吉田類の酒場放浪記から学べるランチェスター戦略と飲食店の改善策
By JanneM
神戸に引っ越してからでしょうか、BSを見ていて思わず覗き込んだ番組があります。それは、
作家の吉田類さんが、日本各地にある一杯飲み屋で飲み歩いて紹介する番組です。一杯飲み屋なんて、ほとんど行ったことがなく、行こうとも思わなかったので、「こんな番組、誰が見るのだろう?」と思いました。それは、2008年のこと。それから3年あまり経ったのですが、今でもこの番組は放送されています。ウィキペディアで調べてみると、なんと2003年から放送されているようです。もうすぐ10年にもなる長寿番組です。
そこで、酒場放浪記が長寿番組なった理由を考えてみました。
- 一杯飲み屋好きというマニアックなニッチ市場をターゲットにしているため。
- 一杯飲み屋に入りたくても入れなかった人に、未知の体験を垣間見せてくれるから。
- 吉田類さんと飲み屋の店主・お客さんとのふれあいが、今の飲食店では味わえない温かみを与えてくれるから。
- 不景気で一杯飲み屋に行けなくなった人が、一杯飲み屋を家で疑似体験できるから。
1については、顧客を絞ったところがミソですね。おそらく、低予算の割に視聴率が安定的にそこそこ取れるので、番組が続いているのでしょう。それが可能なのは、ターゲットを絞って、そのターゲットが見たいコトやモノを提供しているから。予算に限りがある中小企業には、とても参考になる(いやいや、必須の)戦略です。一杯飲み屋好きというのは、
- 年齢は、50~70歳ぐらい。
- 特に好きなお酒は、ホッピー・ハイボール・日本酒。
- 性別は、圧倒的に男性。
という属性でしょうか。グルメにお金を使うと言えば、女性です。だから、グルメ番組は女性を意識した内容が多いのですが、酒場放浪記はその要素が全くありません。逆張りだからこそ、競合がほとんどいなく、ほぼ独占しているのかもしれません。
2については、もともとターゲットとしては設定していなかったのですが、販売してみたら思わぬお客さんがやってきた、というパターンのことです。酒場放浪記で言えば、若い男性がこのお客さんなのでしょう。女性が見るということはあまり考えられないのですが、もしかしたら、昭和のノスタルジックな文化に興味を示す若い女性なら、この番組を見ても不思議ではありません。ただ、このような視聴者を獲得できたのも、一杯飲み屋好きというニッチ市場に特化したからこそです。番人受けを狙っていれば、民放19時~21時に放送されるようなグラドルと芸人のグルメ番組になっていたかと思います。
3については、昔の飲食店で見られた光景です。店員さんや店長との会話は、外食の楽しみの一つでもありました。親しくなれば、店長に仕事やプライベートの悩みを相談するお客さんがいてもおかしくありません。昔ながらの飲食店には、そんなフレンドリーな温かい空間がありました。酒場放浪記を見ていると、この温かさが感じられます。チェーン店では絶対に味わえない体験なので、主に飲食店しか利用しない消費者には新鮮に感じるはず。そして、仕事上の競争で疲れた人には、この温かさが癒しを与えます。
最後の4について。一杯飲み屋が好きなおじさんも、この不景気で家飲みが多くなったことでしょう。酒場放浪記を見ながら家で飲むと、一杯飲み屋を疑似体験できます。無料で見れるので、奥さんも反対しないはずです。
吉田類の酒場放浪記を取り上げたのは、ターゲットを絞ることの大切さが学べるとともに、今の飲食店が忘れがちなお客さんとのコミュニケーションや温かい雰囲気を再認識できるから。チェーン店は、その規模の経済を活かして低価格を追求します。独立系の飲食店が、チェーン店のこの低価格圧力に、価格で対抗しても負けるのがオチ。ならば、逆に、チェーン店に無くて、町の飲食店にあるもので勝負をすればいい。この強みが、コミュニケーションや温かい雰囲気だと思います。チェーン店は異動が頻繁になり、店長はコロコロ変わります。一方、町の飲食店は、たいていオーナーが店長なので、店長は変わりません。規模が小さいからこそ持てるこの強みを活かせば、チェーン店に対抗できると思います。
☆今日のまとめ☆
吉田類の酒場放浪記は、ターゲットを絞ることや、今の飲食店が失いつつあるお客さんとのコミュニケーションや温かい雰囲気の大切さを、思い起こしてくれる。
特に、小規模の町の飲食店は、後者をチェーン店にはない強みとして活かせるのではないか。
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☆ 今日のこぼれ話☆
吉田類さんのおかげで、一杯飲み屋が好きになりました。
こうやって、知らない文化・空間に触れて、好きになるっていいですね。
人生の幅が広がります。
☆昨日の目標→その結果☆
◎朝6時に起きる→◯
◎毎日情報を発信する→◯
◎毎日仕事以外の人に話掛ける→◯
◎腕立て・腹筋30回→◯
◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→◯
◎部屋や家の掃除をする→☓