雑貨屋がホームセンターに駆逐される日
先日、神戸・深江にあるカインズに久しぶりに行きました。カインズとは、関東に本社があるホームセンターチェーン。関西のホームセンターと言えば、コーナンが一番有名ですが、カインズに一度でも行けば、よっぽど近くにコーナンが無い限り、コーナンに行こうという動機が無くなります。それは、
店内が見やすく
お洒落で
しかも安い
から。コーナンの庶民っぽいのを良さと捉えれば、カインズにはその良さがないですが、ホームセンターに安さを求めているなら、カインズを選択する人の方が多いのではないでしょうか。デザイン性の高さとは裏腹に、それほど安いのです。
今回半年ほどぶり(?)に行ったので、洗剤などの日用品から食品、ガーデニング商品までじっくり店内を視察しました。そこで、ふと目に入り、なかなか離れないものを発見しました。それは、ランチョンマット。
ホームセンターにあるような、4枚組のオーソドックスなデザインのランチョンマットではありません。1枚単位で販売されており、デザイン性もかなり高い。フランフランで販売されていても、不思議ではないほど。しかも、ぐるっと丸めて陳列されてあるので、売場自体もお洒落なのです。フリッカー(Flickr)で調べてみましたが、このランチョンマットと同じようなデザインのものがありません。少し光り輝いているので、フランフランっぽいという表現がぴったりな、ランチョンマットなのです。そして、このランチョンマットは、カインズのPBなのです。
恐らくカインズは、フランフランなどの雑貨店の売れ筋商品を調査して、このランチョンマットを企画・製造したのだと思います。比較的デザイン性の高いPBを展開するカインズにとっても、このランチョンマットならPBで展開しても不自然ではありません。そして、このデザイン性の高いランチョンマットの価格は、180円。フランフランならば、300~400円ぐらいはするでしょうか。だから、雑貨店の約半額で販売していることになります。
フランフランのような雑貨店は、デザイン性の高い雑貨がウリの小売店です。従来は、
雑貨店→おしゃれ
ホームセンター・GMS→ダサい
という認識があり、おしゃれな雑貨が欲しければ、雑貨専門店で買ったものです。特に、デザインにお金を掛ける若い消費者は、その傾向が強かったのだと思います。しかし、今回取り上げたカインズのPBランチョンマットのように、ホームセンターでもデザイン性の高い雑貨を買えることがわかれば、それほど思い入れのない雑貨ならば、ホームセンターで買う方がお得です。なんせ半額なのですから、同じデザインならばコスパは二倍に跳ね上がります。おしゃれな雑貨をおしゃれに陳列したら売れる雑貨店の勝利の方程式は、もう成り立たないのではないでしょうか。雑貨店の本当の競合は、同業ではなくホームセンターのように思えてなりません。ホームセンターのPB商品のデザイン性が向上すれば、雑貨店というビジネスが駆逐されても、不思議ではないのです。
今回改めて実感したのは、モノの販売に成功しても、いずれは大手チェーンに真似されるということ。そして、大手チェーンの高い価格競争力により、上手く行ったはずのモノの販売がいずれ壁にぶち当たるということ。中小企業にとって、単にモノを販売するだけでは、未来は開けないことがわかりました。
☆今日のまとめ☆
カインズのデザイン性の高いPBランチョンマットを見れば、雑貨店の本当の競合はホームセンターであることがわかる。
モノの販売に成功しても、大手チェーンに真似されることは時間の問題。
中小企業にとっては、モノの販売以外の何かが必要。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
ランチョンマットの英訳は、a place mat。
今回初めて知りました。
カシオの電子辞書エクスワードは、本当に役だっています。
買ってよかった。