百貨店売上、2月の驚きと3月の見どころとは?
By shok
先日、日本百貨店協会から、2月の百貨店売上が公表されました。各マスコミでも取り上げられた通り、高級品の売上が好調に推移したことで、2ヶ月連続のプラスになったとのことです。
日本百貨店協会が発表した2月の全国百貨店売上高は0・3%増と2カ月連続で前年実績を上回った。東日本大震災の反動増があった昨年3、4月を除くと2カ月連続プラスは6年ぶりだ。その原動力は高額品で、高級ブランドを含む「身のまわり品」は8・6%増。「美術・宝飾・貴金属」も8・6%増と高い伸びを示した。(2013年3月20日付 日経新聞朝刊)
ただし、その内訳を見ると、すべてがバンザイできる数字ではありません。特に、デパ地下の惣菜は、期待が裏切られたと言っても過言ではないかと思います。恐らく、百貨店関係者は、アベノミクス効果で惣菜の売上も上向くと期待していたのではないでしょうか。しかし、それは期待外れに終わりました。
しかも、惣菜の2月実績は、2月単月の良し悪しを評価するだけでなく、今後の売上動向を占う上でもかなり重要だったのではないかと、推測しています。というのも、惣菜の売上トレンドが、大きく転換しそうだからです。百貨店の惣菜売上の前年同月比トレンドは、以下の通りです。
【百貨店の惣菜売上トレンド】
【2012年】
1月 プラス
2月 プラス
3月 プラス
4月 プラス
5月 マイナス(13ヶ月ぶり)
6月 プラス
7月 プラス
8月 プラス
9月 マイナス
10月 マイナス
11月 プラス
12月 マイナス
1月 プラス
2月 マイナス
2012年5月、13ヶ月ぶりにマイナスに転じました。しかし、次の3ヶ月は全てプラスだったので、5月の数字は一時的なものと考えられたものと思われます。しかし、9月・10月と連続のマイナスに。2ヶ月連続のマイナスは、大変珍しいことです。さらに、その後は一進一退を繰り返しています。2月がプラスならば、惣菜の売上マイナストレンドが転換する可能性がありました。しかし、2月もマイナスで、一進一退の状態が続いています。3月がもしマイナスならば、昨年5月から惣菜売上がマイナストレンドになったと言えるのではないでしょうか。そういう意味で、3月の惣菜売上は注目です。
株高が始まったのは昨年12月。そして、その資産効果が消費に影響したのは1月。ならば、2月の百貨店惣菜売上も、プラスに転じていいはずです。もちろん、人口減少の影響もあるでしょう。しかし、百貨店の惣菜は、比較的所得に余裕のある人が購入するものなので、総人口の減少よりも中間所得層以上の所得動向の影響の方が大きいはずです。ならば、株高による資産効果の影響が表れてもいいはず。2月にその影響が見られなかったということは、アベノミクスにより景気が回復しても、デパ地下の惣菜にはさほどプラスにはならないということではないでしょうか。
以前に、ロック・フィールドと柿安の月次実績を取り上げ、アベノミクスのデパ地下への影響について、書きました。今回の日本百貨店協会のデータを見ると、その予測はさらに強まりました。
☆ 今日のまとめ☆
2月の百貨店売上は、高級品の売上好調により、2ヶ月連続で売上はプラスになった。
しかし、惣菜に目を向けると、2ヶ月ぶりのマイナスに。
2012年からのデータを見ると、昨年5月に惣菜売上がマイナストレンドに転じた可能性がある。
3月がマイナスになれば、マイナストレンドは確実なものになるだろう。
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☆ 今日のこぼれ話☆
先週末も梅田界隈のデパ地下を視察したのですが、思った以上に人が少なかったのが印象的です。
アベノミクスで景気がいいのに、なぜ?
上の階はそれなりに賑わっていたのかもしれないですが、デパ地下はアベノミクスとは違う世界なのかもしれませんね。
☆経営コンサルタント 石原明さんの言葉☆
「年間に一定以上の仕事をこなすと、プロになれる。プロ化ができたら、もう一段階マーケティングのレベルを上げていきます。それは、他社が参入できない値段にして、市場を独占してしまうということです。」
(『気絶するほど儲かる絶対法則 売れるしかけと勝てるしくみの作り方』より)
※ポッドキャストでいつもお世話になっています。この番組は本当に勉強になります。
※創業者・経営者・コンサルタントの心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。