【549号】米スタートアップ企業が大学生に注目する理由とは?
By eric731
◎本日のニュース
1)見出し
Big Marketers on Campus
【出典】
http://goo.gl/wt4RP
2)要約
IT系のスタートアップ企業で、大学生を販促担当として活用する
事例が増えている。大学生は、教室のホワイトボードに
ブランドの名前やURLを買いたり、大学構内で知らない人に
話しかけたりすることで、実生活でブランド認知拡大に務める。
また、ブランドのフェイスブックページを作ったり、
動画投稿やツイートしたりするなど、ネット上でも活動を行う。
このような活動は、ボランティアで行われ、金銭的な報酬を
受取ることはほとんどない。
活動を就職の履歴書に書けるからである。また、
商品を利用できたり、業界リーダーの講演を無料で聞けたり、
その他仕事に役立つスキルを身につけたりすることが可能だからで
無料で販促担当を雇うことができる点が大きなメリットである。
また、友人に話すことが好きな大学生を活用することで、
口コミ効果も期待できる。
◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Students from the University of Southern California to
Dartmouth College are lining up to become on-campus volunteer marketers
for technology start-ups.
4)キーとなる英文の和訳
南カリフォルニア大学からダートマス大学まで複数に渡る大学の学
IT系スタートアップ企業の無償学内販促担当になろうとしている
5)気になる単語・表現
line up自動詞句一列に並ぶ
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
大学生を販促担当として活用しているスタートアップ企業として、
以下の企業・サービスが取り上げられている。
◯レント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway)=
オンラインのデザイナーズドレスレンタルサービス
◯フォースクエア(Foursquare)=
◯スタイリティクス(Stylitics)=オンライン上で、
持っている服や欲しい服を友人と共有できるサービス
企業が無償で大学生を販促担当として活用するには、
企業と大学生双方にメリットがなければならない。
そこで、両者のメリットを挙げてみると、以下のようになる。
【大学生のメリット】
1.履歴書に職歴として書くことができる。
2.好きなウェブサービスを広めることができる。
3.仕事上で役立つスキルを磨くことができる。
4.無料または割引価格で商品を利用できる。
5.学内で特別な存在になれる。
6.単位をもらえる場合がある。
7.その企業に就職できる場合があるから。
【企業のメリット】
1.無料で販促してもらえる。
2.コミュニケーション密度の高い大学生グループを活用できる。
まず大学生のメリット1について、このメリットが一番大きい。
記事でも、
Instead, ambassadors say they garner a different type of currency:
resume fodder.
「その代わり、販促担当者たちは、
その通貨とは、履歴書の経歴である。」
※記事の中では、
として、最初に取り上げられている。日本同様、
アメリカでも大学生の就職先はなかなか見つけられない。
そこで、履歴書に無償で行った活動を書くことによって、
面接の際に有利に進めることができる。
大学生にとって一番訴求力がある。そして、7にあるように、
大学生の販促担当を社員として雇う企業もあり、販促活動が
そのまま就職に繋がる可能性さえある。また、
販促担当者の就職活動を支える企業もある。6のように、
大学と企業が提携して、販促活動を単位として認めることで、
就職を後押しすることもある。
2については、好きなことなら無報酬でも行うということ。
特に、普段からネットを使う大学生にとって、
好きなことであり、報酬が無くてもモチベーションが高まる。
さらに、4のように、
働く意欲はさらに高まる。
3については、以下の事例が紹介されている。
◯スタイリティクスの販促を担ったエイミー・
仕事を通じて調査スキルを磨けて、知らない人に話掛けることに
自信が持てたことを、そのメリットとして答えている。
◯スタイリティクスは、大学生の販促担当者を毎月集めて、
ファッション業界のリーダーの講演を聞ける機会を設けている。
◯スタイリティクスは、
単に履歴書の見た目が良くなるだけでなく、実際に仕事を行う上で
役立つスキルを身につけることもできるようになる。
5について、例えば「学内CEO」や「ソーシャルメディア部長」
肩書きを付けることで、
これにより、販促担当の大学生は、
企業にとってのメリットは、それほど複雑ではない。
財務力の乏しいスタートアップ企業にとって、
無料で大学生を販促担当として雇えることが、
そして、それに劣らずに大きいのが、口コミ効果である。
多くのインターネットサービスでは、成否が、
いかに早く会員数を増やせるかどうかに掛かっている。
ただ、スタートアップ企業の場合、会員獲得に大きな広告費を
掛けることはできない。そこで、口コミを活用することになる。
口コミに関して言えば、大学生は大きな力を持つ。大学生は、
自分がしたことや見たこと、聞いたこと、
実生活やネット上で友人と共有する。さらに、多くの大学生は
ネットサービスを好むので、IT系のスタートアップ企業は、
大学生の口コミを活用しない手はない。
これらをまとめると次のようになるだろう。
◯大学生のメリット→就職・仕事に役立つから、
好きな商品を格安で利用できるから、特別な存在になれるから
◯企業のメリット→無料で利用できるから、
より一般化すれば、
若者をターゲットするインターネットサービスを提供する企業は、
大学生を無償の販促担当として利用することが可能で、
となる。これは、若者をターゲットにする場合だけでなく、
若者以外の場合でも活用できる。その場合、ターゲットが
集まる場所やターゲットが属する団体に注目する。そして、
一方的に企業が与えるのではなく、
ターゲット層が参加できる形にする必要があるだろう。
Rent the Runway http://www.renttherunway.com/
Forsquare https://ja.foursquare.com/
Stylitics http://www.stylitics.com/
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《今回のヒントのまとめ》
1)IT系スタートアップ企業が無償で大学生を販促担当として
活用できるためには、大学生と企業双方にメリットが必要となる。
2)大学生のメリットは、その活動が就職や仕事に役立ち、
また販促対象の好きな商品を格安で利用できることである。
企業から特別な存在として扱われることも、その自尊心を
くすぐる効果がある。
3)企業のメリットは、無料で販促担当者を雇えることと、
口コミ効果が期待できることである。大学生は、
毎日の生活で起こったことを友人と共有することが多く、
口コミが起こりやすい。特に、大学生が好きな
インターネットサービスの場合は、口コミ効果はさらに高まる。
4)このように考えると、若者をターゲットとする
インターネットサービスを提供する企業は、
大学生を活用しない手はない。
5)また、若者以外をターゲットとする場合、
そのターゲットが集まる場所や属する団体に注目し、
ターゲット層が参加できる販促方法を取ると、
低コストで大きな口コミ効果を期待できる。
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7)おすすめ商品・サービス
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
2008年よりウォール・ストリート・ジャーナルを
読んだ経験を活かして、頻出の英単語を
日々紹介しています。
頻出の英単語を知っていれば、
見出しや第一パラグラフを読んだだけで、
記事の概要を理解できることができるので、
時間の短縮になるはず。
世界に広がる英語情報のインプットが増えれば、
より個性的なアウトプットにもつながります。
http://english.ryotarotakao.
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
http://wine.ryotarotakao.com/
編集後記
少子化のせいか、大学生市場はあまり
注目されていないと感じます。
新聞に登場するのも、就職関連の記事ぐらい。
もしかしたら、多様化が進んで、
大学生を一括りにできないのかもしれませんが。
大学生の購買力は乏しいですが、
その行動力やデータは魅力的です。
高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/
高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!