つかしん型SCの盲点
Photo:Demachi Masugata Shotengai By michaelvito
前回は雑多な小売店を集積したつかしんが、商店街の未来像になりうると述べました。ただ、雑多だからこそ、盲点も存在します。それは、同業種間での競争激化の懸念です。
例えば、つかしんの場合、カフェだけでもスタバ・タリーズ・HIRO・コメダ珈琲・地元喫茶店があります。これらは、コーヒーと飲む空間を提供するという意味で、競合します。競争によって苦戦する店舗が出てくるのは、仕方ないこと。そして、苦戦する店舗は、売上増のために、別の店舗で成功したメニューやサービスを真似したくなるものです。その結果起こるのが、価格競争です。その結果、撤退を余儀なくされる店舗が出てくるかもしれません。
SCで撤退する店舗が増えれば、SCの優位性は大きく毀損されます。SCはそもそも、小売業・サービス業が集積し、ワンストップで利用できる点が、その強み。店舗の埋まらない空間が増えれば、その強みが大きく損なわれます。同業種間の競争が激化することで、空店舗が増える恐れがあるのです。
ネットで有名になったピエリ守山は、SC自体の集客力の低下により、撤退するテナントが増加し、その結果SCの優位性が損なわれ、更なるテナントの撤退が増えたために、廃墟のような空間に落ちぶれました。今は人気のつかしんですが、同業種間の競争激化で、撤退するテナントが増えれば、ピエリ守山のようになりかねないのです。
こういう事態を防げるかどうかは、SC運営者の力によるもの。単にテナントを集めて終わりでは、複数の同業種が集まるSCは優勝劣敗が鮮明になり、撤退テナントが出てくる可能性は高いのです。しかし、SC運営者が、各店舗の優位性・強みを把握し、その表現方法・販促方法を支援できれば、複数の同業店舗がある場合でも、共存できます。コンサル的な能力が、SC運営者に求められると言えます。
つかしんを真似て雑多な店舗を集めた商店街は、賑わいを取り戻す可能性がある反面、撤退店舗の増加により失敗する恐れもあるのです。失敗確率を下げるためには、SC運営者のような、テナント経営者の集まりとは別の支援組織が必要になるでしょう。
☆今日のまとめ☆
複数の同業店舗が存在するつかしんのようなSCの場合、ややもすれば、同業種間の競争激化により、撤退店舗が増加し、SCの魅力が低下する恐れがある。
これを回避するには、単にテナントを集めるだけではなく、各店舗の優位性・強みを理解して支援するSC運営者の存在が必要になる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
4月からwifi通信をBicSimに変えたのですが、結構快適です。
テキスト中心のネット閲覧をパソコンで行うとしても、低速版で十分です。
月1000円でwifiサービスが使えるとは、本当に便利になったものですね。