飲食店が価格競争に陥った理由と提供する商品の変質
By Xin Li 88
外食産業は気になる業界なので、新聞・雑誌・ネットなどから日々情報を入手しているのですが、最近ふと考えたことがあります。それは、
私自身、めっきり外食をしなくなった
ということです。
経済的に余裕が無いという理由もあるのですが、特に我慢しているというのでもありません。私が外食をしない理由は簡単で、
行きたいというお店がない
ことが外食しない理由です。
しかしながら、考えてみると、30歳までは外食を楽しんでいました。行きつけのお店もありましたし、気になるお店もたくさんありました。「次はここに行きたい!」というお店が、二三頭に入っているのが普通だったのです。
そんな私が、なぜ外食しなくなったのか。その理由は簡単でした。
家で食べることと比較すると割高だから、わざわざ高いお金を払ってまでも外食したくない
からです。スーパーやデパ地下で購入できる惣菜や加工食品の品質がアップしたことも事実でしょう。飲食店で食べる料理との差が小さくなったとも考えられますが、惣菜・加工食品の品質がアップするのと同じように、飲食店の料理も美味しくなっているはず。値下がりも、内食・中食・外食のいずれの商品で進んでいます。
ここで、飲食店で提供される商品について考えたいと思います。それは、
外食の商品=料理+サービス+雰囲気
です。(あくまで私の定義)この商品に価格が付いて販売され、価格と商品がセットとなり価値が評価されます。私が飲食店に行かなくなったのは、
家で食べる料理の価値>飲食店の商品の価値
となったからです。以前よく外食していたのは、
家で食べる料理の価値<飲食店の商品の価値
でした。そこで、不等号が逆転した理由を考えてみました。その理由は簡単で、
サービスが低下した
からです。さらに、どんなサービスが低下したかを考えてみたところ、
店員さん・店長さんとのコミュニケーション
という結論に至りました。
そういえば、私が外食産業を志したのは、店員として働いていた時に、お客様とのコミュニケーションが楽しかったことに起因しています。料理提供と一緒に私の個性を提供し、お客様に満足していただける。これはサービス提供者冥利に尽きることです。
さらに、今でもリピーターとして行くお店は、
店長さんや店員さんとコミュニケーションが取れる
お店です。今日のおすすめ料理をただ伝えてくれるだけでなく、どう美味しいかも教えてくれます。さらに、その食べ方まで教えてくれる時があります。もちろん、私の存在(名前を伝えたかどうかはわかりませんが)を認識してくれて、お客さんのワンオブゼムではなく、私個人として迎えてくれます。京都のフレンチレストランも、オーナーシェフとお話できたことで、一気に親近感が湧きました。また行きたいと思うお店になったのは、言うまでもありません。
一方、その他のお店で一回きりしか行かなかったお店は、単に料理を運んでくれるだけ。店員さんとの会話は、注文と「おまたせいたしました」「ありがとうございました」ぐらい。これでは、そのお店で提供される商品が、
料理と雰囲気だけ
になってしまいます。雰囲気はなかなか甲乙付けがたい要素です。家出の食事では、「くつろげる」という価値の高い雰囲気が提供されますので、外食の特別な雰囲気が常に勝てるというわけではありません。空いているお店は寂しいし、忙しいお店はうるさい。飲食店は、雰囲気だけで差別化するのはとても難しいかと思います。(バーの場合は少し違いますね。)となると、後は料理だけ。家で食べる料理と飲食店で食べる料理を比較すると、その価格差が大きく響きます。相当美味しくなければ、余分にお金を支払う価値は見出しにくいのではないでしょうか。
サービス特に、お客さんとのコミュニケーション不足が、飲食店の価値を大きく下げていると思います。
そして、料理で勝負するとなると、てっとり早いのが価格を下げること。料理の美味しさは、食べてみるまで伝わりません。さらに、料理で差別化をしても、売れるメニューというのがわかれば、簡単に競合に真似されます。居酒屋のメニューが、各店で酷似していることを見れば、理解できるかと思います。(もちろん、多くの部分は真似できますが、細部まで真似することは難しい。細部で大きな差別化ができているのが、いわゆる高級店かと思います。)ならば、数字で差別化すれば、誰にでも一目瞭然にその差を訴えることができます。その結果、価格競争が勃発します。その相手は、当初競合店だったのですが、リーマン・ショック後は、家で食べる食事つまり内食や中食が敵として浮上しました。つまり、外食と内食・中食が同じ土俵で戦うようになったのです。セルフサービスのファストフードなら太刀打ちできるかもしれないですが、フルサービスの飲食店は太刀打ちできません。特に、和洋中の料理を総合的に提供する居酒屋は、専門性を提供できないために、もろに内食・外食との戦いに巻き込まれます。これが、居酒屋の価格競争が特に激しい理由のように思えます。
飲食店時代、ホールを任されていたことが長かったからでしょうか。ついつい、サービスに関しては辛口評価してしまいます。しかし、家で食べる食事と飲食店で食べる食事の最大の違いは、そのサービスにあるので、サービスが悪ければ、飲食店の価値が大きく落ちるのは間違いありません。特に、ソーシャル・絆の価値が暴騰している今を考えると、店員さん・店長とお客様とのコミュニケーションは、サービスの中でも大きな価値を占めると言っても、過言ではないでしょう。そのコミュニケーションが不足すれば、飲食店の顧客離れが進むのも不思議ではありません。顧客離れから起こった飲食業の価格競争。その根本要因は、サービス、特に顧客コミュニケーションの低下にあると思います。
☆今日のまとめ☆
飲食店で提供される商品とは、料理・サービス・雰囲気。
そのサービスが低下していることで、競合店との価格競争、そして内食・中食との価格競争に陥るようになった。
特に、店員・店長とお客様のコミュニケーションは、外食での醍醐味なので、コミュニケーションの低下は、外食の価値を大きく下げる。
その結果、サービスを提供しない内食・中食との比較にさらされ、さらなる値下げを迫られるようになった。
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☆ 今日のこぼれ話☆
ちなみに、私がリピートしているお店はこちら。
そして、京都のフレンチはこちら。
どちらも、サービスはもちろん料理も絶品です。
おすすめは、もちろんカウンター。
☆昨日の目標→その結果☆
◎朝6時に起きる→☓
◎毎日情報を発信する→◯
◎毎日仕事以外の人に話掛ける→☓
◎腕立て・腹筋30回→☓
◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→☓
◎部屋や家の掃除をする→☓