【572号】米家電量販店ベストバイ、そのショールーミング対策とは?

By calaggie

◎本日のニュース

1)見出し
Best Buy to Boost Training, Services
【出典】
http://goo.gl/ipnzc

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2)要約
家電量販店のベストバイが、

株主総会で業績のV字回復の計画を発表した。
その内容は、ショールーミング対策と新たな収益源の獲得である。ネット通販で購入する前に店舗で商品を確認するという
ショールーミング対策として、店舗販売員による顧客サービスの強化を
目指す。

薄型テレビのような革新的な新製品がないことへの対策として、
法人サービスを強化する。そのために、技術サービス企業の買収・
提携を進める。

ベストバイは、部下との不適切な関係により3月に前CEOが辞任、
またこの責任をとって、創業者で筆頭株主のリチャード・シュルツ氏が
取締役を辞任するなど、内部の混乱が続いている。
さらに、シュルツ氏は、約20%の持株の売却を模索している。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Best Buy Co. executives sought to assure investors
at its annual meeting that it has a turnaround plan,
telling shareholders Thursday it will provide better training
for workers and expand technology services to businesses.

4)キーとなる英文の和訳
ベストバイ社の幹部は、木曜日の年次総会で、
業績改善計画を伝えて投資家を安心させようと努めた。
具体的な計画は、従業員教育を改善し、
法人への技術サービスを拡大することである。

5)気になる単語・表現
seek to他動詞句~しようと努める(soughtは過去形)
assure他動詞(自信を持って)~に保証する:確かに~と言う;
~に確信させる
turnaround名詞方向転換、(状況などの)逆転

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
ベストバイ社(Best Buy Co.)は、女性問題によるCEOの辞任・
創業者の取締役辞任・創業者による持株売却など内部問題に揺れるが、
業績も芳しくない。2013年第一四半期(2012年3月~5月)の業績を
前年同期と比較すると、

売上金額 2%増加
既存店売上金額 5.3%減少
粗利益率 0.7ポイント減少(25.7%→25%)
営業利益 43%減少
営業利益率 1.7ポイント減少(4.0%→2.3%)

になる。芳しくないではなく、業績が大きく悪化しているという
表現の方が適切かもしれない。利益率が大きく下落しているので、
値引き販売が常態化していると言えるだろう。価格競争の原因は、
ネット通販との競争激化による店舗のショールーム化であろう。
また、既存店売上金額が下落していることからは、
昔の薄型テレビのような売れ筋商品がないことがわかる。

これらの問題に対する解決策を、業績回復計画として株主総会で発表した。
具体的には、以下の通りである。

【ベストバイに抱える問題→解決策】
1.店舗のショールーム化
→顧客サービスの強化のための従業員教育予算の増額
2.売れ筋商品の不在
→法人への技術サービス拡大のための技術サービス企業との提携・買収

これらの解決策の共通点は、

サービス強化。

モノの販売だけで考えれば、店舗という固定費がかからない分、
ネット通販企業に価格面で敵わないだろう。
店舗以外の仕入れ規模・品揃えなどが同じであるならば、
一時的な価格競争が起こっても、最終的にはアマゾンドットコムの
ようなネット通販企業が、ベストバイのような実店舗を持つ企業よりも
低価格で販売することができる。

そこでベストバイは、顧客サービスを強化することにより、
モノ+サービスを売ることにした。これは、実店舗を持つ強みを
活かしたことになる。実店舗があることにより、
商品の購入前・購入後に消費者が抱える問題を解決することができる。
例えば、消費者がその商品を必要とする本当の目的に沿う別の商品を
提案したり、購入後に使い方を教えたり、故障に迅速に対応したりなど。
特に、迅速・丁寧な対応は、ネット通販との大きな差別化になる。
迅速・丁寧さを強化するために、販売員教育に大金を投じるのだろう。

顧客サービスの対象を個人だけでなく法人に広げれば、
新たな収益源になる。記事では詳しく説明されていなかったが、
法人に対する技術サービスとはアフターサービスであろう。
経済合理性によって投資を行う法人の場合、個人よりも投資の
費用対効果を重要視する。そこで、単なるモノの販売に
アフターサービスを付加することにより、

モノの販売による費用対効果<モノ+アフターサービスによる費用対効果

が成り立てば、企業はアフターサービス付きの商品を購入するだろう。

小型店の方がきめ細かな顧客サービスを行いやすいことを考えると
大型店を閉鎖する一方で、小型店の出店を増やすという方針も、
サービス強化に合致する。

Best Buy http://www.bestbuy.com/
ベストバイの四半期決算概要 http://goo.gl/5OX8X

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《今回のヒントのまとめ》
1)業績悪化・内部混乱に悩むベストバイは、業績改善計画として、
店舗のショールーミング対策と収益拡大策を発表した。

2)ショールーミング対策としては、顧客サービスを強化するために、
販売員教育予算を増額する。

3)収益拡大策としては、法人への技術サービスを拡大するために、
技術サービス企業との提携・買収を進める。

4)これら対策の共通点は、実店舗を持つ強みを活かした
サービス強化である。

5)モノだけでなくサービスも販売することにより、
ネット通販企業との価格競争を避けるとともに、
企業による設備投資の費用対効果を高める。
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先日、神戸のとあるスーパーに行ったところ、こちらの商品が激安価格で販売されていました。

販売価格はなんと98円。(確か黒いのも98円だったような)

PBならありえる価格ですが、NBで見たのは初めて。

そういえば、最近こちらのメーカーの商品が安売りされているのをよく見ます。

相当売上が落ちているのかもしれません。

編集後記
ショールーミング問題は、日本でも最近取り上げられる
ようになってきましたが、まだ大きな問題として捉えられていません。
アメリカほどネット通販が普及していないことが、
その要因かもしれません。
ただ、スマホの普及が進むと、スマホを使って通販サイトから
購入する人が増えることでしょう。
薄型テレビ需要が激減する中、スマホの販売に力を入れる家電量販店にとって、
スマホの普及によって店舗売上が減るということは、とても皮肉です。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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