4月牛丼チェーン既存店売上高と重税感

"Gyudon revived! / 吉野家の牛丼(並・玉子付き)"

 

4月の牛丼チェーンの既存店売上高が発表されました。少し古い記事ですが、予約投稿分なので、悪しからず。

 

牛丼大手3社の4月の既存店売上高が7日、出そろった。吉野家ホールディングスの「吉野家」が3・3%減るなど3社とも前年実績を下回った。昨年4月は3社が値下げで大規模な販促策を展開しており、反動で客足が伸びなかった。(2014年5月18日付 日経新聞朝刊)

 

これだけ見ると、消費増税の影響がモロに出たようにも見えますが、実態は異なります。既存店売上高がマイナスになったのは、2013年4月に大きな値下げキャンペーンを各社行ったことが原因であり、消費増税による節約志向の高まりではなく反動減によるものです。実態は、消費増税の影響はさほど感じれないと言ってもいいかもしれません。

 

特に、値上げした吉野家は、消費増税の影響を一番受けやすいにも関わらず、前年の値下げ前の時期と比較すれば、既存店売上高・客数とも二桁増。二桁増は、3月も同じ。つまり、増税後も、吉野家の快進撃は継続していることになります。この数字を見る限り、消費増税の影響は、ほとんど無かったようです。

 

消費増税後に、節約志向・低価格志向が高まると予想していただけあって、吉野家のこの数字には驚きました。今のところ、消費増税は仕方ないものと、消費者が受け入れているのかもしれません。一方で、ベースアップやボーナス増による所得増が期待できるとなれば、この消費増税は乗りきれると判断したのかもしれません。特に、大企業の正規雇用者は、この傾向が強いものと予想しています。

 

しかし、これが今後も続くかは疑問です。というのも、税抜き価格と税込価格との併記が増えることで、意識せざるとも税額を目にしてしまうからです。例えば、税抜き1020円の場合、消費税率5%なら支払いが1000円台で済みましたが、8%になってからは1100円台になります。私はこの重みをすでに感じていますが、今感じなくても、消費活動が増えるにつれて、この重税感がじわじわ広がる可能性は否めないのです。

 

さらに、2013年度の消費者物価が0.9%上昇する一方で、預金金利は上昇しておらず、その結果、定期預金をすれば実質資産が目減りするという事態が起こっています。生活者は概して名目だけに注目するので、気づきにくいものですが、給与が上昇しているのに、思ったほど預金が増えていないとなれば、節約志向が高まっても不思議ではありません。消費増税により物価は自動的に2%ほど上昇するので、預金による実質資産の目減りのスピードはさらに高まることになります。

 

今のところ、消費増税の影響は軽微との風潮が強いですが、まだまだ楽観は禁物。消費者心理の好転で個人消費が上向いたように、消費者が重税感を強めれば、消費行動が激変する可能性は否めません。特に、ファストフードのようなコスパや単価の低さが重視される業態は、節約志向がモロに影響するのではないでしょうか。

 

☆今日のまとめ☆

牛丼チェーンの4月既存店売上高がマイナスになったのは、前年の値下げの反動のため。

消費増税の影響は、さほどないと思われる。

しかし、重税感の高まりともに、物価上昇による実質資産の目減りが意識されると、消費行動が激変するリスクはまだまだ否めない。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

税抜き価格は、本当に面倒ですね。

売り手の気持ちはわかりますが、ちゃんと計算しないと、思わぬ出費になるケースが多いと感じています。

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