日本酒イベントで楽しむ若者を観察してみてわかった、デフレの現実
本日は、神戸・魚崎郷の浜福鶴吟醸工房で行われた初しぼり会に行きました。このイベントを知ったのは、DMから。以前にこちらの直売所で商品を送ってもらったことがあり、その時からDMが送られるようになりました。DMが来なかったら知らなかったことになります。DMは、まだまだ侮れない告知手法ということですね。
イベントのメインは、無料で振舞われる搾りたての新酒と甘酒。16時までのイベントなのですが、着いたのが15時半を過ぎていたので、すでに甘酒は終了していました。新酒を頂いたのですが、かなり飲みやすい。これを飲んで、直売所で買って帰った人も多くいるかと思います。実際、行く途中に出会う人の多くが、浜福鶴の紙袋を持っていたので、何かしら商品を購入した人が多いのは、間違いありません。
比較的(白鶴や菊正宗と比べて)小さな酒蔵なのですが、その規模の割にかなり盛り上がっていました。そこで一番目についたのが、若者の集団。大学生らしき男女10人ほどのグループでした。このグループの雰囲気が、かなり特徴的でした。というのも、
飲み会
になっていたからです。このイベントでは、焼そばやおでんなど、酒の肴になる料理も多数販売されていました。そして、無料試飲だけでなく、浜福鶴自慢の日本酒も、カップ1杯から飲むことができます。(有料)そのカップの日本酒を買って飲んでいる人も沢山いたのですが、その若者グループは日本酒を瓶で購入。肴には、飲食ブースの商品だけでなく、直売所で販売されている乾き物や瓶詰めなども登場していました。団体を一つとして考えた時の客単価(団体単価?)は、イベントの中でかなり上位を行っていたと思います。試算すると、
日本酒(720ml)1本 1500円
飲食ブースの料理 2品 500円
直売所の食品 2品 1000円
合計 3000円
ぐらいでしょうか。グループの人数を7人とすると、一人430円ほど。500円でお釣りが来ると考えれば、かなり割安で楽しめたことになります。
もし、この団体が居酒屋に行ったとすると、お通しだけで300円は取られ、アルコールは安くても300円はするので、酒1杯飲んだだけで600円は掛かることになります。このイベントでの費用がいかに低いかが、わかるかと思います。費用だけを考えれば、居酒屋はかなり割高なのです。さほど美味しい料理などのメリットがなければ、居酒屋ではなくイベントでの飲食を選んでも、不思議ではありません。さらに、イベントを通じて、日本酒の美味しさを知ったならば、今後わざわざ居酒屋に行くのではなく、家で日本酒パーティーをするかもしれません。イベントが、外食から中食・内食に導いていると考えることができます。
その後、私は魚崎郷から阪神御影駅に移動しました。偶然、そこでこのグループを発見。そこで、イベントで酒を飲んだ後、どのような遊び方(お金の使い方)をするのか気になったので、後を付いて行くと、その先には居酒屋らしきお店(ライオン堂)がありました。しかも、かなり行列ができているお店。まだ開店前なのですが、行列を見る限り、かなりの人気店の様子。後でその居酒屋の前を通ってみると、行列の理由がすぐにわかりました。それは、
18時までに来店すれば、かなり割安なセットを注文できるから
に違いないと思います。さらに、そのお店は立ち飲みスタイルなので、通常の料金もかなり割安なのです。生ビールが380円でした。ネットで検索してみると、そのお店に行列ができる本当の意味がわかりました。それは、
なのです。あの若者は、低単価に釣られて、わざわざ魚崎郷から阪神御影駅に移動したのかと、思います。
この若者グループの消費行動からわかることは、
支払い金額をかなり意識している
ということ。割安でも、一人あたりの支払い金額が高ければ、敬遠するのではないでしょうか。その点から考えると、お通し料金が必ず取られる居酒屋は、若者のニーズからかけ離れていると言えます。また、支払い金額をかなり意識しているということは、デフレ時代の特徴でしょうか。つまり、商品の値段が下がっても、それと同じくして収入も減るので、割安さでは動かずに、懐から出て行く金額を考えるようになるのです。若者をターゲットにするには、よほどニーズを捉えた商品を提供しない限り、客単価は期待できないことになります。
☆ 今日のまとめ☆
浜福鶴のイベントでは一人500円弱で楽しみ、その後、単価の低いメニューがある立ち飲み居酒屋に行く若者グループ。
この消費行動からわかることは、支払金額をかなり意識しているということ。
若者をターゲットにするには、割安さだけではなく、単価を抑える努力が必要になるだろう。
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☆ 今日のこぼれ話☆
食べログでライオン堂を見ると、その安さとともに評価の高さがわかります。
安さだけでなく、店員さんのサービスもそれなりにいいみたいです。
さらに、混みあった店内の活気のある雰囲気も、お客さんにまた来たいと思わせるのでしょうね。
☆サムシンググッド創業者 坂本桂一さんの言葉☆
「ビジネスの世界では、ニの努力がもたらすのは五の成果だ。言葉を換えると、成果が飛躍的に伸びる臨界点は、一とニの間にあるのである。」
(『頭の良い人が儲からない理由』より)
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