スカイマーク・ローソンが教えてくれた、売れない商品の共通点

skymark

 

民事再生法を申請したスカイマーク。このニュースは、一般のニュース番組や一般紙でも大きく取り上げられています。

 

国内航空会社3位で経営不振に陥っていたスカイマークは28日、自主再建を断念し、民事再生法の適用を東京地裁に申請したと発表した。負債総額は約710億円。運航は継続する。(2015年1月29日付 ロイター

 

破綻の直接の原因は、身の丈の合わない過剰投資ですが、投資の前提となっていた業績の悪化が一番の要因でしょう。スカイマークの業績は、2013年3月期から異変が起こり、黒字は維持したものの営業利益・経常利益・最終利益とも大きく悪化。悪化要因は、LCCの出現と台頭に他なりません。調べてみると、日本初のLCCであるピーチ・アビエーションが定期運行を開始したのは、2012年3月1日。2013年3月期は、2012年4月1日から始まるので、ピーチ・アビエーションがスカイマークの顧客を奪ったと言っても過言ではありません。

 

顧客を奪われたのは、これまでスカイマークの強みであった価格競争力が、LCCに劣ったから。要は、安いから利用していた顧客が、より安いLCCに流れたのです。日本航空や全日空に比べると、スカイマークの運賃は安いものの、LCCには敵わない。この中途半端な安さが、消費者にはほとんど魅力的に映らなかったのです。

 

同じ1月29日の日経新聞には、ローソンの営業改革に関する記事が掲載されていました。

 

ローソンは100円の商品を中心とする「ローソンストア100」の2割超に当たる約260店を閉店する。小型スーパーの「ローソンマート」事業からは撤退する。低価格の小型店を積極出店するスーパー各社との競争激化で苦戦していた。一部店舗は医薬品販売を併設するコンビニエンスストアなどに転換する。消費増税の影響で消費低迷が長引いており、小売業界で事業の再構築の動きが広がりそうだ。(2015年1月29日付 日経新聞朝刊)

 

要は、100円コンビニとスーパー事業からの撤退です。

 

ローソンストア100は、100円コンビニというものの、すべての商品が100円のわけではありません。一部の商品は100円よりも高い価格で販売されており、価格のわかりにくさが客離れの要因にもなっています。ローソンストア100の競合は、100円未満の商品も売る小型スーパー。イオンのまいばすけっとやマルエツのプチマルエツなど。もともとGMSや食品スーパーを経営する企業の新業態ゆえに、食品販売のノウハウはローソンよりもあったのでしょう。ローソンストア100とは異なり、価格が100円に縛られることもありません。商圏の物価や競合店の価格から、自由に価格設定できるので、自然にローソンストア100よりも価格競争力は高くなります。デフレ型のローソンストア100が、アベノミクス以降の高付加価値消費(「良い物なら少々高くても買う」)とそぐわないことも、顧客離れの一因でしょう。立地の悪さも、既存店売上の悪化に結びついたようです。

 

ローソンストア100の失敗要因は、すべてが100円というわけでもなく、スーパーよりも安いというわけでもないという中途半端な安さと言えましょうか。

 

ローソンマートの撤退には驚きました。つい昨年2月にスーパー市場への進出を発表したばかりだから。

 

ローソンは小型スーパー事業に参入する。コンビニエンスストアの2倍弱の売り場に生鮮や加工食品、日用品など5千~6千品目をそろえ、まず2014年度に 東名阪の住宅街に100店を集中して出す。東京など大都市に人口流入が続く一方、身近な場所にスーパーが不足している消費者も多い。コンビニだけでは日常 の買い物ニーズに対応できないと判断した。(2014年2月11日付 日経新聞朝刊)

 

ローソンマートが駆け出しから躓いたのも、小型スーパーの増加に起因します。ローソンとしては、コンビニで野菜が売れるのだから、生鮮食料品や加工食品の種類を増やしたコンビニを作れば、消費者にウケるかもしれないと考えたに違いありません。しかし実際には、小型スーパーよりも価格が高かったために、集客に大変苦労する結果に終わりました。しかも、既存のコンビニも生鮮食料品を強化するなど、どんどんスーパー化するわけですから、店舗数が強烈に増えたコンビニとの競争にも晒されることになります。

 

ローソンマートの失敗要因は、スーパーよりも価格競争力がなく、既存のコンビニよりも利便性が悪いという、中途半端な価格設定・立地と言えるでしょう。

 

このように見ていけば、スカイマークの破綻とローソンの100円コンビニ・スーパーからの徹底には、共通点を見出すことができます。それは、中途半端な商品だったから、消費者に支持されなかったということ。中途半端な商品設計では、誰からも支持されないということを教えてくれます。また、中途半端な商品では、購買動機が高まらず、結局購入されないばかりか、消費者の記憶にすら残らないのかもしれません。

 

☆今日のまとめ☆

スカイマーク・ローソンの失敗事例からわかるのは、中途半端に設計された商品は消費者から支持されにくいということ。

 

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  • 今日のこぼれ話☆

無難な商品の方が、いろんな人・いろんなニーズを捕らえられそうに見えますが、実際は違うようです。

 

 

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