"Gyudon revived! / 吉野家の牛丼(並・玉子付き)"

 

吉野家が牛丼等メニューの値上げに踏み切ります。発表後時間を経ずに実施ということで、店舗では入り口で告知されています。吉野家が値上げすることは、そう珍しいものではありません。消費増税の時も増税幅以上に価格改定しましたし、今年の牛すき鍋膳も、昨年よりも値段を引き上げています。280円に値下げして以来何度か実施した値上げが、収益にプラスになったからこそ、今回も値上げに踏み切ったのでしょう。ただし、その幅は20%以上という尋常な範囲を超えています。

 

値上げに成功してきた吉野家のことだから、牛丼並盛りの300円から380円の大幅値上げも勝算があってのことだと思います。しかし、個人的意見として、この値上げの成功確率は低いと見ています。その理由は、

 

品質向上を伴わない値上げの成功事例は少ないから

 

です。その最たる例は、マクドナルドでしょうか。マクドナルドの低迷は、100円マックの縮小やグランドメニューの値上げから始まったと、私は考えています。商品がグレードアップせずに単に値上げすれば、何か損した気分になるものです。実際にマクドナルドであったのですが、100円で買えていたハンバーガーが120円になれば、たった20円ですが何か損した気分になります。ならば、100円のチキンクリスプにしようということになります。毎日チキンクリスプを食べるのは飽きるから、今日はマクドナルドではなくコンビニの菓子パンにしよう。この結果起こるのが、客数の減少です。(この場合も20%の値上げでしたね。)

 

食品業界でもありました。リーマンショック前でしたか、安値販売が常態化していた5袋入り袋麺の価格を正常化しようとして、とあるメーカーが値上げに踏み切りました。この場合は、グレードアップはもちろん、パッケージ変更もない値上げでした。結局、顧客離れが起き、数量減が凄まじかったのか、そう時間が経たない内に値下げが再度始まりました。同じ商品をそのまま値上げすることは、とても難しいのです。

 

にもかかわらず、吉野家が20%超の値上げに踏み切るのは、値上げ以上に何か野望があるからではないでしょうか。それは、

 

ファストフードからファストカジュアルへの変貌

 

ではないか、と私は予測しています。ファストカジュアルとは、高品質の料理をセルフサービスなどの簡易サービスで提供すること。アメリカのチポトレメキシカングリルが有名ですが、日本ではファストカジュアルはほとんどありません。モスバーガーがこの業態に当たるかもしれませんが、メニュー構成はファストフードのマクドナルドそのものなので、少し違和感があります。

 

これまでの牛丼とは全く違う牛すき鍋膳で成功したことが、吉野家のファストカジュアル転換の根拠です。牛すき鍋膳の見た目と使用する什器・食べ方は、牛丼チェーンが従来提供してきた牛丼・定食類とは全く異なります。しかも、来店客は、従来とは異なりゆっくり食べることができます。提供スピードは早いが、高品質でゆっくり食べる料理を提供すれば、それはファストカジュアルそのもの。

 

吉野家がもしファストカジュアルならば、牛丼はメインメニューで無くなるかもしれません。牛すき鍋膳のような高品質な和食料理が増えれば、日本人のみならず訪日外国人にとっても美味しい和食が手頃に食べられるファストカジュアルレストランとなりえます。牛丼並盛りの380円への値上げは、円安を享受する外国人観光客も意識したものかもしれません。

 

380円でも十分安いですが、もし競合他社が300円以下の値段を維持したならば、その価格差は結構大きなものとなります。深刻な顧客離れが起こっても不思議ではありません。しかし、もし吉野家が高品質の和食を手頃な価格で提供するファストカジュアルチェーンになれば、380円の牛丼は逆に安く感じられるかもしれません。牛丼の大幅値上げにより、牛丼主体のファストフードチェーンから、牛丼も売るファストカジュアルチェーンに転換したいのかもしれません。

 

☆今日のまとめ☆

吉野家が牛丼を20%超単純値上げするのは、牛丼主体のファストフードチェーンから牛丼も売るファストカジュアルチェーンに変わりたいからかもしれない。

 

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  • 今日のこぼれ話☆

吉野家の野望は、あくまで推測ですよ。

メインのチェーンでこんな冒険するなんて、普通ありえませんからね。

ただ、昨年4月に280円に値下げしたチェーンが、2年経たずして380円にまた戻すというのも、なかなかできるものではありません。