カンロのハロウィーンバージョン

 

日経新聞の四半期決算シーズンには、決算欄に「決算トーク」という社長やIR責任者の声が掲載されます。その中に、あめ菓子市場のトップメーカー・カンロの声が取り上げられていました。

 

「キャンディー市場はまさに戦争のような状態」と厳しい表情なのは、カンロの武井実副社長。スーパーやコンビニエンスストアの売り場はグミやガムも含めて競合商品がひしめく激戦地。こうした中、利益率の良いのどあめやグミの苦戦で14年12月期は3億5000万円の赤字と、上場来初の営業赤字になる見通しだ。(20014年8月8日付 日経新聞朝刊)

 

普段あまり飴を購入しないのであまりよく知りませんでしたが、調べてみるとカンロは、あめ菓子市場のトップメーカー。恐らくシェアトップだと思います。そのリーディング企業が営業赤字なのだから、それだけあめ菓子市場の競争環境は大変厳しいのです。

 

改めて決算短信(PDF)を見ると、営業赤字に陥ったのは、売上原価と販管費の上昇です。売上原価のほとんどは、原材料費と製造人件費が占めるのですが、原材料コストの上昇が大きく響いたようです。規模の経済が働きやすいトップ企業でさえ原材料コストの上昇に悩まされているのですから、競合はさらに厳しい環境であることが予想されます。

 

販管費の上昇をさらに掘り下げると、

 

研究開発費の増加

広告費の増額

物流コストの増加

販売促進費(リベートなど)の増額

 

が影響が大きかったようです。物流コストや販売促進費は販売のための必須コストなので、削減余地はほとんどありません。(利益率重視ならば、販促費を削減することはできますが)一方で、研究開発費や広告費は企業が自発的に支出する項目なので、削減可能。それでも、カンロが増やしたのは、将来への投資につながるからです。消費者ニーズに合致する新商品を開発し、それをターゲット層に知ってもらうことで、将来の収益拡大を図るという方針のようです。コストが上昇する一方で、投資も増やしたのだから、営業赤字に転落するのは至極当然とも言えます。

 

では、この投資は実を結ぶのかというと、正直疑問です。というのも、消費者ニーズが販路によって違うと考えるからです。

 

具体的に言えば、スーパー・コンビニなど量販店で消費者が期待するのは、価格と価値とのバランスであり、コスパです。どちらかと言えば、まだまだ価格重視でしょうか。だから、なかなか客単価が上昇しない販路なのです。ちなみに好業績のスーパーやコンビニの共通点は、総菜など品質の違いがわかりやすい商品カテゴリーで高単価・高品質商品が売れているからです。決して、加工食品や菓子の客単価が向上しているからではありません。

 

一方で消費者の“価値組消費”は確実に存在しています。あめ菓子でも起こっており、それは百貨店で売れている飴や地方物産を見れば、よくわかります。つまり、飴の価値組消費は、スーパー・コンビニでは起こっていないのです。

 

だから、カンロが縮小するあめ菓子市場で売上を伸ばすには、単価を引き上げなければならず、そのためにはスーパー・コンビニなど量販店以外の販路を開拓しなければならないのです。それは、百貨店であり、カルディなどの輸入食料品店など。もしかしたら、都心の洒落たカフェでも売れるかもしれません。その場合大切なのは、高付加価値なのはもちろん、見た目の可愛さ・おしゃれさなのです。従来型の袋型やスティック型では、単価を引き上げることはできないのではないでしょうか。

 

カンロの株主通信(PDF)を見ると、新市場の開拓も重要項目として上げられています。ただし、その新市場とはネット通販や直営店・海外であり、先述したような国内の新型販路についての言及はありません。比較的単価の低い商材なので、ネット通販での売上は限定的であり、直営店は更なるコスト上昇をもたらします。海外市場は、日本産としてある程度売れるかもしれませんが、結局は韓国・アセアン産との価格競争に将来直面することになります。海外生産や海外ブランドの買収をするならまだしも、輸出に頼るならこれでは国内市場と同じ。

 

大企業だから、ある程度の販売数量を確保する必要があることも十分承知しています。だからこそ、トップ企業のカンロには新販路を開拓する余裕があるのではないでしょうか。思い切って、カフェ・カンパニーなど外食企業とのコラボ商品を作れば、販路も確保できますね。

 

☆今日のまとめ☆

カンロが営業減益に転落したのは、客単価の向上しにくい販路に依存しているからではないか。

市場縮小が避けられない以上、客単価を上げやすい市場を開拓するべきではないか。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

カンロの収益変遷を見ると、右肩下がりの状態です。

そして、今期は営業赤字予想。

営業利益率の下落に歯止めがかからない点が、その深刻さを物語っています。

本社は中野区新井。

昔近くに住んでいました。