は、どこもこう思っているからこそ、駆け込み需要の喚起に躍起になっているのです。

一方で、新聞を見ると、消費増税の影響は小さいと見る記事が幅を利かせています。

日本経済新聞社が22日まとめた「社長100人アンケート」で、消費増税前の駆け込み需要が想定通り かそれを下回っているとの回答が全体の3分の2に達した。駆け込み需要や増税後の反動減による年間売上高への影響は「5%未満」と「なし」の回答が合計で 7割を超え、影響は軽微との見方が多い。国内景気は9月ごろまでに上向くとの回答が55%にのぼった。主要企業の経営者の強気な景況感が改めて裏付けられ た。(2014年3月23日付 日経新聞朝刊)

あくまで上場企業経営者へのアンケート結果ですが、この記事を読む限り、駆け込み需要は需要の先取りに過ぎず、買いだめした商品が消費されれば、売上はまた戻るとしています。しかし、現在行われている駆け込み需要獲得競争を見る限り、利益を削ってでも販売しているようなので、消費増税後の価格が消費者に受けいられるかはかなり疑問。光熱費の値上げも予定されていることも考えると、可処分所得の減少を実感する消費者が増加し、節約志向が予想以上に強まる可能性は十分考えられます。

もしかしたら、現場を知らない経営者だけが楽観論を唱え、現場は消費の大幅な縮小を懸念しているのかもしれません。少なくとも、実態と予想には大きなギャップを感じずにはいられません。

☆今日のまとめ☆

小売業界が躍起となる駆け込み需要獲得競争を見る限り、消費増税後の消費の落ち込みを楽観視できない。

経営者アンケートの楽観論と現実には、大きなギャップがあるのではないか。

 

 

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☆    今日のこぼれ話☆

日経新聞しか読んでいませんが、全般的に消費増税を楽観視する記事が多いのに驚きます。

もし、株価上昇が止まれば、資産効果も無くなり、アベノミクスがスタート地点に戻ることも十分あり得ると思います。