morozoff pamphlet

 

日経新聞に、モロゾフの第三四半期決算が最終赤字であると報じられていました。

 

洋菓子大手のモロゾフが4日発表した2014年2~10月期の単独決算は、最終損益が2億4500万円の赤字(前年同期は1億8900万円の赤字)だった。円安で仕入れコストが上昇し、レストラン事業の出店・改装費用もかさんだ。(2014年12月5日付 日経新聞朝刊)

 

記事のタイトルだけを見ると、最終赤字なので苦戦しているようにも思えますが、前年同期の最終損益も赤字。ちなみに、営業赤字も今年・昨年とも赤字です。過去数年かの第三四半期決算の数字を見ると、大抵が営業赤字であり、本決算は黒字であることがわかります。モロゾフは、11~1月のクリスマス・年末年始に儲けを出すビジネスモデルなのです。

 

売上総利益率は改善しているものの、販管費率は悪化。よって、営業赤字が拡大しているのは、原価上昇よりも店舗人件費や家賃の高騰の影響が大きいようです。ただし、貸借対照表を見ると、商品及び製品が大きく増加。記事にもあるように、ゼリーなどの夏物商品が売れなかったために、相当在庫を抱えているのでしょう。その結果、原価は減少し、売上総利益は嵩上げされます。日経が報じるように、仕入れコストの上昇は、在庫増により損益計算書では隠れているのかもしれません。(この辺り、間違いがありましたら、ご指摘していただければ幸いです。)

 

決算短信の実績説明を見ると、減収減益(赤く拡大)の要因として、次のようなことが挙げられています。

 

【モロゾフの2014年度第三四半期決算が減収減益になった要因】

  • 中元売上が減少したから
  • 販促費が増えたから
  • 夏物商品の売上が減少したから
  • 生菓子の売上が減少したから
  • 新規出店・既存店改装の割に売上が伸びなかったから

 

1について、ここ数年の短信説明を読む限り、中元売上は横ばいないし減少しているように思えます。一方で、バレンタインデー・ホワイトデーなどのイベント商戦は好調。消費者は、中元のような建前色の強いギフトを減らす一方で、より身近な心のこもったギフトを増やしているのでしょう。アベノミクス効果が期待できたであろう2013年の中元商戦もさほど伸びていない様子なので、今後中元商戦に期待するのはとても難しいと思われます。

 

また、イベントギフトよりも中元ギフトの方が値は張ることから、中元購入が実店舗からネット通販にシフトしているとも考えられます。さらに、より希少なギフトを送ろうと、多店舗展開していない地方ブランドや産直ギフトを購入しているとも考えられます。全国の百貨店やSCに出店するモロゾフのような大企業は、この点不利になります。一方で、より単価の低いイベントギフトは、送料負担を嫌気して実店舗での購入が多いのかもしれません。モロゾフの説明を読む限り、今後イベントギフトを強化するようです。

 

2について、販促費とは、集客のためのチラシ・クーポン配布や値引きなど。実店舗に設置するPOPや、ネット広告もこれに含まれます。この背景には、スイーツの競争激化があります。メルティーキッス スノーピークなどの大手メーカーのデパ地下スイーツ参入も、競争激化の大きな要因です。消費者の側から見れば、より多くの選択肢の中から選べるようになったことであり、専門的な商品が欲しいならば、大手チェーンのモロゾフには不利に働きます。一方で、ついでに購入したいという利便性追求ならば、多店舗展開するモロゾフには有利です。

 

3について、これは今夏の天候不順の影響です。夏場にペットボトルの売上が大きな伊藤園もこの影響をモロに喰らいました。ただ、モロゾフの場合は、焼き菓子など通年商材もあるので、幾分影響は和らぎそうですが、「暑いから冷たいものを食べたい」という衝動買いが減ったことは、相当売上に響いているのでしょう。商品及び製品在庫が急増していることは、この売上減少が大きかったことを物語っています。

 

4について、アーモンドケーキのような半生菓子の売上が好調だったものの、チーズケーキのような生菓子は予定よりも売れなかったようです。これも競争激化が要因でしょうか。消費者がより長持ちする半生菓子や干菓子(チョコレートなど)を好んだのかもしれません。これも、一種の利便性追求でしょうか。また、モロゾフの場合、比較的単価の張る生菓子よりも、割安な干菓子が支持されたとも考えられます。ちなみに、よりどり3個1000円のチョコレートは人気です。

 

5について、店舗増減の情報は決算短信にまとめてないのですが、HPのトピックスを見ると、新店と改装を頻繁に行っていることがわかります。パッと見ただけですが、2013年度よりも今年度の方が、新店・改装は増えているように思えます。しかし、売上は減少しているということは、減価償却分だけ稼げていないことになります。これも、減益要因です。

 

これらモロゾフの第三四半期決算の考察から、消費者ニーズを読み解くと次のようになります。

 

【モロゾフ四半期決算からわかった消費者ニーズ】

  • 建前型ギフトよりもパーソナル・イベント型ギフトにシフト
  • ネット通販も含めた多くの販売店を使い分ける

 

 

特に、1については今後さらにシフトが進むと思われます。百貨店などが中元商戦に力を入れるのは、単価が高く儲かるからでしょう。しかし、中元ユーザーは確実に減少しているので、各社優良顧客である中元ユーザーの獲得に躍起になっているのが現状ではないでしょうか。中元解体セールが長引いていることは、中元市場の需給が完全に緩んでいることを物語っています。

 

逆に伸びているのが、イベント型ギフト。バレンタイン・ハロウィン・クリスマスがその代表格です。実質賃金が伸びないなかでも、イベント型ギフトが増えているということは、イベントは相当強い消費促進力があるということでもあります。

 

☆今日のまとめ☆

モロゾフの四半期決算からわかることは、スイーツ業界の競争激化と建前型ギフトからイベント型ギフトへのシフトである。

消費者は、イベント型消費を強めているとも言えるだろう。

 

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  • 今日のこぼれ話☆

掲載した画像は、以前サンチカで手に入れたモロゾフパンフレット。

とてもデザインがよく、しっかりした作りなので、持っています。

こういうパンフレット、最近増えたと思うのは私だけでしょうか。