早朝フェス人気からわかる消費者ニーズ
日経新聞の夕刊に、早朝フェスに関する記事が掲載されていました。
平日の朝7時。軽快な音楽に合わせ、出勤前のサラリーマンやOLたちが踊りまくる。今、話題の「早朝フェス」のひとこまだ。(2015年1月28日付 日経新聞夕刊)
簡単に言えば、早朝フェスとは「朝の遊び」とも言えるでしょうか。出勤前に行われる、テンションの上がるダンスやヨガなどのリクリエーションが、それにあたります。日経夕刊の現代消費で紹介されるぐらいですから、まだ主流のリクリエーションではないですが、東京などの大都市では早朝フェス人気は高まっているのでしょう。
記事によると、早朝フェスが人気なのは、
- 育児や家事との両立が可能だから
- リア充になれるから
- コストが低いから
という理由からだそうです。
1は、仕事後の活動と比較すれば、その健全性がわかるでしょうか。仕事後に遊びに行くとなれば、家族から反対されることも多いでしょう。一方、朝フェスなら出勤前に遊べるので、仕事後は家族と過ごすことができます。既婚男性なら、奥さんの許可が得やすいリクリエーションなのです。出勤までという時間に制限があることも、ダラダラを回避でき、健全性につながります。
2について、記事で紹介されてあったのは、40代の独身フリーターの声。「リア充(リアルな生活の充実)を実感できるのが最大の魅力」だそうです。フェイスブックなどで多くの友人に恵まれていても、その友人とはほとんど合わないもの。一方で、朝フェスでは見知らぬ人とも会釈はします。このリアルなコミュニケーションこそが、朝フェスの魅力だそうです。そして、それがリア充につながり、フェースブックに自信を持って投稿できるのです。
3について、記事で紹介されている早朝フェスは、一回2500円も掛かるので、決して安い活動ではありません。かと言って、フィットネスジムのように、入会費や1万円ほどの月謝が必要なことはありません。この参加しやすさこそが、トータルコストを下げることになります。ネットで気軽に応募できるというのも、参加しやすさの一つの要素。
この早朝フェスを見る限り、消費者の時間の使い方に変化が起こっているようです。ファストフードチェーンが、早朝需要を獲得することで、ディナーの落ち込みを補うのも、理解できます。そういう点では、居酒屋は苦しいですね。朝から開けるわけには行かないですから。固定客・常連客がどれぐらいいるかが、居酒屋などのディナー主体業態の業績を左右しているのかもしれません。
リアルなコミュニケーションも、財布の紐を緩める大きな要素。これは、早朝フェスだけのことではないでしょう。ファーマーズマーケットなど生産者が直接販売する業態が増えているのも、リアルコミュニケーションが求められているからかもしれません。何でもデジタル化する世の中だからこそ、逆にアナログなコミュニケーションの価値が高まっているとも言えるでしょうか。ちょっとした会釈ができるだけでも、それが価値となるのですから、サービス業は積極的に挨拶・雑談をした方がいいでしょう。もしかしたら、積極的に話しかけられるほどのコミュニケーション能力の高い人材が、枯渇しているとも言えますが。
コストの低さ・ラクチンさは、言わずもがな。どんな業態でも、コスパは重要。たとえそれが、1500円でコーヒーを売るサードウェーブコーヒーだとしても。
それにしても、消費の対象は、モノからコトに大きくシフトしていますね。モノを売るには、いかにコトと絡めるかでしょう。恵方巻きも、コトですから。
☆今日のまとめ☆
早朝フェスが人気なのは、家事・育児と両立できるからであり、リア充になれるから、コストが低く参加しやすいからである。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
早朝フェスする人は、みんな健康そうですね。
そういう仲間ができるのが、一番の利点かも。