日本マクドナルドは米スターバックスを目指すのか？

日本マクドナルドの業績が悪化しているようです。

日本マクドナルドホールディングスが２日発表した2012年１～６月期連結決算は、経常利益が前年同期比15％減の122億円だった。直営店からオーナーに売却してフランチャイズチェーン化した店舗が少なかったほか、コーヒーの値下げなど価格が手ごろなメニューを増やしたことで既存店の客単価が落ちた。（2012年8月2日日本経済新聞電子版より）

問題は経常利益よりも、既存店売上高。実店舗で商売を行う企業の場合、その業績の良し悪しを判断するのは、既存店の実績です。マクドナルドの既存店売上金額は、その業績悪化の大きな要因のようです。

日本マクドナルドホールディングス（ＨＤ）が３日発表した７月の既存店売上高は前年同月比4.1％減だった。前年割れは４カ月連続。100円のバーガー類やコーヒーなどの販売が好調で客単価が同5.6％減ったことや、土曜日が前年に比べて少なかったことが響いた。（2012年8月3日日本経済新聞電子版より）

上記ニュースは、7月実績しか伝えていませんが、既存店売上高は4ヶ月連続で前年割れ。マクドナルドは大きな曲がり角に来ているようです。では、この業績悪化をどのように立て直すのでしょうか？そのヒントは、スターバックスにあるのではないでしょうか。

ただし、スターバックスの商材であるコーヒーに力を入れるというのではありません。それも一つの方法ですが、マクドナルドの強みを活かすという点では、もっといい方法があると思います。それは、

マクドナルドブランドの製品を他小売店に卸す

ということです。これを積極的に行なっているのが、スターバックス。スターバックスは、自社ブランドの飲食店でコーヒーやコーヒー豆・その他コーヒー関連商品を販売しているだけではありません。スターバックスブランドのコーヒー製品を、スーパーなどに卸しています。例えば、インスタントコーヒーのVIA（ヴィア）。この製品は、当初スターバックス店舗で販売されましたが、売れ行き好調のために、スターバックス店舗外へも販売されるようになりました。日本では、AGFを通じて、スーパーやコンビニで販売されています。

マクドナルドが、このスターバックス方式を採るメリットは、

店舗開発などの大きな投資をせずに、売上げを増殖できる

という点です。店舗を拡大することは、大きな投資が伴います。マクドナルドは、これを避けるために、直営店からフランチャイズ店への転換をすでに行なっています。この方針の先に、自社ブランド製品の外販があったとしても、不思議ではありません。さらに、卸すことにより、マクドナルド店舗の営業時間外での販売も可能になります。店舗販売の場合、売上げを大きく伸ばすのは、営業時間を伸ばすなどその限界費用（例えば人件費など）は大きくなります。一方、卸の場合は、販売先を開拓するだけで、その限界費用は比較的小さいでしょう。その結果、販売先を増やしさえできれば、売上げは飛躍的に増える（＝増殖）することになります。

例えば、

マクドナルドブランドのバンズ（ハンバーガーのパンの部分）・パティ（ハンバーグの部分）の販売

などが考えられます。さらに、スターバックスがシアトルズベストブランドの自販機を開発したように、

マクドナルドブランドのコーヒー抽出機をコンビニに設置する

ことも、十分考えれます。マクドナルド社長の原田さんは、競合店をコンビニに設定していますが、コンビニの競争力を自社に取り組むというしたたかな方法を採ることも、ありえるでしょう。

さらに、

外販したマクドナルド製品を通じて、店舗へ誘導する

という方法もありえます。パッケージにクーポンを付ければいいだけです。

消費者の節約志向が強まれば、マクドナルドが望むような高額商品がなかなか売れなくなるでしょう。そもそも、外食を控える人も増えることだと思います。ならば、店舗に来店しない・できない人への販売方法として、マクドナルドブランド製品の外販を考えてもおかしくありません。あくまで私見ですが。

☆今日のまとめ☆

既存店売上高の前年割れに苦しむ、日本マクドナルド。

その打開策として、米スターバックスのように、自社ブランド製品の開発・卸を行なっても不思議ではない。