動画を活用する学習塾とレストランのお一人様需要の共通点とは?

学校の机

 

先日参加したFCフェアで、一番おもしろいと感じたビジネスは、動画を活用した学習塾とシニア向けの訪問マッサージサービスです。今回は、前者について。

 

動画を活用した学習塾では、講師を雇う必要がありません。人材不足は当分解消されないと予想している私としては、とても面白いビジネスモデルに見えるわけです。講師を雇用しなくていい分、塾料金を低く設定でき、価格競争力を持つことができます。学習塾は、価格よりも質が問われる課題解決サービスですが、できれば割安な方がいいはず。さらに、一部の大企業サラリーマンを除いて、給与の継続的な上昇が今後見込めないことを考えると、教育サービスにコスパを求める人が増えることも考えられます。だから、学習塾でも価格競争力は重要なのです。

 

事業者から見れば、講師の人件費がない分、損益分岐点が下がることになります。収益性から見れば、これは大きな利点。FC加盟では、本当に儲かるのかという疑問が常に付きまといますが、損益分岐点が低ければ、利益の出る確率も高くなり、FCとしての魅力は高まります。

 

さらに、動画コンテンツが豊富なため、生徒の習得度に応じた動画を利用することができます。これは、個々の生徒に対応できる家庭教師の特徴に近いものがあります。全国で一斉に同じ講座を受ける、代々木ゼミナールのサテライト講義とは違うのです。カスタマイズニーズに応じたサービスと言えるでしょう。

 

ただ、ここで一つ疑問が生じます。それは、動画を利用するならば、わざわざ塾に行かなくとも、自宅でできるのではないか、というもの。FC本部としても、わざわざFC加盟者を募集するというコストの掛かることをしなくても、本部から生徒に動画コンテンツを配信することも可能なはず。配信コストが掛かるならば、DVDとして貸し出すことなら低コストで済みます。FC加盟者募集が思うように進まなければ、本部が動画配信サービスを開始する可能性が否定できないのです。そうなれば、店舗でサービスを提供するFC加盟者よりも、低価格で提供することが可能となり、FC加盟者には大きな脅威になりえます。

 

そこで、実際そのようなリスクについて質問してみると、生徒が一同に介する塾の効果について説明を受けました。一つの場所にみんなで集まるからこそ、勉強できるのだと。一人で勉強できないからこそ、塾に行くのだと。考えてみれば、一人で勉強できる生徒ならば、わざわざ塾に行かずに、参考書を買って勉強できるはず。もしくは、進研ゼミのような通信講座を使えばいいのです。塾に通う時間を節約できることで、部活動や友人との交際をより充実させることができます。それにもかかわらず、塾に行く生徒が多いということは、みんなと一緒にすることでより学習効果が上がるからに他なりません。

 

これと同じ理屈なのが、レストランのお一人様需要ではないでしょうか。確かに、外食店の一人利用には、調理する手間を省けるという目的もありますが、それならコンビニやスーパーで総菜を買えば済むはず。それにもかかわらず、一人で飲食店に行くのは、他の顧客と同じ場所で食べることで、寂しさを和らげられるからではないでしょうか。寂しく自宅で食べるよりも、少々高くても楽しい雰囲気で食べたいからこそ、一人で飲食店を利用する人は多いはずです。前回取り上げた、ヒルトン東京のビアガーデンの一人利用も、あの楽しそうな雰囲気でビールを思いっきり飲みたいニーズに対応しているとも言えます。

 

顧客ターゲットを一つの場所に集めることで、より価値を高めることが可能になるのです。(もちろん例外もありますが)

 

☆今日のまとめ☆

動画を使った学習塾が、動画配信で済ませないのは、生徒が集まることで学習効果が高まると考えるから。

レストランの一人需要があるのは、寂しさを和らげる目的があるから。

一つの場所に集めることで、価値を高めることは可能。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

証券業界なんて、トレードできる場所を作れば、面白いと思いますよ。

他人の投資判断・活動は気になるものですし。

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