コストコがあぶり出した、買い物活動を知られたくないという消費者ニーズ。

ポイントカードBy kalleboo

 

少し古いですが、コストコに関する次のような記事を見つけました。

 

消費者は自分の買い物行動が吸い上げられていることに嫌悪感を抱き始めているのではないだろうか。便利になった社会の代償として、監視・管理社会になってしまった。ストレス発散にもなる買い物ですら、消費者は苦痛でストレスに感じている証左だ。コストコ人気は「知られたくない」という消費者心理をうまくくみ取って日本の消費者に溶け込もうとしているのだ。(2010年1月9日 日経新聞電子版

 

小売店がポイントカードを発行するのは、顧客の購入データを収集・分析するためです。分析することで、一番購入しそうな人に商品のプロモーション(クーポン発行など)を掛けることができ、無差別で特売するよりも、売上・利益を稼ぎやすくなります。顧客は、購入データを提供することにより、ポイントを獲得するだけでなく、自分が欲しい可能性の高い商品の割引を受け取ることができます。このように、小売店発行のポイントカードには、ウィンウィンの関係が成り立つとされています。

 

しかし、このコストコの記事を見ると、実際にはそうではないようです。正確に言うと、自分の購入データの提供を嫌な消費者もいるようです。自分の購入データを提供することで、ポイントを獲得できるなんてお得だと思う私としては、少し意外に思いました。

 

誤解を受けるといけないので、もう少し正確に表現します。有料会員しか購入できないコストコは、どちらかというと、他の小売店よりも顧客の購入データを収集・分析していると思われます。お店に自分が何を買ったのか知られたくない消費者にとっては、データを収集するコストコは他の量販店と同じはず。しかし、コストコを利用する消費者は、有料会員だけではありません。有料会員が友人の分まで購入することもあるし、友人も一緒にコストコに来て買物を楽しむこともできます。つまり、

コストコの収集している購入データ=有料会員と友人の購入データ≠個人の購入データ

となるので、購入データを知られたくない消費者のニーズを満たすことができるのです。

 

この日経記事は、2年も前の記事なので、今のこのような消費者が多数存在しているかどうかは不明。ただし、一部には購入データを知られたくないという人もいることでしょう。となれば、食品スーパーで、この購入データを知られたくない消費者をターゲットにするお店があると、この消費者ニーズを満たすことになり、一人勝ちになることができます。購入データを収集できないとなると、お店が収集できるデータは、

  • 売れた商品・その数量・売上金額・粗利率
  • レジを通った顧客の見た目年齢・性別・人数

になります。このデータは紐付けすることができます。つまり、

  • 性別が◯で◯歳ぐらいの◯人で来店した顧客が、何をいくついくらで買ったか。

がわかることになります。このデータを性別や年齢・人数で分類することによって、

  • 何人で来店した顧客の購入確率の高い商品
  • 性別・年齢による購入確率の高い商品

がわかります。このデータを使えば、ある程度狙いを定めた商品プロモーションは可能ではないでしょうか。

 

会員別の購入データを収集している割に分析が進んでいないのか、ターゲット別のプロモーションが適切に行われていない例が多いように思えます。分析して、その分析からプロモーションを決めるのは、労力がいることは理解できます。しかし、このシステムを導入するのに、決して小さくないコストがかかっているのも事実。有効活用できていないならば、カード発行の伴うFSP(フリークエントショッパーズプログラム)を導入せず、見た目年齢や性別・人数などレジを通る人の属性をレジに入力することで属性別の購入データを蓄える、より簡単なシステムでいいのではないでしょうか。FSP簡略化によるコストダウンだけでなく、買い物行動を吸い上げられるのを嫌がる消費者の集客に繋がるかもしれません。

 

☆      今日のまとめ☆

コストコの魅力として、有料会員の友人に買物を頼むことにより、自分の購入データがお店に知られないこともあるようだ。

ポイント付与よりも買物データ提供を嫌がる消費者がある一定数いるとすれば、買物データを集めないというスーパーの差別化もありだろう。

しかも、それでも、レジを通る顧客の同伴人数・性別・年齢をレジに入力することで、ポイントカード付与の場合と同じような属性別のプロモーションは可能である。

投資額の大きなFSPをしない分、コスト削減にもつながるだけでなく、買い物活動を吸い取られることを嫌がる消費者の集約を促すことができる。

 

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☆ 今日のこぼれ話☆

購入データを収集・分析して次の購入につなげるのは、ネット通販が一番得意とする部分。

これを嫌がる消費者が増えると、ネット通販の販促方法も変化を余儀なくされます。

個人的には、自分の好みを予測して提案してくれるのはありがたいことなのですが・・・

 

☆昨日の目標→その結果☆

◎朝6時に起きる→◯

◎毎日情報を発信する→◯

◎毎日仕事以外の人に話掛ける→☓

◎腕立て・腹筋30回→☓

◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→☓

◎部屋や家の掃除をする→☓

 

 

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