カカクコムのワインアプリ・Vinicaの可能性と課題とは?

 

カカクコムのVinica

 

 

2/20の日経新聞の朝刊に、ワインに関する新サービスの記事が取り上げられていました。

 

カカクコムは20日から、お気に入りのワインの写真や情報を管理したり、友人などと共有したりできる スマートフォン(スマホ)向けアプリを無料で配信する。ワインのラベルを撮影し、評価やコメントなどを記録できるほか、SNS(交流サイト)と連動し、お 薦めのワインを紹介することもできる。酒類メーカーや輸入業者など業界の関連企業と連携し、消費拡大に向けた販売促進に役立てる。(2013年2月20日付 日経新聞朝刊)

 

正直、先にやられたなぁ、というのが実感です。ワインに関するサービスは、自分なりにいろいろ考えてきました。というのも、ワインという商材は、興味があるけど購入できないという問題を抱えているからです。その要因は、知識と好みによると考えています。ワインは、白か赤、ロゼ、泡なら誰でもわかりますが、それ以上の違いは知識がないとわかりません。さらに、店員が美味しいワインが自分にとって美味しいとは限らない、という問題もあります。この難しさが、ワインの購入に踏み切れない原因だと私は考えています。よって、何らかの方法で、知識と好みがわかりやすくすれば、まだまだ売上は伸びる可能性は高いでしょう。ここに商機があると、私は見ています。

 

恐らく、カカクコムも私と同じようなことからワインサービスに参入しているんだと思います。ちなみに、カカクコムはこれまでもワインサービスを行って来ました。それは、カカクコムのメインサービス・価格.comのワイン部門。私は使用したことがありませんが、家電部門と同様、各銘柄に関する口コミの提供を行なっています。ただし、口コミが多数集まり、賑わいがあるとは言い難いというのが現状です。

 

【価格.comワイン部門の現状】

レビュー数

2013年1月~2月19日 2件

2012年1月~12月 5件

口コミ数

2013年1月~2月19日 1件

2012年1月~12月 7件

※     口コミ数は各口コミに対する反応も計上

 

正直ここまで少ないとは思いませんでした。年間でコメントが10件程度となると、口コミサイトとしての機能はほぼ発揮していないと言っても、過言ではありません。だからこそ、新たなワインサービスを開始したとも捉えることができます。

 

新サービスは、スマホアプリ・Vinica。スマホを通じて利用されるサービスです。価格.comワイン部門の失敗を活かした新サービスです。その特徴をまとめると、以下のようになります。

 

【カカクコムのワインアプリVinicaの特徴】

[1]      スマホを使って飲んだらすぐに記録・投稿できる

[2]      画像を撮って簡単に記録できる

[3]      記録項目を選択形式にすることで口コミのハードルを下げられる

 

1について、スマホを活用したのは当然とは言え、これで価格.comワイン部門が抱える「面倒くささ」を解消してくれます。スマホアプリを使うので、飲んだらすぐに記録・投稿が可能。その結果、リアルタイム性・面白さが増します。

 

2について、このアプリの説明文を見ると、「カメラアプリ」と表現されています。ワインアプリというと少し敷居が高いように思えますが、「カメラアプリ」ならより身近に感じます。一方、価格.comワイン部門は、あくまでワインの口コミサービス。ワインというのが、敷居の高さを想像させてしまいます。その点、画像をメインコンテンツにすることで、簡単さ・敷居の低さをアピールすることができます。

 

3について、自分飲んだワインを記録する際に、ワインの特徴や感想を選択できるようにしたとのこと。感想を自由に書くよりは、口コミを行うハードルは一気に下がります。何せ、カカクコムが設定した表現・言葉を選ぶだけですから。もちろん、メモを記入することもできるので、選択形式では表現できない口コミも投稿することができます。

 

このように、Vinicaには、価格.comワイン部門が失敗した経験を活かした工夫がなされています。一言で言うと、

 

利便性・簡便性を高める

 

という点です。特に、カメラを全面に出したことで、ワインに通じた人だけではなくワイン初心者も、ユーザーとして獲得できるのではないでしょうか。

 

しかしながら、Vinicaにも失敗するリスクがないわけではありません。私が考える、Vinicaの課題は以下の通りです。

 

【Vinicaの問題点】

[1]      利用動機が薄い点

[2]      まだまだ面倒な点

 

1について、口コミサイトを利用する大きな動機が、購入を考えている商品が本当にいいものかどうかを知りたいというものです。となると、ワインの口コミサイトを利用する際も、目の前にある銘柄に関して調べるわけです。ただ、家電製品とは異なり、ワインの銘柄は膨大です。同じ銘柄でもヴィンテージの違いがあります。その結果、口コミサイトで目当ての銘柄を調べても、その情報が無いということが起こりえます。さらに、口コミサイトで気になる商品を見つけても、近くのお店で売っていないということも十分ありえます。通販サイトで買えばいいのですが、わざわざ一本のために送料を掛けたくない人は多いはず。よって、飲みたいけど買えないということが起こるのです。口コミが知りたくてVinicaをダウンロードしたものの、気になる銘柄の情報がなければ、Vinicaの利用を止めるのではないでしょうか。

 

2について、ワインの銘柄は入力するのが結構面倒です。これは、私自身ワインカルテというサイトで、飲んだワインを記録していることから実感することです。しかし、銘柄を入力しないと、口コミサイトとしての機能は発揮しません。銘柄名で検索して、口コミを調べるからです。この銘柄入力を面倒に思う人が、結構いるのではないでしょうか。Vinicaをダウンロードした直後は、面白がって使うものの、銘柄入力が面倒で利用を止めてしまうかもしれません。記録は続けるからこそ意味があるからです。App Storeの説明を見ると、選択形式の項目も結構多いように感じます。この入力も面倒に感じる人がいるかもしれません。

 

この2点の課題は、これまでのワイン口コミサイトの多く直面したもの。カカクコムのVinicaもこの課題を克服しない限り、価格.comワイン部門の二の舞になり兼ねません。

 

☆     今日のまとめ☆

カカクコムのVinicaは、価格.comワイン部門の失敗を活かして、利便性・簡便性を高めた特徴を持っている。

特に、カメラアプリとした点は、ワインの敷居の高さを克服してくれるだろう。

しかし、利用動機の薄さと入力の面倒さという課題は、他のワイン口コミサイト同様直面するだろう。

 

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☆     今日のこぼれ話☆

Vinicaは早速ダウンロードして使ってみたいと思います。

ただ、私のiPhone(WiFi利用)は3Gなんですよ。

使えるかどうは不明ですね。

 

☆経営コンサルタント 石原明さんの言葉☆

「牧師さんいわく、「神様は本来、人間に無限の能力を与えているんですよ。だからもっと要求しなくちゃ申し訳ないでしょう」だそうです。でもそうしたら、その翌々日に大金持ちの人から牛肉が届いて、それ以来、その牧師さんは食べ物に困ることは一度もなかった。感謝して、さらに要求する。」

『気絶するほど儲かる絶対法則 売れるしかけと勝てるしくみの作り方』より)

※ポッドキャストでいつもお世話になっています。この番組は本当に勉強になります。

※創業者・経営者・コンサルタントの心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。

 

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